バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

子ども達との交換日記

2017-06-27 08:46:01 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
アルファクラブの子ども達は,毎回練習ノートを提出する。
このノートにフォーマットはない。書くことも、提出することも強制はしていない。
子ども達は練習始まりにフロアにノート広げ裏返しにして重ねていく。
ランニング中に中身にザット目を通し,その日の話題やテーマになりそうなことを書いてきた子を一人選ぶ。
「きょうはだれがよむのー」
「わたしのはえらばないでー」
など言いながらまとわりつく子達を交わしながら,その日の発表者を決める。
きっと高学年になると,みんなの前で発表の憂き目に遭うのを避けてノート出さなくなるのかもしれないし、低学年は大きい子達の前で読むのだから,指名されたその瞬間口から心臓くらい緊張してしまうのだろう。
さりとて、ノート提出した子は、練習終了後返されたノートに書き込まれたコメントをむさぼるように読むのだから,どんな小さなことでもアクションを起こせばリアクションが楽しみなるというものです。

「○○はノート出さないからずるいと思います」
と直談判してきた子がいた。
ノート提出は強制じゃないから出したくなければ出さなくて良いと伝えると、
「えー、そうなの!?」
でもね、と説明を続ける。
「ノート出せば,コーチに何書いてもらうか読むのが楽しみになるよね。出さなければその楽しみが減るから損するよね」
「そういうことかー」
と妙に納得していた。

さて今日は何冊出ているかな?
13冊。この数ならコメント入れるのにどんなに急いでも20分はかかる。
終了30分前にフロア抜けだしテーブルでノートにコメントを入れる。
その丸テーブルでは体育館の空き待ちのおじさん達が全員無言でスマホいじっている時もあるし、母親に怒られながら宿題している小学生がいる時もある。銘々が異なる次元を見つめるフリーな空間で子どものノートとの真剣勝負に入る。

1冊、1冊とノートを読み書き込んでいくとその終盤、息をのむようなノートが出現した。遅れて来て提出ノートに後から重ねたらしく,最初のチェックで目を通していない子のノートだった。
そのノートには,これを書くために向き合ったその子の気持ちと、かけた時間が込められていた。
週1回2時間の練習に、これだけ真剣にそして楽しんで取り組んでいる子がいるというこの事実。

何かもう、好きだからやっている,やりたいからやっているだけで済まない領域に入っているのかもしれない。


週に一度のお楽しみ

2017-06-22 08:34:19 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
6/21(水) 大雨
どうしようか、今日のアルファクラブ。
以前川間ジュニアをやっていたとき,関東地方台風直撃の日、予報に頓着せず、外の状況にも気づかず普通に練習やっていた。
「外、大変なことになっていますよ!」
と保護者が体育館に飛び込んできて,慌てて練習中止したことがあった。
台風来ると言っているけど、みんな練習やりたいだろうから普通に練習しよう、というのりで幼児だった娘の手を引いて体育館に行くと、果たしていつも通りに子ども達は集まった。
後でわかったのだけど、「コーチが休みにするって言わなかったから来た」

リーダーたるものの判断と決断の必要性を痛感した夜だった。
それ以来天気予報には敏感になった。敏感すぎるかもしれない。

1時。
外はすごい雨。風も強く教室ガタガタいってる。
どうする。今日の練習中止するか。
ピンポイント天気予報確認すると夕方には弱い雨になるとのこと。
それに今から中止連絡流しても、気づかないで体育館に来ちゃう子いるかもしれない。

3時。
大雨。雨雲レーダー確認すると,野田市はすっぽり大雨区域に入っている。
やっぱり中止か? と迷ったそのタイミングで、先に到着した高校生から
「今着いたよ」と連絡入る。

慌てて仕度して家を出た。いつもより少し早く体育館に到着し、傘吹き飛ばれそうになりながら荷物運んでいると後ろから高校生が駆け寄って荷物持ってくれた。
体育館に飛び込み一安堵していると,子ども達がワラワラやってきた。

靴を脱ぐのももどかしく,ワーイと駆け寄ってくる子ども。
入り口で傘がおちょこになってまごついている子。
先に来ていた高校生に気づいてまとわりつく子。

始まりの風景はいつも通りだけど,今日は欠席多いだろう。この天気だし。
と思うが、集合してみたら結局いつも通りの人数だった。

いつも通りにノートが提出され,みんなで走り,トレーニングして,打って,掃除して。
やっぱり今日休みにしなくて良かった。
週に1回のお楽しみの日だものね。

6時。
体育館を出ると雨は上がっていた。冷たい風がほてった体に気持ちいい。
曇天だからいつもより暗い。
子ども達は迎えに来たお母さんにかけより、その周りをお伴の弟や妹が駆け回る。
一日が終わり家族の元に帰っていく。
この光景が好き。




笑う案山子

2017-06-20 16:33:54 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
元気でいるか
街には慣れたか
友達できたか

で始まるさだまさしさんの「案山子」
これを熱唱して閃いてしまった。
そうだ、案山子作ろう!と。

間奏中にカラオケマイクで、「案山子作ろう!」と叫ぶと、「いいね、やろう」と返ってきた。こういうリアクションに囲まれているって幸せだなとつくづく思う。それはさておき。

中高生と始めたハイブリッドスターライスプロジェクト。稲の種まき、田植え,稲刈。
そして収穫祭として刈り取った藁でしめ縄と輪飾りを作る。しめ縄作りは近所のおじさんに講師を依頼しスケジュールを決めた。
NPOの年間イベントとしてドン、ドン、ドンと大きくプランが埋まったけど、実際のところ苗は植えっぱなしで,刈るのはコンバイン。何かもっとアクション起こしたい気分でいた。

早速案山子の作り方を調べてみた。針金ハンガー、新聞紙、ペットボトルなどを芯にするらしい。シャトルの筒も活用できそうだ。このために何か買うのではなく,リサイクルでできそう。

お前も都会の雪景色の中で
丁度あの案山子のように
寂しい思いをしてはいないか
体をこわしてはいないか

なんてセンチメンタルな気持ちは微塵も沸かない案山子になると思うけど、その脇にバン座らせようか。


田植えとカエル

2017-05-13 10:53:01 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
 連休最終日の5/7,大騒ぎしながら田植えした。
 田植えやるよと言って集まったのは陸上部とバドミントン部60人あまり。他引率の大人、関係者、そしてバドミントン部保護者の皆さん。総勢100名ほどとなった。
 大イベントとなったがこの日を迎えるに当たり懸念があった。

 田植え日は4月上旬の打ち合わせ時にはすでに決まっていた。バド部は大会後、そして陸上部は大会の前日。それぞれの大会の隙間を縫った設定はピンポイントの5/7。日程打ち合わせの際星野さんは「多分大丈夫だと思うよ」と呟いた。

 そして田植えの日まであと10日という頃に田んぼの様子を見に行くと、畦を草刈りしていた農家のおばさんに言われた。
「7日にやるの? 少し早いね。多分その頃なら水入っているかな。大丈夫かな」
 水門が開き順次水が送られてくる。そうして辺り一面が水田になるには思った以上に日数がかかる。最初に星野さんが「多分大丈夫」と呟いた言葉の意味がわかった。

 2日前の昼頃様子を見に行くと隣と後ろの田には水が入っており、7日に田植えする田にはチョロッと水があった。入り始めたところらしい。
 連休最初の天気予報では7日は曇りのち雨。でも雨だってやっちゃうつもりだから、天気は懸念材料ではない。

 果たして到着すぐに確認に行くと、田には水が張られ代掻きが施されていた。田にはさざ波がたち、カエルの声が響いていた。ほっと安堵。そして同時に、星野さん、まさか昨日遅くにあるいは今朝早くやったのではないかと思うが,ごった返した中で確認できずじまい。

 集合場所には続々と車が到着し,陸上部のオレンジのテントが張られ,炊きだしの下ごしらえが始まった。喧噪を遠くに聞きながらカエルの声に聞き入る。大合唱とは言えないが相応の数のカエルが一斉に鳴いている。2日前に来た時はカエルの声はしなかったのに、このカエルたちは、一体いつどこからやって来たのだろう。不思議な気分で細い畦を歩き水面のぞき込むと鳴きやんだ。広い畦に引き上げるとまた鳴きだした。
星野さんにカエルの不思議を質問すると、「どこから来るんだろうね。水入るとすぐにこうやって鳴き出すんだよ」

 全員が田に集合し星野さんに植え方のコツを教えていただく。
「やったことないからあまりよく知らないんだけど……」で始まる星野さんの説明に一同大爆笑。手植えは最近やらないからとのこと。そうなんだ。苗を4~5束ずつ植えると良いとの説明だったので、苗をどのように持ちどのくらいの深さまで植えるのかを確認の為に質問した。

 小学生の時友達の家の田んぼを手伝った。人差し指と中指の間に苗を挟み,刺すように植えると習った記憶がある。その指をどれくらいの深さまで指すのか,指の付け根までなのか第2関節くらいまでだったのかを忘れてしまったのでその点を確認し皆の理解をフォローするためにナイスな質問をした(つもり)。
しかし星野さんはいつもの笑顔を崩さないまま「だいたいでいいよ」
とアバウトな回答で,田植えは始まった。

 友達の田植えを手伝ったその日の夕食,父に「おまえの植えたところだけ浅くて、明日プカプカ浮いているかもよ」と言われヒヤリとした。翌日確認に行くと,大丈夫だった。
打ち合わせの時も、田植え当日も、高校生達が植えた苗が翌日浮かんでいるかもしれないと言ったのに対し、星野さんは「大丈夫。そんなことはないよ」としか言わない。
でもやはり気になって次の日田んぼを見に行った。
大丈夫だった。
苗は浮かんでいなかった。
今思うと、子どもの時わたしは父にからかわれたのかもしれない。

 田植えから数日経った今も余韻を楽しんでいる。楽しかったイベントを反芻し、稲刈りの時は暑いから「すいとん」ではなくカレーにしようなどとイメージ作りしながら、ふとカエルの疑問を口にした。
「前の日はいなかったのに、水を入れた途端どこからやって来たのだろう」と。

するとチャーが「冬眠していたのが土の中から出てきたんだよ」
そうだ。カエルは冬眠するのだった。あの日鳴いていたのは先代達ということだ。水入りを合図に土の中からポコポコ出てきたんだ。だからまだ声帯滑らかとはいかず、心なしか弱い声だったんだ。そろそろ起きるかと出てきたところ、大勢に踏みつけられあわてて一斉に泥に潜った様が目に浮かぶ。そっちにはそっちの事情がある。

 地球を断面で見ると,人間はその一面で生を営んでいることを実感する。さらに、一面でしかない人間の営みにもこうして水入れの順番のように、無理が利かない決まりごとがあり、なんでも「大丈夫」と構えていれば大丈夫なんだということ、そして集いの労働の後はやはり「みんなで食べる」は必須であるということを体感した1日だった。

 田植えはおもしろかったの一言に尽きる。参加者の中高生だけでなく,保護者の皆さんからも感謝の声も多々上がっている。ここではおもしろかったことを振り返るつもりでいたが、カエルの一件が腑に落ちたところなので、あえて二つの気づきでまとめてみた。




農業は紐がポイント!?

2017-04-19 08:39:38 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
 NPO主催のハイブリッドスターライスプロジェクト、種まきを終えた。
 JAに務める卒業生に、種まきやるんだと言うと、「はしゅですね」と言われた。星野さんにいただいた作業スケジュールに『播種』と書かれていたが、そうかあれは「はしゅ」と読むんだ。
 田植え体験、稲刈り体験、そして収穫した際のわら有効活用でしめ縄づくり体験は多くの団体がやっている。しかし、播種からやるところはそう多くはないでしょう。
 播種はたいしたことやらないから少人数で来るようにと星野さんから言われていたので、陸上部3名、バドミントン部3名、計6名の精鋭達で行うことになった。
 競技が違うとこうも体型違うのかと感心するほど、ギュッと絞られた無駄のない骨格をした陸上部員達。無駄がないのは体だけではなく、口数も表情も。最初に発した声は返事の必要ないところでの「はいっ」だった。

 播種作業とは、苗床に土を敷き、水をかけ、種をまき、かぶせ土をする。この一連の作業は機械がやってくれるのだということが現地で初めてわかった。この作業での隊員の仕事はトレーをベルトコンベアに乗せること。出てきたトレーを台車に乗せること。そういえば最初の打ち合わせの時に、星野さんが「人手がいるのはハウスに運ぶときだけかな」って呟いていたな。
 とはいえ隊員はこうして来た以上は何か仕事をせねばと右往左往し、それぞれの持ち場を各自見いだし役割分担していった。ベルトコンベアによる流れ作業でトレーが動くと言ってもそれは工場のライン作業のように高速移動ではなく、非常にゆっくりとゆったりと進む。だから隊員達もその動きに合わせゆったりトレーを手渡し、置き、受け取り、運ぶ。少ない仕事に全力でとりかかろうとするから、とても丁寧な動き、手さばきとなった。こうして少し汗ばんできた頃、陸上部員の表情が緩やかになり、透明感のある笑顔が出るようになってきた。
 丁寧にモサモサ動く我々の周りを星野さんご夫婦はさりげなく先へ先へと歩を進めていた。
 星野さんが奥からガーッと出してきたのは、トレーをハウスまで運ぶ為のリアカーみたいなカート。これでハウス入り口まで移動し、並べる。
 ただ並べるのではない。整然と隙間なく、曲がらず並べる。そのために星野さんが目安となる紐を張った。「農業は紐がポイントなんだ」とチャーはしきりに感心。さらに、農業とは知恵と科学と化学とテクノロジーの融合だ!とかなんか小難しいこと言っていた。

 ようやく仕事らしい仕事ができると全員でトレーを運ぶ。
 運び終え振り向くと、いつされたのだろうか、銀色シートが被されていた。アルミホイルのようなこのシートは優れもので、保温力があり、光を通すのだそうだ。これで10日ほどで苗がびっしり出揃うらしい。途中温度管理や水やりについて質問したものの、管理は星野さんにお任せになってしまう。

 こうやって作業する間にも、肥料や種を買い求めに農家の方がやって来た。
「おっ、兵隊達いっぱいいて、いいな」
 やって来たおじさんはしばし高校生と談笑していった。

 一通り作業を終えお茶飲みながら、次は田植えだねってスケジュール確認していると、「手が空いた何人かは炊き出しやればいいよね」って星野さんが言った。
 星野さんの一言に一瞬心がざわりとした。
 そうだ、炊き出しやるんだった。言い出しっぺなのに、炊きだしのこと心の隅に追いやっていた。田植え当日は高校生と一緒になって泥いりじするイメージばかりが膨らんでいた。小学生の時に学級園での田植えで男子にミミズや蛙投げられた雪辱戦カムバーックの図ばかり拡大し、炊き出し業務に張り付く自分がどこかへ行っていた。
 田植えの前に炊き出しリストアップ、買い出し、下準備せねば。






ハイブリッドスターライスプロジェクト(仮称)第1回作戦会議

2017-02-09 14:40:21 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
 第1回作戦会議が居酒屋で行われた。
 たいていこういうことの始まりは居酒屋なんだよね。
 こういうことって、それは「みんなでわいわい何かをやること」。

 2年前NPOの企画でアルファハイブリッドマラソン大会を行った。
 バドミントン部と陸上長距離部がマラソンで競う。持久力ではひけをとらないと豪語するシャトラーが多かったが、さすがに天下の長距離部にかなうわけがないから、ハンディてんこ盛りでのマラソン大会だった。
 この大会は、種目の異なる部活が交流し、教室で机を並べる仲間の部活動での顔を知る日があってもいいじゃね? 的な理由付けはあった。しかし個人的には、「みんなにすいとんをふるまう」が目的だった。真冬に走ったあとなら一層美味しいだろうと思い、マラソンがセットされたというのが本音。
 スタートを写真に収めてから、寸胴鍋2個分のすいとんづくりにとりかかった。
 お手伝いの人と一緒に家で食材をカットしてきたので、当日は煮込んですいとんを入れるだけ。

 寸胴鍋で煮込むとはいっても、実際やるとなると場所の確保、コンロの準備、鍋に水入れ、そして湯をわかす。結構これらに時間がかかった。
「チャッカマンどこ?」
から始まるんだから。

 さてこうしてようやく灰汁を取り出した頃、

「最初の人、ゴールしちゃいました!」

 スタートとゴールの写真はしっかり撮るつもりでいたから、ゴールに見張りの人を立てていた。
全部作り終え、しばし談笑した後、ゴールする彼らを写真に収め労う、そんなイメージをしていたのに、
「なんだって!」
鍋の管理を他の人に任せゴールとなっている校門まで走ると、もうすでに陸上部が数名ゴールしていた。

「ゴール写真撮るから、もう一回あのあたりから着順通りに走って!」

とお願いすると、陸上部員達は笑顔を引きつらせながら走り直してくれた。それからバタバタとすいとんの完成に向けたのだから
「あんな忙しい思いはもうこりごり」
となり、去年も今年度もこの企画は流れた。正確にいうと、流した。

 そのお蔵入りさせていたハイブリッド再び!

「うちの田んぼで米作りませんか?」
なんて話が舞い込んだ。
「やります、やります」
となり、バドミントン部と陸上長距離部合同で稲作体験することとなった。

 田んぼ持ち主の星野さんとの打ち合わせ、すなわち作戦会議を行った。
 星野さんがあらかじめ打ち合わせ資料を作ってくれていたので、我々はそれを元に話し合いを進めた。
 子ども達が田植えや稲刈りをして米を収穫する、これがこのプロジェクトの目的。できればなんでも手作りで、というロハスなロマン路線で行こうとする我々に、できる限り寄り添ってくれる星野さん。
「今は皆機械植えなんだよね」
とぽつりと言ったけど、皆で体験したいという思いを受けとめそれに合わせて話を進めてくれるのだった。
 打ち合わせを進めいろいろ質問するうちに、これは植えて刈り取って、収穫できました!なんて簡単なことじゃないぞと思い始めた。米作りって八十八回の手がかかるんだよね。植えるまでの準備、途中の手入れなど残りの86回の手はどうするのか。結局星野さんにおんぶに抱っこになってしまいそうだなどと思うけど、星野さんはそれらに頓着することなく終始ニコニコ顔だった。
 そのくせこちらは「あーしたい、こーしたい」、と思うままにおもしろそうな企画を語ると、それに対して「大変だからやめとけ」とか「それは無理だ」などと否定する言葉は一切発せず、突拍子もないアイディアに対して、
「じゃ、こうしよう」
と実現可能路線で提案してくれる。
 そうして我々のテーブルには「夢」を詰めた気球がボワンと浮き上がり、プランを語るたびに大きく膨らんでいくのを感じた。

 夜9時を過ぎた頃、星野さんをお宅に送りがてら現地を視察することにした。

 10アールの田んぼって、いったいどれくらいの広さなのか検討がつかない。
 1アールは10m×10m。それが10個分。ということは10m×100m。田んぼの形としては20m×50mかなとプリントの裏に図を書きながら話し合っていた。じゃ、バドミントンコートいくつ分? 16面分くらい? と頭で描いたけど、具体的にイメージできない。
「米はどれくらい収穫できるのですか?」
と質問すると、
「480キロくらいかな」

 関東平野の真っ平らな地に、10アール単位で区画されたと思われる田んぼが並ぶ。月明かりに、狐の影が浮かび上がるような気配と、幹線道路の音と人家のたたずまいが近い里山。

「ここから、むこうの少し黒い線が見えるあたりまでだよ」
 ここで横1列に40人が並び田植えする。
 畦ですいとんとかカレー炊き出ししようと思う。

「(義父さんが)プリントまで用意してくれているとは思いませんでしたよ」
と星野さんの婿にあたる齋藤先生が言った。

 30年前。結婚してすぐの時に、夫は夏合宿を別所温泉でやりたい、その時子ども達に山登りやバーベキューを体験させたいと語った。父は夫のプランに楽しそうに乗り、その準備やら後片付けにも積極的に関わった。
 あの時の義父と婿の姿が蘇る。

 星野さんが終始笑顔でわたしたちの思いに寄り添ってくれること。あの時の父が夫の思いに全面的に協力し、一緒に楽しんでくれたこと。

 きっと楽しいことになる、と思う。
 田植えではミミズや蛙投げ大会になってしまうかもしれないけど。

アルファクラブがスタートした。

2016-04-18 12:23:27 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
4/6、今年度のNPOのアルファクラブがスタートした。
毎週水曜日、午後4時から6時。年間39回。
活動を始めて4年目に入る。最初は幼児1名だった。ラケット持つのすら容易でないような小さい子と一対一のレッスン。何かを教えるというより一緒に体育館で時を過ごすという感じだった。そうやって過ごしているうちに、体育館で活動を見かけてを興味を持った親子が訪れ、一人増え、二人増え。
バドミントン競技を通じて異世代が交流し放課後の子どもの居場所作りになる。また子ども達がスポーツ活動をしながら「読む、書く、話す」体験を積めるように、活動の中に意見発表、ノートまとめ活動を意図的に組み込んでいった。
これらの活動内容が子どもの体験活動として認められ、国の助成金を得ることができ、おかげで回を重ねる毎に活動を充実させることもできていった。

こうして迎えた4年目。さて今日から始まるぞというその朝。今年度の助成金不採択との連絡が入った。
なんでも今年度は申請が大幅に増えたため、やむなく却下とのこと。

どうする、今年の活動資金、などと思い悩むうちにクラブスタートの時間になり体育館に行くと、すでに子ども達は全員来ていた。ランニングバルコニーでアップし、私の到着を待っていた様子。

今日が初めてという親子が挨拶に駆け寄ってくる。初めて来た子の緊張と期待の表情。
最初の挨拶で円を作り全員の顔と名前を確認しながら点呼した。去年からの継続組のどや顔と初めて組の緊張顔が混ざる。
そんな子ども達の顔を見ているうちに、「ま、いいっか」という気になってきた。挨拶後の5分間走でいつも通り後ろから子どもあおりながら走ると、いつも通り子ども達が逃げ回る。この日はいつも以上にめちゃくちゃにダッシュしているうち、「なんとかするぞ」という気持ちになっていった。

練習内容を子ども達がノートにまとめてきて、最初に誰か一人が書いてきたことを読み上げる。その内容をネタに話し合いをすることにしている。「後ろに下がると転んでしまいます」と書いてきた子がいたら、どうしたら転ばなくなるかと皆で意見を言い合い、練習で実践してみる。そのノートには帰りまでにコメントを書き込んで子ども達に返す。(時間内に全員分を書くのが、これが結構大変)
なかにはノート提出をサボりがちな子もいるけど、毎回きちんと出す子もいる。
走り終えてノート発表タイムになると、今日は誰のノートが選ばれるのかと子ども達はいそいそし、自分があたると「うわー」と雄叫びをあげる。
いつも通りのノート発表を4月からの練習2回ともこのスルーしてしまった。提出したノートはいつも通りにたくさん積み上げられていたのに。

練習終盤、次々とノートめくりコメント書きながら、ふと手が止まった。
すごいこのノート。イラスト入れてていねいに時間かけてまとめている。思わず写メ。
内容を読むと、自分なりの課題が書かれていた。その一つに5分間走があげられていた。しっかり走れるように体力をつけたいと。

こんな思いに応える。今年もアルファクラブで楽しめそう。


形に残さないと認められない

2016-03-26 11:25:52 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
変則的な3月授業を終え、明日から春期講習がスタートする。
明日って、それは日曜日。日曜に授業を組むのは初めてだけど、曜日に関係なく日数詰め込んだ結果、それが日曜だったという感じ。

春期講習前にやり終えることがある。
NPOのニューズレター発送や、新年度のイベント準備。
そしてなにより、締め切りが迫っている子ども夢基金活動報告書作成。アルファクラブ1年間の活動報告書を仕上げ、電子申請と必要資料を簡易書留にて発送すること。

この報告書を初めて仕上げる時は四苦八苦だった。何度も担当者に電話で確認しながら提出しても、その後のチェックで訂正、再提出を重ねた。しかし2年度目の今年度はいずれの活動も終了から1週間以内に報告書が提出でき、どれもノーミスで通すことができた。
とはいえ、今年度最終に提出するのは1年間38回に及ぶ活動の報告書。チョロッと1日や2日間のイベントについて報告するっていうわけにはいかない。

前日朝から始め、文字通り飲まず食わずで書類と格闘。外が暗くなった頃、選抜で山形に行っているチャーから「何してる?」って電話があり、そこで初めて夜になっていることに気づき、この日はこれにて終了。
そして翌日となる昨日はバンの点滴やり終え、さて作業に。

昼過ぎには完了し、まあまあのできかな。
こういうことってその場で、毎回活動終了後にすぐにやっておけば最後に苦労しないのに。電子申請画面にその都度入力しておく。これだけで相当作業が軽減できる。次年度こそは絶対そうする!

NPOは人に対する活動なのに、パソコンに向かう時間が多い。
何でも紙ベースで形に残さないと結果を残したことにならないから、何をやっても最後はパソコン作業となる。
先日終了した「モルディブ共和国バドミントン協会女子ジュニア選手支援育成事業」では、活動終了後に記録書を作成した。この記録書はイベントの後始末のつもりで作り始めた。何かを形に残さないと感動も思い出も薄れてしまうし、祭りが終わった後の寂しさを皆で味わい次にスタートする弾みにしたいと。そんな「思い」を形にするのは、パソコン。ずーっと座りっぱなしの作業。
絵や彫刻で形に残す、そんな仕事に没頭したいのに。

明日からは春期講習だ。
パソコンから離れ人と対面する時間が増えるぞ。

ボランティアとは

2016-03-15 19:34:38 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
あ、そうだ、久しぶりにブログ更新しようと思うが、これだけ空けるとまずログインに手間取る。あーでもない、こーでもないとやっているうちに、リビングに置いてきたバンが心配だからまた今度にしようと思う。が、なんとかログインできたのでモルディブの滞在記を、今更ほじくり出すように続きを書きます。

どんなことも準備が大変で、楽しい。
ナビ、ナバがこうすれば喜ぶかもしれないとみんなで打ち合わせした日々。
ムスリムの彼女たちを歓待するための食事学習会を開いたり、生活習慣への対応について話し合う際、最初は「郷に入れば郷に従えでいいんじゃないの?」という意見は少なからず出た。日本に来るんだから日本に合わせれば良いでしょ、と。しかし、親元を離れ寒い日本にやって来る彼女たちのことを思いながら準備するうちに、誰もが「彼女たちのためにできるだけのことをしてあげたい」と考え始めるのでした。そんな空気に包まれるから、みんなまさに「喜んで」(avec plaisir =volontiers )の思いになっていったのでしょう。
そうして彼女たちの衣服を用意しているとき、保護者会のOさんが、彼女達が成田空港ですぐに使えるようにとマフラーともこもこソックスと手袋を用意した。双子だからと同じ柄の色違いで。さらには寄付で集まった滞在中の衣服を二人分より分け、これも柄をそろえ、色分けするという気配り。

東京マラソンの沿道ボランティアしかり。

この企画を立ち上げた時に、どのようにホームステイ先確保の方法を関係機関に相談した。その専門機関の担当者から、1泊ならなんとかなるけど、2週間もそれも2人一緒にステイできる家を探すのは無理だと断言されていた。もしそんなところが「おたく達団体で見つかるならすごいことですよ」と言われていただけに、今回のホームステイの実現は「すごい!」ことなんです。

さらに、
ホストファミリーの一人が見送りの空港でこうつぶやいたのが印象的。
「もっと何かできたかもしれない」

人の気持ちについてしみじみしたところで、子ども達の顔を思い浮かべながら明日のアルファクラブ最終回準備にとりかかります。

[モルディブ共和国バドミントン協会女子ジュニア選手育成支援事業] 準備編②

2015-11-28 08:56:38 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
モルディブというのは暖かい国なので、11月下旬に日本にやってきたらさぞ寒いでしょう、ということで保護者の皆さんが滞在中の衣服を用意してくれた。
空港に着いてジャンパー渡すだけでなく、「きっと、もっと寒がる」って言って手袋、マフラーを買って用意してくれた。
さらには、学校滞在時は高校生のクラスに入って一緒に過ごすからと、卒業した子から制服を調達してまでくれた。
その制服を見て、「テンションあがるー」って喜ぶS理事。「これ見たらきっとあの子たち喜ぶよ!」って、そうだねよ、そっちだよね。
この制服着て、学校でお勉強するんですよってナビとナバに連絡したら、「私たちは何の勉強をするのでしょうか?」と少々不安を抱えたかなってメールが返ってきた。you'll studyじゃなくて you'll enjoyにしておけばよかったかな。

モルディブの方たち、豚肉とアルコールはご法度であることは知っている。しかし犬がだめだなんて!犬がダメって、それはもちろん食用としてではなく、ペットとして家にいることです。しかも家の中に。
2月にこの話が立ち上がった当初から、我が家がステイ先の一つであった。しかし、かなり近くなってS理事は「あっ、そういえば」で話を切り出し、「犬、だめでしょう」と夜は犬が家の中にいる我が家を指して言うのでした。「え?いまさら!」感はぬぐえないものの、「バンをどこかにステイさせて」ってもっと無理な話になるので、急きょムスリムご一家であるお宅にステイをお願いした次第なのです。

S理事にとっては、モルディブの人は犬はダメであるはあまりにも当たり前のことで、リビングで夜を謳歌しているバンをたびたび見ているのに、「言わなくてもわかっていること」とスルーしてしまったのでしょう。文化とか価値観はそこにいると頓着するものではなく、異文化に接して初めて意識するものだ。実にどっぷりモルディブなS理事が抱いてきた事業が、ついに明日始まる!

送別会を予定しているホテルレストランから昨日メニュー表が送られてきた。
今回は主賓がムスリムの方であることへの配慮から、すべてハラール料理を提供してくれることになった。そのメニューを眺め、今から早く食べてみたくて仕方ない。彼女たちが滞在中の食事会は、どこのレストランも特別にハラール対応してくれるとのこと。会に参加する私たち、関係のみなさん、視察先の仙台の高校生を含めたみなさん、交流する筑波の学生さん達もこれを機会にハラール体験できますね。



【モルディブ共和国バドミントン協会女子ジュニア選手育成支援事業】準備編①

2015-11-20 09:12:07 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
2月モルディブ共和国バドミントン協会からムーサ会長が来日し、「うちの選手、めんどうみてくれない?」なんて話が出て、じゃホームステイでやりましょう、「いいよ」「いいねー」で話がまとまった「ココス会議」から9ヶ月。いよいよ、本当に選手がやって来る。

「いいよ」と言ったあの時、パーッと広がった夢。
それは、20年以上も前に選手として野田にやって来た今の会長が、今度はその教え子を連れてやって来る。その子たちは2020年東京オリンピックを目指している。そんな子たちと交流できたら、きっと野田の子どもたち楽しいだろう。目線が世界に向かうだろう。オリンピックが身近なものに感じられ、中高生たちが彼女たちと一緒にオリンピック目指すなんてのも悪くない。そしてもし本当に、モルディブの選手が東京オリンピックに出場したら、みんなで応援に駆けつけることだろう。そんな祭りの日々が思い描かれた。

5年前の夏、カナダから一人の少女がやってきた。彼女は真っ赤になりフーフー言いながら西武台で練習した。世界に行くなんてほど遠いと思える少女だったのに、その子が先ほどカナダを代表して世界ジュニアに出場したのだから。今回来るモルディブの子たちにもそんな日がやってくるかもしれない。

とはいうものの、引き受けを実現するために具体的にプランニングすると、どんどん暗くなっていった。何より頭を痛めさせたのは、ステイ先と資金の確保。
NPO理事会でこの事業はやるのやらないのと話し合ったあげく、まずはマイナス面から話を詰め堂々巡りしたあげく、最初に描いた「夢」に戻り、「これをやったら、きっと楽しい!」という当初の明るいイメージの力が事業化に向かわせた。

モルディブの選手、ナビ・ナバが滞在するのは11/29~12/14の16日間。
準備を進めているうち、この前半10日間は外務省主催スポーツ外交事業となった。
「スポーツ外交」そう私たちが描いた夢の一部を難しい言葉に置き換えると「外交」。準備している時が楽しかったなんて後になって言うことあるけど、言葉が難しくなったのに比例するかのように準備の難しさも増し、やりつけないことを四苦八苦し、それはそれで自身の進歩の日々であるのだけれど。

さて準備とは書類上のことだけでない。
大事なのは彼女たちの滞在をどのようにサポートし、どのように交流し、どのように楽しむか!
モルディブはムスリムなので食事をはじめとした生活習慣が異なる。そのあたりをどう対応するか、快くホームステイを受け入れてくれた家庭のお父さんお母さんに集まってもらい、先日勉強会を開いた。
ハラール対応食品の見分け方に始まり、滞在中の彼女たちの冬服のチェックなどした。常夏の国からやってくるのだから、半そで短パンで成田空港に降り立つかもしれない。まさかそれほど極端ではないにしても、彼女たちが冬用ジャンパーなど持っているわけない。ということで、部活の保護者の皆さんが防寒衣類から用品を一式寄付で準備してくれた。それを丁寧により分け、二人分セットしたものをチェックする。トレーニングウェアや普段着をこうして広げると、急速に彼女たちの滞在が現実味を帯びてくる。

来日まであと9日。




千葉県最北端αゾーンサイクリング 本番の巻

2015-11-06 13:49:22 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
先日のアルファゾーンサイクリング、小雨だったらやるかやらないか主催者は英断せねば!という悩ましい事態は起きず、朝から快晴。
飛び入り参加があるかもと予定出発時刻まで待ち、我々は定刻に出発した。
スタート地点の西武台千葉高校正門まですでに15キロ自転車に乗って来た人もいるし、通学に自転車使っている人もいるから、今ここでこぎだしたペダルに格別な思いはないかもしれない。自分にとってチャリは非日常だからそう思うのかもしれないけれど、自転車の隊列は踊るようにルンルンと正門を飛び出して行くのでした。(そう見えた)
通行は一列で!って言ったのに、プログラムにも注意書きしたのに、我先にと進みたいみんなは前の人の脇に広がろうとしてる。ちょっと、イラッ。前が見えないと気が済まないせっかちさんや、はみ出すの大好きなやんちゃ君たちを引き連れての行程、さぁどうなることやら。





雨だったら中止。休憩時の果物は前日まで買わず、またカラー印刷でコスト高になるゼッケンやプログラム印刷は天気が確認できるぎりぎりまで印刷しなかった。だからこそ、直前まで手を入れることができたのでプログラムマップは遊びながら作った。
下見の経験から、ここは犬の落とし物多いとか、野良犬に追いかけられるよとか、強烈な家畜臭が漂うよなどといくつか注意事項を描きこんで楽しいものにしたのに。
なのに、医者に行くと「昨日までここが痛かったんですけど・・・」って痛いところ探す時と同じで、本番では野良犬は出現しないし、目立つ落とし物もなく、さらに家畜の糞臭もほとんどない!
せっかく牛のイラストに吹き出しで「sorry!」と描き込んだその意味、みんなに通じないじゃん。後ろから走るチャリオ君たちが牛小屋横を通過しながら、「野田も家畜の住人です」「違うわ、家畜も野田の住人ですだろ」とイラストのフレーズ暗記してくれていたのがせめてものお慰みかな。



いざというときのために車部隊が土手脇を併走。随時先回りして写真撮ってもらった。
トイレ駆け込み組やリタイア者(自分)のために一台は軽トラ。
土手道脇をもうもうと砂埃巻き上げながら、自転車と同じスピードで走ってもらうのだから、伴走スタッフの皆さん、本当にご苦労だったと思います。
運転手は「そっちのが楽しそう」とポツリ。



第一休憩地点で少し長めの休憩。バナナ食べて、ただそのあたりでおしゃべりして過ごした。その後出発し、昼食場所になっている関宿城博物館広場に到着。

ここで女子高生2年生グループが、関宿の渡しや治水の歴史について発表を行ったのです。参加者はチャリで走ることがメインのつもりだったかもしれないけど、企画としてはこれがメインイベント。彼女たちが自分が住んでいる地域を調べ、皆に説明する。なんとも教育的な企画でしょ。野田の醤油、利根川東遷事業、関宿の由来、水閘門、龍Q館について発表した。日頃練習で忙しい彼女たちがいつまとめたのか、どうやらそれは前日の突貫工事だったようで、ご苦労様でした。
一通り発表を終え、質疑応答も行われ、そして部長はこう言った。
「昔の人たちが努力して今の地域を作ってくれた。私たちがいつも練習できる恵まれた環境があるのは昔の人の努力のおかげです。だから感謝して学校に通ったり、練習したいと思います。」(おおむねこのような発言だったかと)
こうやって書いてしまえば、当たり障りのない優等生な発言だと思えるけど、このときの発表者の真摯な瞳が放つ実感が胸を打ち、大人たちは皆大きくうなずくのでした。ちゃんと人の話聞いているのか!っていうもぞもぞ君もいたけど、参加者が「私もいつも普通に練習できることに感謝したいと思いました」(おおむねこんなこと言った)というこれまた実感のこもった感想が述べられ、すーっと心がゆるやかに広がっていくのでした。



それから昼食休憩を長めにとる。
いつもの生活ではこんな休憩時間設定しないよね、っていうくらい少々長いと感じる休憩タイム。
食事後特にやることないまま芝生広場でゆらりと過ごす。
下見の際は家から家まで、一切休まなかった。だからあれほど疲れたんだ。今回は休憩をしっかり取っているからまったくもって平気。休憩って大事だね。




関宿城を後にし、後半に突入。横に広がるなって注意しているのに、やっぱり広がる。おちょうし君なんか、ジグザグまでしている。いちいち注意しているのもストレスだからもう見ないことにしようと割り切るのだけど、はしゃぐ子たちの様子見ているうちに、「楽しそうだから、いいか」という気分になる頃には土手道も広く、ゆったりと走ることができた。
上空をセスナとグライダーが飛んでいく。



そもそもこの企画は当初「歩こう」だった。下見をチャリで行い、土手に着いた時点で「歩こうはやめよう」となったのだった。歩いたら今日中に帰れないじゃんという意見もあり、じゃサイクリングでとしたものの、サイクリングだってとにかく疲れる。最後よれよれになって帰った経験から、半分「雨降ればいいのに」という気持ちのまま迎えた当日だった。
こんなんだから、来年はやらないかもしれない、いややりたくない、絶対にやらない!と思っていた。
しかーし、ゆったりとした休憩時間のおかげで疲れは全くないことに加え、発表した高校生の姿、微に入り細に入りお手伝いしてくださったスタッフの気遣いと連携プレイ、そして何より秋空の下、みんなの開放感。

きっと来年もやります。

千葉県最北端αゾーンサイクリング 下見の巻

2015-10-11 15:04:20 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
NPOの企画で11/1に千葉県最北端αゾーンサイクリングやります!
なんてね。最初は「歩こう!」だったんだけど、下見の結果「サイクリング」に変更しました。
全行程35キロ。
一昨年、上田ロマンウォークで山間部含む22キロを、だらだら歩きや要所要所での見学を含めても6時間足らずで歩いた経験から、何もない土手を歩くのだから35キロだって軽い、軽いと思ったものの。

下見は自転車で決行。
物置から折りたたみチャリ取り出し、数年ぶりにまたぐので整備し、いざ出発。
前回このチャリ使ったのは確かジュニアチームで関宿城に行ったとき。あのとき固定レバーが正しくセットされていなくて、関宿城博物館駐車場に入る時にハンドルをひねった瞬間転んでしまった。そんな前回の痛ーい経験がよみがえり、うちを出るとき確認すると、またもやきちんと固定されていなかった。危ない、危ない。また前回みたく痛い思いするところでしたよ。

家に置いてけぼりにされたバンの情けない声を背中で聞きながら、まずは利根川土手を目指す。土手までは快調なんだけど、すでにおしり痛し。



利根川土手にバンと散歩に来るといつだって野犬に追いかけられる。今日はいかに。
ほら、やっぱりいる。前方からこっちに向かってくる。少し離れたところに人がいるから、あれは野犬ではなく、土手で犬を押っ放して散歩しているんだなと思う。今日はチャーが同行しているから、いつもよりは気は大きくいられるけど、一応チャーの後ろを走る。いつもだったらすれ違いさまに臭いかぎに近づいてきて、そのまま後ろからついてくる犬たちなのに、今日はまったく無視で通り過ぎていった。
すると程なくして、さらにもう一匹。やつはポインター。大型の猟犬ですよ。これも飼い主が押っ放した様子だけど、たとえ近くに飼い主がいるとはいえ、こちらむかって疾走してくる様は恐い。しかし今日はこやつもなんなくスルー。我々に全く関心示さないまま走り抜けていった。



人里が消えると犬たちもいなくなり、しばらく家畜臭充満する中を走り抜け、休憩ポイントチェックし、ようやく中継地点の関宿城に到着。
そうそう、ここでこの前転んだんだよね。
と思いながら転んだポイントを過ぎたそのとき、下り坂でブレーキを効かせられないまま植え込みに自転車ごと突っ込んでしまった。なんで、なんで止まらなかったの!状態でしばし茫然自失。物音に気づいてチャーが振り向いたときは、植え込みから左足が高く上がっている図が見えたことでしょう。
幸い前回のように怪我はしなかったけど、ハンドルが少々曲がったけど、服はたくさん汚れたけど、特に痛いところもなく、結果はたいしたことなかったけど、植え込みにそれなりのスピードで突っ込んだあの感覚がいつまでも体から抜けない。「やばい!」に続いて「うっそー」と心で叫んだあの感覚。

しかしここでくじけるわけにはいかない。
行程としては半分残っている。
江戸川土手は利根川とは違い、景色が開け人里の気配があるからちょっと安心。
序盤で痛くなったおしりはもう限界に近く、本番はシートクッション必需品だなと思う。
ようやく江戸川土手を降り、日頃のバンの散歩コースをチャリで走り抜けるという非日常体験をすこーし楽しみ、くたくたになって到着。
これにて「歩こう」はやめ「サイクリング」に変更とあいなりました。




今回の企画はただサイクリングで走り抜けるだけではないのです。
高校生たちがコースに関する歴史を調べ、昼食時間に関宿城博物館広場で発表します。
それは「渡し」と「治水」の歴史について。
自分たちが住む地域の歴史を調べ、実際にそこを走って確認する。


好天であることを願います。

危機意識の持ち方

2015-09-15 09:48:29 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
先週水曜日。大雨の日。
午後4時からのNPOのアルファクラブをやるかどうか迷い、コーチに相談すると、「やろうよ。来れる子だけ来ればいいからさ」。
体育館に確認すると、「雨だから、いつもより利用者多いですよ」。
1週間に1度の練習を心待ちにしている子だっていることだし、送り迎えに不安がある家庭は休むだろうから、やるだけやるか。とはいえ不安はぬぐえない。
心配性の自分としてはこういう時悪い方に悪い方にと考えてしまう。
性分だけのものではない。こういう体験があったから体験が性分を固めたとも言えるけど。

川間ジュニアを始めたばかりの頃のこと。台風が近づいている時、あまり気にせずに通常練習を開始した。家を出るとき、「だいじょうぶか?」と声をかけられたけど、「子ども達楽しみにしているから、(練習)やるよ」と普通に家を出た。体育館に向かうときは風が強かった。学生コーチ数名が自転車でやってきた。子ども達もいつも通り集まってきた。そしてノックが佳境に入り子ども達の大声が響いていた頃、外は豪雨になっていた。幹線道路は冠水し倒木で通行止めの箇所も発生していた。そんな中気にもかけず練習していて、迎えに来た保護者の連絡で中止したという苦い経験がある。
このときは、後々「コーチから中止連絡入らなかったから子ども送りました」と保護者に言われ、上に立つものの責任を痛感した。

時折ザーッと強い雨が降る中、このあたり帰路冠水しそうだなと一抹の不安を抱えながら開始15分前に体育館到着すると、コーチも子ども達数名も入り口で待っていた。
体育館受付していると
「今日、ここ避難所になるかもしれませんよ」
市役所から対応準備するようにと連絡が来たとのこと。
なんとなく事務所内はザワッとしているけど、晴天の時は外で活動している幼児クラブ団体がメインアリーナで歓声上げているから、いつもより体育館は活気がある。

いつも通りネット張って、いつも通り練習始めたら、次々訪れる子ども達。
結局この日は全員出席だった。

まるで豪雨の間を縫うように、帰る時間は雨は小降りだったので何も問題なく通常に始まり終えることができた。
結果は「やっぱりやってよかったね」だったけど、こういう時どう判断するか、どう決断するかはいつも悩ましい。

本気の「気」

2015-06-12 16:19:33 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク
インターハイ予選女子ダブルスにて。
某高校の体育館で行われた。選手用のスペースや観客席は十分にないだろうから、会場ごった返しだっただろうなと思う。
だったというのは、自分は観に行かなかったから。
庭木剪定やら、自治会活動があって行かれなかった。

帰宅後夫はその試合の様子を事細かに説明してくれた。うるうるしながら。
特に決勝戦のこと。
選手の様子、ラリーの内容、観客席の反応。これらの会場の空気。

ふんふんと聞きながら、世紀の名勝負だったらしいこの試合を見逃したのは、つくづく残念に思う。どんなにうまく説明してもらっても、臨場感を想像しても、本物の感動を得ることはできない。ラリー中の選手の息づかい、静まりかえる館内、そして喝采。そんなシーンを目に浮かべることはできる。でも現場で、その場で皆と感動を共有したかった。

同校対決となった決勝戦は、端から見れば緊張感も応援のしがいもない試合かもしれないけれど、当の本人にとっては本気の一番。そんな彼女たちの「気」が圧巻だったらしい。
それはチャンピオンを目指す、プラスの「気」。

何かを一生懸命にやっている人が出す「気」はエネルギーに満ちあふれている。