バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

春を待つバン

2014-03-22 09:14:05 | 川上犬
 整形外科の待合室すいている割には,次々と人が入ってくる。皆予約制だし、リハビリの人は2階に上がるから,1階待合室は混み合わないということですね。
 こうした開業医の魅力の一つは待合室の本棚。たいていそこには院長先生とか医院関係者の趣味が現れる。ここはアウトドア雑誌が多いなとか、旅ものが多いなど。そしてここから掘り出し物を見つけることが多い。「こんとあき」「けんぼうは1年生」「つみきの家」等はこうして出会った。
 さてこちらの医院は。できたばかりとはいえ本棚はガランとしている。何も無いに等しい。航空会社の機関誌数冊、地元ミニコミ紙の他は前日の読売新聞と朝日新聞がおかれているだけ。待ち時間に仕方なく読売新聞を手にする。
 投書欄に目を通す。

 その人はこんなことを言っていた。猫(犬だったか)が逝ってしまった。悲しみの日々が過ぎた今は満足感に包まれているというような内容だった。それはペットを家でケアし最期まで看取ることができたから。人の場合は病院にお任せになるからこういう気持ちになれないのではないか。そんなことが書いてあったと記憶する。
 身につまされる。
 もうあれから10年過ぎた。飼い猫が体調を崩し、1月間家族でケアした。毎日病院に通うがジワリジワリと衰えていった。そんな日々、死期を悟ったのだろうか,ある晩最後の力を振り絞るように寝室に入ってきて私たち全員を起こし、そのまま猫は外へ出て行った。月明かりの中に消えていく猫の姿を見送った。
 そして今。ある日突然犬が体調を崩し,危篤状態に陥った。さっきまで元気だったのに。つい数時間前に庭走っていたのに。このまま逝ってしまうなんてとうてい受け入れられない。そうして一晩過ごす。障子越しに朝日が当たると、バンは力を振り絞り立ち上がり外へ出たいという。あの時と一緒。猫の時と。
 テラスの窓を開けるとゆっくり外に出る。立つことすらやっとの状態で,腰がフラフラしている。ゆっくり庭の奥へ奥へと進む。呼んでも反応しない。そしてゆったり座り込んだ。一声吠えようとするが、声が出ない。
 これは受け入れられない。すぐに抱きかかえ家の中に戻した。

 1ヶ月が過ぎた。
 何とか元気にしている。「バンちゃん,いつまでたってもふけないね」とよく言われたけど、今は年相応になったのかもしれない。
 そういえば先日、子犬を散歩していたおじいさんが、「前飼っていた犬は19歳まで生きたよ。野田市最高齢だったよ」と誇らしげに言った。その時は「へー」ぐらいにしか思わなかったけど、今ならわかる。犬が19歳まで生きるにはそれなりの日々があったということを。

 バンは今15歳。


犬の耳に薬を垂らす方法

2013-07-01 14:08:05 | 川上犬
 バン定期検診とフィラリアの薬をもらうために医者に行く。
 先日車内大掃除した後だから車には乗せたくない。医者まで歩いて行けない距離ではない。雨が降らず、暑すぎない日を選んで、お散歩グッズの水を多めに用意し、手提げに1万円入れて出発。
 相変わらずぐいぐい引っ張るものの、最近ちょっと疲れやすいような気がする。もしかしたらフィラリアかも?例年なら6月最初に薬飲ませるのに1ヶ月遅れてしまっている。耳を傾けて調子悪そうにもしている。そんなこんないろいろ相談することがある。

 先日小学生が事故に遭った場所を通る。二人でしゃがんで手を合わせる。
 ずんずん進む。医者までの道、ずっと平坦な道というわけでない。平坦とは文字通りアップダウンがないということではなく、散歩に適した道ではないということ。USSの前を通り過ぎると、交通量が多いにもかかわらず、歩道が全くない、しかも脇の家の樹がわっさりと覆い被さっている。ここは人が歩いて通ることを想定していないというような道。そこを犬と歩いているから追い越せないトラックによって渋滞を生んでしまった。必要以上に小さくなり、ぺこぺこしながら医者を目指す。

 バンは医者の待合室までは平気。どうぞと言われ、診察室に入った瞬間、「ヤベ!」となる。どうせ覚えているのなら、もう少し前で思い出しそうなものなのにとブツブツ言いながら抱きかかえ、診察台に乗せる。
 首から顔にかけてしっかり押さえつけている間に、血液採取とおしりの処理をしてもらう。さて、耳は。
 基本、バンの顔辺りの診察はできない。麻酔かけない限り絶対無理だと思う。
 症状だけ伝えると恐らく外耳炎だろうからと薬を用意された。しかし、この薬をつけることはできるだろうか。
 目薬の時と同じで、薬に気づかれた時点で大騒ぎになって逃げ回るのではないか。
 とりあえずお試しと言うことで、小さな目薬容器で渡された。

 医者を出て、遙か遠くの自宅を目指しながら、バンの耳に薬を垂らす策をを練る。
 目薬の容器で耳に水を垂らす。気づかれないでできるはずがない。大騒ぎしないはずがない。目薬の時は最初に安易にチャとやって失敗した。いろんな手順を踏んで、慣れさせて、恐怖心を取ってやるべきだったと後で反省したので今回は慎重に事を運ぼう。

 まず気づかれないようにフィラリアの薬をえさに混ぜて食べさせる。これは成功。
 次は耳薬。
 手に何か持っている、これが見つかるともうだめだから、絶対わからないようにと工夫してえさに夢中になっているときに耳をペロッとめくってチャっと注入。しかし毛に遮られて全く入らなかったと思うけど、チャの瞬間、「今、何したの!」と飛び退いた。 翌日同じようにえさに夢中になっている瞬間にトライ。ちょっと警戒している。チャとやるが、同じく毛で中まで達していないと思われるが、今回はほぼばれた感じがした。手元を伺っているから。

 教室の前でグタンと寝ている。耳全開。毛をこじ開けても鼓膜覗いてもグタンと寝ている。今がチャンス。耳薬を取りに行こう、と思ったその瞬間、警戒モードになり飛び跳ねた。なんでわかるんだろう。薬つけようと思ったこちらの気持ちがどこで察知されたのだろう。チャンスが来たらいつでも即座にできるように、ポケットにふたを取った状態の耳薬を忍ばせ、次のグタンのタイミングを待ちトライする。が、やつはやつでいろいろ考えているようで、グタンの振りしてこちらの出方をうかがっていたと思われる。今だ!と容器を手にした瞬間、ついに手元を見られてしまった。
 「やっぱり!」
 「最近、様子がおかしいと思ったんだよ。」
 とまるでくだを巻きながら遠ざかるあのドヤ顔。
 あのねー、おまえのためにやっているんだからね。



ちょっとスッキリ

2012-12-18 23:52:34 | 川上犬
 先日バンの散歩で遠出した時、駐車場のような広場の片隅に犬がつながれていた。
 バンがグイグイ引っ張りながらあちこちの臭いを嗅ぎ、その広場の草むらに鼻を突っ込んだ時、物陰から突然ガタガタと音をさせ犬が飛び出してきた。その犬はつながれていた。その場所は駐車場を兼ねた広場の入リ口で、近くの民家とは道を隔てている。なんでここに一人(一匹)で居るの?と不自然な場所。駐車場の泥棒よけとしてそこに置かれているのかな、と思った。その犬は、バンが近くを通ったから飛び出てきたにもかかわらず、一言も声を出さない。吠えないままじっとこちらを見ている。本来犬は群れで暮らすのだから、家から離れた場所につながれてさぞ淋しかろうに、と思いながらその横を通り過ぎた。その犬は一言も吠えないまま、ずーっとこちらを見ていた。その姿が何とも気の毒で、振り向き手を振っておいた。近くに寄って頭なでてあげれば良かったかな。頭に手を乗せたら、ガブリとやられるかな、など思いながら船形の田んぼ道に降りた。
 そして先程あることがわかった。

 バネ生の一人が、「うちの犬、脱走していたんだけど、今日みつかったんですよ。」
 1週間以上前のある日、植木をひっくり返し、生け垣を壊して飼い犬が脱走したとのこと。そして本日、知り合いから犬を預かっているとの連絡を受けたので見に行くと、「あ、いた」だったそうな。すると犬の方も、「あ、来た」って顔していたという。ふーん、と話しを聞きながらピンとひらめいた。場所を確認すると、それはあの「おさみし犬」の場所。その犬の特徴、つながれていた様子、すべてが合致するので、先日会ったあの犬に違いない。

 一言も声を出さないまま、じーっと見ていた犬の姿が心の片隅にひっかかっていたから、これですっきり。
 家に戻って犬はどうしたって聞くと、「小屋で寝ています。」良かった。




教育を受けるということ

2012-06-25 13:49:51 | 川上犬
 1年1度のバン検診の日。
 検便、血液検査等を経て、フィラリアの薬をもらい,お尻の処理してもらった。
 検査結果出る間たわいもないおしゃべりをし、犬の寿命はどのくらいかとの話しに。
 「バンちゃんくらいの大きさなら,12年くらいですかね。なかには15歳って子が来ることありますけど。」
 今や12歳のバン。
 すこぶる元気で毎日走り回っている。これで寿命の年齢に至っているなんてまったく思えない。
 すると獣医さん曰く、「それは性格なんですよ。落ち着きない犬はいつまでも落ち着きない。気が強い犬はいつまでもそのまま。人間もそうなんだけど,人間はもう年なんだから落ち着きなさいなどと言われるから年取ると落ち着くんですよ。」
 教育を受けることができるのが,人間っていうこと。変えたいと思い,変えることができる、それが人間。
 「フィラリア何ヶ月分にしますか?全部一度でいいんですか?」って念押される。確か去年も同じやりとりした。明日はわからないかもしれないけど、寿命年齢だからこそ一括買いですよ。

 
 眠たいバン
 


犬の才能

2012-03-22 19:27:12 | 川上犬
 配りものがあり、近所を歩く。
 置いていかれたバンが,ウワオンヒャオンと大騒ぎしているのがずーっと聞こえてくる。これじゃ近所迷惑だなーって思うけど,いつだってこうなんだそうだ。いつもは車で出かけるから,自分自身がバンの鳴き声を聞きとることはない。しかしこうして近所歩いていると、いつまでも、そう30分経過しようと,延々と鳴いている。高い声で、いろいろな思いを込めながら、聞いているとちょっと胸が痛くなるような鳴き方で。
 界隈グルリと配り終えると、県道の向こう側から道を挟んだしばらく向こうに家の庭が見える場所に出た。姿は見えないけど、相変わらずバンの後追い鳴きが聞こえるから、家の方角に向かってバンに合図してみた。大型トラックや車が行き交う隙間から遠くに見える、コナラの木が2本立つ庭の一角に向かって,口笛を吹いた。
 口笛は子どもの頃からどうもうまくできない。稀にいい音出せる時があるけど、ほとんどは空気笛になってしまう。何度かやってみるけど,トラックの音にかき消されないようにと力強く吹き出したせいか、まったく音が乗らない。ビュービューと単なる100%息笛になってしまった。

 それなのに、それなのーに。なんとバンはダッシュでやって来た。庭のコーナーをジャンプしながら曲がり,コナラの木の下まで突進してきた。そして満面の笑みで,フェンスの前でシッポ振っている。遠目だけど,完全にアイコンタクトとれた。

 すごい。犬ってすごい。
 聞こえるのもすごいけど、あの距離で見えるのもすごい。

 



小春日和で汗びっしょり

2012-02-05 09:20:32 | 川上犬
 久しぶりに日中10度を越え、風もない。こんな日は土手ラン日和。
 こう思っただけで、バンは門の前で足踏みしている。なんでわかるんだろう。

 車に乗ったバンは土手到着が待ちきれず,車内でも「はやく、はやく」ってはしゃぎまくる。遠征に連れて行くと大騒ぎするかつてのルイ、テツ、ケンシみたいで、子どもってこうだよねーって予想を裏切らないストレートな行動。
 さてそうして土手に到着。車から飛び出し一気に土手に駆け上がる、と。前方に犬を連れた人発見。こちらに向かって来る。遠目に見て,犬にリード付けてない。近づいて来ると,やはりリードなしであり、さらに先方はバンより大きいことが見てとれた。バンは基本的には犬好き。どいつとも遊びたがる。しかし先にケンカ売られたら、即買ってしまう。たいてい雄犬はケンカ売って来るから,この場合はこちらがじっと通り過ぎるのを待った方がいい。そうしてその飼い主と犬が通り過ぎるのを待っていると。飼い主のみが横までやって来た。犬は前方の草むらでじっとしている。横までやって来た飼い主に雄か雌かと確認すると,雌とのこと。じゃーまずだいじょうぶ。ケンカにはならない。するとその飼い主は「ウチのは臆病だからあすこで隠れているんですよ。先に行ってもらわないとずっとあすこにいますから」だって。匂いチェックに夢中なバンはその犬の存在に気づいていないみたいなので、草に身を隠す雌犬の脇を抜き足差し足で通り過ぎると、その犬は飼い主目指して一目散に逃げていった。飼い主はしゃがんで手を広げ,飛び込んできた犬を抱き上げてる。ふーん、そうなんだ、という気持ちになる。
 バンの匂いチェックも一通り落ち着いたところで,海から109キロの看板の地点まで来たので、ではここから落ち着いて2キロ程度ランニングしようと思う。111キロを目印にして折り返せば,4キロランになるからまずまず。そうやって500メートルほど走ったあたりで,背後から「ワン、ワン」と犬が2回吠えた。走りながら振り向くと,口元黒い茶犬がピッタリ後ろを追いかけてきていた。おもわず声を上げ,全速力でその距離をあける。この辺までくれば大丈夫だろうと振り向くと、追いかけるのを諦めきれない風の2匹の犬が、仁王立ちしてこちらを見ている。小石をいくつか拾い、戦闘態勢を構える。犬どもは一向に立去らない。このままでは車に戻れないではないですか。そこへ自転車二台がやって来た。あの自転車の間に入って走り抜ければ大丈夫か、と考えているうちに自転車は行ってしまい、またあたりはウチら以外は誰もいなくなってしまった。今日の状況はあの犬どもをかけ分けて車に戻るのは危険であると感じたので、土手を民家側に降り、一般道で迂回して車まで戻ることにした。この時点で、犬を連れてのサンボをしているのではなく、車に戻るために歩く人になってしまった。適当に方向定めバンと歩き続けると、用水路がその行く手を遮ったり、途中で道が畑になってしまったりで、スマホで位置確認しながら1時間近くかけ車に戻った。途中道なき道を行く。民家の脇をすりぬける。この辺りは犬を放し飼いにしていることもあるから、軒先から犬が飛び出してきてガブリとやられる危険だってある。気分よくこの小春日和を楽しむための散歩が、なんでこんなに身も心も疲れなきゃいけないんだ、とブツブツ思いながら歩く。事情を知っているのかどうなのか、くたびれ果てたバンは雪の上を選んで歩く。ようやく車が遠くに見え、人の気配のある道に出たころは汗びっしょり。
 車まで目と鼻の先となった最後の曲がり角、道ばたに犬がつながれている。でもこの犬は大丈夫。いつもそこを車で通る時に目にする犬で、もうこうやって何年もここにつながれていますって風で、実にしょぼくれている犬だ。あの犬は横を通り過ぎても、せいぜいくたびれた声で吠えるだけだろう。場合によっては気づかないかもしれない。余裕ーッと思いながらと追いすぎようとすると、突然、バンに気づいたその犬は鎖一杯の距離まで飛び出し吠えてきた。あのショボクレ犬の見違えるような活気あふれる姿。なんだか可笑しいのと、良かったという気持ちがないまぜ。
 車に到着し、左手に握りしめていた4個の小石を放った。疲れきったバンは、車の後ろで「はやく乗せて」と足踏みする。こういうところもRTKそっくり。







バンのこだわり

2012-01-09 07:36:05 | 川上犬
 人間で言えば65歳になるバン。
 世の65歳は元気で高齢者なんて気軽に言えない。バンも元気。走り,ジャンプし、穴を掘り、そして小鳥を追い回している。
 しかし最近気になるバンの行動。
 それは。足下をグルグルして繰り返し耳をすりつけて来る。そして足下にゴロンってする。この動きは猫。家に入り込むとすぐさま床でゴロンゴロン。この姿はまるでエリ。
 もともとバンは猫に興味があった。隣家の黒犬よりも猫の姿を心待ちにしている。ドッグフード食べないときでも,キャットフードは夢中になって食べた。肉も好きだけど魚も大好き。

 認知症の高齢者が奇異な繰り返し行動をすることがあるというけど、その行動は若き頃からのこだわり部分が強く出ているらしい。
 バンの猫行動は,認知症の入口か?




バンと共に走り去りぬ

2011-11-05 20:40:52 | 川上犬
 サタデークラブのアップで恒例の突然鬼で子供達と遊ぶ。
 Mコーチが低学年の子達を追いかける様は、まるでインバラを追いかけ蹴散らそうとするバッファローみたいで笑える、なんて笑っていると、インパラたちが大勢でこっちに逃げてきた。腕を広げて一挙に捕獲しようと思うのに、脇の下をすり抜け左右に散っていった。ギア入れ直して、クイックターンで捕まえにかかろうと思うけど、ここで深追いしたらケガしそうなのでやめることにした。自分では機敏に動いているつもりなんだけど、たぶんこの走りは鈍くさく見えるだろうな、と自覚できるようになってきた。モモが上がっていない。蹴り上げが少ない。腕が振れていない。
 犬を散歩している人を見て思うのは、だいたい飼い主と犬は共に高齢化している。おじいさん、おばあさんの連れている犬は、一緒にトボトボ歩いている。子供が独立した50代半ばに、寂しいからうちも犬でも飼おうかってなって、そこから早15年が過ぎ、「お互い年取ったよな」ってことなのでしょう。
 あー、それにしてもうちのバン。いつになったら年相応になるのか。こっちはモモ上げや蹴り上げ弱くなってきているんだから、飼い主と同じペースで年取って欲しい。そもそも犬の散歩で猛ダッシュしている人、この界隈で一度も見たことない。


これは偶然か,必然か

2011-10-25 09:10:22 | 川上犬
 いつもバネ中は、バンはつながれた状態でおとなしくバン小屋で寝て待つ。そして次々とバネ生が教室出る様子を見ると、前足後ろ足の順にストレッチしながら、小屋から出て来る。ここから先は寝てなんかいない。「もう終わったんだから,放してくれるんでしょ。」と言わんばかりにつながれている小屋の前で見上げる。すぐに放さないと、「あれー、どうしたのかなー」となり、そのまま家に入っちゃうと、「おーい、どうしたのー」と鳴き、それを無視していると「何やってんだよ!放せつってんだろ!」とドンドン感じ悪くなる。そしてようやく放たれると、数時間の拘束を取り戻すかのように、庭を猛ダッシュして自由を噛み締める。
 だから昨晩はバンが何も言わないうちに放してやった。しかし、なんたることかその時、門が開いていた。いつもなら放す前には必ず門を確認することにしているのに、なぜこの時は門を見なかったのか。最近、最後に出る生徒が閉めて行くことが多いから、つい気を許したってこともあるかもしれないけど、それにしてもバネ終了後すぐに放してやったこの日に限って門を確認し忘れて、しかも開いていたなんて。
 その際のバンは、こう。
 カチャリという鎖が外される音を確認しても、いつも通りの猛ダッシュはしなかった。そしてトコトコと門に近づき,スッと外に出た。あたかも門が開いているにも関わらず、鎖を外してしまった飼い主をあざ笑うような後ろ姿で,夜の闇に消えて行った。呼んでも振り向かない。さりとてダッシュはしない。
 すぐさまスニーカーにはきかえ捕獲に向かう。すると角を一つ曲がったところの公園の入口にいた。そして簡単につかまった。一応,捕獲の瞬間,「ワオ」と抵抗したけど,案外あっけない捕獲劇だった。
 バンを脇に抱えて家に戻る時,授業を終えたバネ生の車とすれ違う。「あー、それがあのブログのわんちゃんですか」って言う車の中には、小型のいわゆるお座敷犬が乗っていた。
 脇に抱えられながら,バンの興奮が徐々に収まっていくのがわかった。そしてビビリにかわっていくのも。
 家に戻り,門を閉めた時には、やばし、やばし、を全身に表している。お座りしているバンの顔を両手で包み込むと,右手をあげてカーミングシグナルするから、ここで解放。
 久しぶりのダッシュで明日は筋肉痛だなと思うけど,今朝は何ともない。
 

犬の整体

2011-10-20 15:44:43 | 川上犬
 忙しいし、小学生の問題作ってないのに、もう一つバンネタを思いだしたから、書いちゃう。

 整体ボキボキに行ったら、他にお客さんはなく、電気の時間先生と二人っきりの診察室は手持ちぶさたになったから、馬鹿な話題を提供した。

 「犬って肩こりするんですか?」

 我ながら何でこんな話題を振ったのかわからないけど、それに対して先生曰く、
「先日ぎっくり腰の犬を治したっていう仲間の先生いますよ」だって。
 お客さんの家に訪問診療に行ったら、そこのうちの犬がぎっくり腰になっていたから、治してあげたって言うけど、どうやって治したんだろう。犬にボキボキ?どうせ振った話題だから、その辺もよく聞いておけば良かった。
 どんな方法にせよ、バンが他人に、それも痛い腰を預ける様は、全く想像できない。頼むからぎっくり腰にはならないで欲しい。

バンが吠える理由

2011-10-20 15:37:55 | 川上犬
 すっごく忙しい。でもふと閃いたことを書き留めておかないと消えてしまいそうだから、書くことにした。今日の小学生の問題まだ作ってないのに、こっちが先でいいのだろうかと、思うけど、これでいいのだ。
 そうしてまでも書き残さなければならないものは何かというと、『バンが訪ねて来た人に吠える意味がわかった』からだ。そりゃ番犬だから吠えるでしょ、っていうレベルの問題ではない。
 「さっきまでニコニコしていたのに、奥さんが出てきたとたん吠えるんですよ」とどれだけ多くの人から言われたことか。
 この謎が解明した。

 じゃーん、それは先日テレビを流し見しながらチラッと聞いたことなんだけど、犬は群れを守るためにリーダーが先頭になって敵に向かう云々。
 さっきメール便の人がポストに投函するときに、バンは教室内の私をチラッと見てから2回ほど吠え、またこちらをチラッとみた。その時の同意を求める風のバンの顔を見て、閃いた。先日頭の片隅を素通りしたテレビの解説を思いだした。
 
 そう、バンにとってリーダーは、わたし。リーダーが来ないうちは自分から手を出さないって言うことか。

外国人への接し方,人編、動物編

2011-06-09 06:57:33 | 川上犬
 夏にカナダから練習にやってくる女の子がいる。カナダ人の食事ってどんなものかな、ってネットで調べてみた。イギリスと一緒で特にカナダ食というのはないそうで、また概ねイギリス人の食事と似ているということがわかった。シーザーサラダはカナダ発であるということも。
 イギリス人の子がやって来た時、できるだけ日本らしさで対応しようと思って、通常より清き正しき日本の食事にしたら、12歳の子はポツポツ頑張っていて、17歳の子は軽いノリで何でも挑戦していた。最も喜んで食べたのはおやつで出したポテトチップスとミルクティー。どこも一緒だね。基本、日本人の子どもが喜ぶような物を喜ぶってことでしょう。
 学生の時フランス人の家にステイした。そこでは日本人が来るからって準備してくれたのは,米料理。それはタイ米のような細長い米をドライフルーツとシロップ漬けして、ゼリーで冷やし固めたものだった。まずいとは言えず,飲み込むようにして食べた。朝はカフェオレをみそ汁のようなお椀に用意してくれたので、これは日本人だからの配慮かと思ったら,フランスでカフェオレはお椀状のカップで飲むのが普通とわかった。左手に1フランを握ってクレープを焼くと願い事が叶うという言い伝えがあるとのことで、そうやって一緒にクレープ作ったり,一緒に市場に買いもの行ったり、そういう日常体験が楽しかった。警戒心の強い黒猫がいてなかなか近づいて来ない。鏡張りのリビングルームで何か視線を感じるとふと顔を上げると,鏡に映る黒猫の凝視するような目。いつもそうやって遠くからこちらを観察していたが、その目が警戒から興味に変わり,最後は挑発になって腰をフリフリしてひょいっと膝に飛び乗るようになった。
 バンはどう対応するんだろう。バンってヤツは青年は大好き。少年ではなく,どういうわけか青年。子どもとおじさんの間。微妙に線引きのラインがあるらしい。この人になら何か任せても大丈夫だろうって思えるくらいの容量を身につけた青年以上,力仕事を活動的にこなすのはちょっと苦痛となる中年以下。これがバンのラインである。どうもこれは私が仕事頼めそうな人への気を読んでいるような感じがしないでもない。それとも青年臭か?では女の子に対してはどうなるんだろう。以前Yっちがステイしていた時,基本無関心だった。どっちが娘でどっちがYッチか,わかっているようなわかっていないような。二人同時に立った時,二人の顔を見比べていた。匂いとか声ではなく,見た目で違いを認識しようとしていた風。
 
 

こんな時にバウリンガルの出番か

2011-05-31 11:03:40 | 川上犬
 バンの散歩コースに犬社長の家がある。犬社長って言うのは我が家でネーミングして、我が家だけで通じているんだけど、この家は犬を番犬として数匹かっている。全部和犬のたぶん雑種。犬社長とはバンの散歩で知り合った。幼児の頃のバンと社長のうちの同世代の犬2匹は毎朝くんずほつれずして遊んだ仲。あれからバンはスクスク成長し、いつまでもふけることなく、落ち着くこともなく、相変わらずな毎日をすごしているけど、社長の家の犬は入れ替わりが激しい。当時の犬はしばらくいたけど、似たようなの犬の追加が繰り返され、今や完全に入れ替わった状態で常に数匹がキープされている。
 この犬達の前を通るとものすごく吠える。鎖の伸びる限界までビューンって飛び出して来るから、結構迫力ある。その中でもっとも体格よく、ボスと思われるのが最近変わってきた。バンに向かって牙出して吠えながらも、こちらを見てニッとする。次に会ったら、今度は目を細めて、「クーン、クーン」と鳴くようになった。
 今朝も前を通りかかると案の定一斉に犬が飛び出してきて牙むき出した。するとボスはクリルと振り向き、こちらに向かっている犬を威嚇し始めた。威嚇された犬はその場に固まり、ほどなく他の犬どもも静かになった。どうしたんだろう。しばらくそこに立ち様子をうかがう。ボスはこちらに背を向けたままだけど、耳は完全にこっちを向いている。オーイって呼びかけると、耳がピクって動く。
 帰りにまたその前を通った。一瞬みんなで吠えたけど、またすぐボスはくるりと振り向き威嚇し、一斉が静かになる。するとボスは鎖が伸びるギリギリまでこちらに近づき、目を細めて「くーん、くーん」ってやってきた。明日はジャーキー持っていこ。

 

バンの処世術

2011-04-21 14:55:38 | 川上犬
 地震後バンはおびえ続け、できれば家に入りたいっていつも玄関や勝手口で家に入る隙をねらっている。
 ドアはゆっくり閉まる。後ろにピッタリついて来て、このチャンスに入ろうという魂胆。これが娘あたりだと態度が大きくなり,足に体当たりして先に入り込むらしい。
 家に入り込んでも結局は外に出されるのだから,家に入ることは基本的には認められていないってことをバンは承知している。だから済まなそうに入って来て,申し訳なさそうに板の間部分にチョコンと座っている。そして私に気づかれ,外に出される。これの繰り返し。
 でもたまには中に入れてくつろがせることもある。これは全く飼い主の気分なんで、どうして今日は入って良くて、どうして今日はダメなのかなんて明確な理由はなく,バンにとっては理不尽なことの連続。そうやって昨晩はリビングでくつろぐことができた。ご飯までもらって,水ももらって、いびきかくまで寝て。
 こんな夜を過ごした翌日、いつものように後ろをついて来て、いつもより堂々と家に入り込み、板の間ではなくじゅうたんの上で横座りしてくつろいでいた。なんでバンそこにいるの!の声に「ん?入っちゃいけなかった?やっぱり」って顔。
 理不尽な対応にもめげず、いつも笑顔でじっとこちらの出方を観察する。そして心の隙を待つ。バンは弱気なセールスマン。

和犬って

2011-04-05 09:39:13 | 川上犬
 屋根の上の漂流犬、無事飼い主に戻って良かったですね。
 2歳のメス、バン。おっと、あの子はバンちゃんでしたか。
 強運の犬の名としてバンは犬の命名トップ10入りするかも?
 ちなみにウチのバンは「万」と書きます。漢字は全てを意味し、音はフランス語で風。
 あの漂流犬のバンちゃんが飼い主に会えて喜んでいるシーンを見て多くの人はほっとしたけど、さてうちのバンならどうなったかとちょっと心配。
 そもそも超びびりやのうちのバンが、仮にたくましく屋根の上で生き続けたられたとしても、救助のヘリが近づいたらどんな反応しただろう。自分を助けに来てくれたと理解して、素直に抱きかかえられただろうか。更に仮に救助隊員に無事抱っこされたとしても、もう一つ懸念されるのは、飼い主と出会った時、テレビカメラが期待するような態度をとっただろうか。
 いつでもそう。来訪者に「大好きー」て飛びついてヒャンヒャン喜ぶ姿はいつも長く続かない。すぐに横を向いたり、呼んでも振り向かないでお客さんを白けさせるシーン何度も見て来た。和犬はクールなんです。感情を出し切らないんです。あのテレビのバンちゃんもそんなシーン、ちらっとあったね。でも、飼い主に抱っこされているあの背中、あのうなじ。「安心」を全身に表していましたね。
 週末家を空け帰宅。いつもなら門の前で足踏みして迎えてくれるのに、バンが門まで出てこない。庭にいない。脱走?庭の奥に捜しに行くと、玄関内にいたバンが、「ワーイ」って飛び出して来た。このときの声、顔面、体の動き。しばらくまとわりついて抱擁。これはテレビ映りよかったぞ、たぶん。