バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

子どもと大人の中間

2016-05-04 19:23:27 | バネ
バネの新しいクラス割りが始まり1ケ月経った。
未だに、今日は誰が何時から?とスケジュールボード確認しながら授業準備するのだけど、ちょっと重たいクラスがある。あー、今日はあの子達かと思うと気持ちが重たくなるというか。

一人が話すと皆一斉に話しだす。質問すると、答えるまで聞き続ける。勉強の質問ならいざ知らず「先生、いくつ?ねぇ、いくつなの?!」とこんな質問でいつまでも食い下がってくるから、これをテキトーに交わしたり、相手したりの時間に少々辟易していた。
よーし、今日こそはこの気持ちをまっすぐあの子達に伝えよう。このクラスは楽しくない。こちらが一生懸命やっても応えてくれないから、つまらないって伝えよう。

全員が揃った。しばらくざわついていたけど、こちらが黙っているとジワリジワリと静かになったところで切り出した。
すると、「先生、僕たちのこと嫌いなの?」と直球が返ってきた。思わずよけきれず、正面でキャッチしてしまった。「このままだと嫌いになる」と返すと、「じゃ、どうすればいいの?」
こんなやりとりをしているうちに、おかしさがこみ上げてきた。そのときニヤッと口角があがったのだろう。その後はまたいつも通りの質問攻めが始まった。

キャッチボールを続けながら、舟がゆらゆら揺れながらしているうちに、お互いのバランスがとれてきた感じがした。
こうなってくると、このクラスは楽しい。
次に鋭い質問が来たらどうやって交わしてやろうかと、「なんで、なんで」のフレーズをを待ちわびる気持ちになってきた。
なのに、このクラスの授業は連休後の1週間後ですか。1週間もあの子達に会わないのか。

と思っていたら。
「今日授業ないんですか?」
塾バック下げてやってきた。
ごめん、今日は休みと伝えると、「勉強したかったのに。」

いいね、いいね。


全てを一度に新しくする危険性

2016-04-11 08:54:28 | バネ
新年度が始まった。
授業時間割と出席人数を体で覚えていないので、毎回出席ボードで確認して授業の準備する。
今日はこの時間は最初は一人だからゆったりできるな。しかし途中から3人来て、そのあと4人来てなどと入室シーンからシミュレーションする。

みんなの希望を取り入れるから時間割はいつだって複雑になってしまう。同時に入出、退出して同時に入れ替わるわけではないので、多学年が重なる時間がある。小学生と中学生が混在するだけでなく、受験組、補習組とそれぞれのゴールが異なる子が混じる。さらにはバネスタート時期が異なるので、個々の進度も異なる。
今年度は特に複雑な気もするが、しかし思い直してみるとこういった状況は今年度だけのことではないや。いつだってこんな状況。でも何か今年はなめらかに行かない。

いろいろと効率よく立ち回れなくなった?
年のせい?
などとため息付きながら、複雑な組み合わせをなめらかに回すためにと工程表を作成し、時間に合わせて資料を重ねていった。上から順々に使っていけば全て回る。ただこうやって事前に準備した時は大抵うまくいかないんだよね。人相手のことなんだから、何事も予定通り行くわけない。ほら、案の定。用意した問題をさっさと終える子がいる一方、すっごく時間がかかる子もいる。後者は手厚くケアしないと大きな穴を作るからそこで一緒に立ち止まり、急がさず待つことにする。するとほらその後ろで暇そうにしている子がいる。

4月はいつもこんな感じ。
でも子ども達もしばらくすればこんなバネの進め方の要領を得てきて、今先生はあの子の説明しているからここの質問は後にして、それまでは先に自分はこっちの勉強しておこうなどと「自学」するようになる。いつもこんなもの。慣れればお互いうまくいくよ、と思うものの何か違う。

ふと気づいたのは、教室内の模様替え。3月下旬に床張り替え工事したついでに、全面模様替えした。
だから、いつも使う場所に鉛筆削りがない。本が同じ棚にない。
笑っちゃうのは、いつも文具を置いていた場所に今は何も置いてない、なのにその空虚なテーブルに鉛筆取りに向かう自分がいる。
「あ、ちがう。」
を繰り返す日々。


うーん、これらに慣れる頃になったら庭のハナミズキが満開になるかな。

バネ、新入生を迎える

2016-03-26 12:26:57 | バネ
明日からの春期講習を前に三者面談をやった。
三者って、生徒、保護者、先生ではなく、保護者2名と私。

この子は小1からバネに通っている。
バネ生の甥っ子にあたるので、2代目バネ生。

以前バネには小学1年生がたくさんいたが、一学年に生徒が固まったのでクラス駒割上その前後の学年が募集できなかった。そうして小学生の募集制限しているうちに、学年があき、ここしばらくは低学年のクラスは作らないでいた。
低学年を引き受けていないのに、1年生の入塾希望。「どうしてもお願いしたい」と言われたので、お互い無理だったらいつでもやめましょうと言いながら始め、結局3年間続いた。

3年前、脱ゆとりで1年生なのに入学1週間後には午後まで授業があり、それなのに週2回バネに通う。この子にとってはとてもハードだったことでしょう。最初は居眠りしたり、ぐずったり。そんなときは「寝たければ寝ていいよ」と言い、その寝姿や「イーッダ」って口を広げた顔をスケッチした。その子が今は自学できるようになっている。特に3年生の後半になって思考力が高まり、学習が落ち着いてきた。ここまで成長したので、これからは徹底的にご家庭で褒めてほしいと伝えたくて面談した。スケッチを見せながら。



面談を終え少しほっとしていると、新6年生のお母さんから入塾問い合わせがあった。
「曜日はいつですか?」
回数も時間も、曜日も決まっていません。クラスや生徒の状況で決めるのです。
電話口から「??」の様子が伝わってくる。
部活や習い事の関係で小学生の時間に中学生が来たり、時間をずらしたり。そんな生徒さん個々の状況に応じて駒を埋めていく。

そういえば、去年卒業した子の弟君、入りたいって言ってたな。こちらの駒割りも早いうちに相談しておきたい。

新しい子が来る新学期は緊張すると同時にワクワクする。どんな子なのか、どんな授業になるのか。
先日から加わった新人君はバドミントンでよく知っている子。でも、案の定、体育館にいる時とと教室の時で様子は異なる。友達が多い体育館の時と、先生と個々に対面する教室との顔の違い。その違いがおもしろいしこっちが素なんだろうなと思う。

自分が小学生の時、塾はなく唯一近所にそろばん教室があったのみ。だからみんなこぞってそのそろばん教室に通った。放課後のたまり場のように。そこに行くと学年ごちゃ混ぜになるから学校とはまた違う人間関係ができ、それはそれで楽しかった。検定を目指すというそれなりの教育モチベーションもキープできて良かった。
日頃はおしゃべりするけれど、検定前になると教室内緊張感が走った。子どもの多い時代だったからか、室内はいつも混雑していた。
今、あの時の先生役を自分がやっているんだな。

新規募集要項作成中

2015-02-04 11:49:18 | バネ
 いつもこの時期あーでもない、こーでもないと画策するのは、新年度の時間割。
 バネ生は中学受験終了して卒業していく以外は高校受験終了するまで、というより中3の3月まで継続的に通塾する場合がほとんど。
 だからこそ、今通っている子をベースとして時間割を組み募集人数を決めていく。ここは個別対応であと一人までかなとか、ここは集団でも成り立つからあと数人入れても大丈夫だなとか、ここは単一学年で固めた方がいいな等。
 先日小学1年生のお子さんを持つお母さんが、「1年生にどうやって何を教えるんですか?」と聞いてこられたので、授業内容を説明したらいたく興味を持ったようで、「ただ、今いる子が優先だから、募集するかどうかはその状況次第ですよ」と付け加えると、「それって、最初に入った人チョー得じゃないですか!」
 そうだと思います。広告出さないで口コミだけで来てもらっているので、出会いの縁を大切にしています。

 今年も時間割作成で悩んだ末、午後4時開始のコマを作った。4時から授業やるのは5年ぶり。
 あとはこれらの決めごとをアウトプットして、募集要項作るだけ。これが結構大変なんだけどね。

子供はいつも変わらない

2015-01-31 20:37:09 | バネ
先日描き上げたヒマワリの絵にそれなりの額をつけたい。中川一政さんが額を手作りして彩色したように、自分もやってみたい。
額の作り方を頭の中でいろいろ組み立ててみる。家にある額を分解してみる。いろいろ考えてみるけど、そう簡単にできそうもない気がする。
考えてばかりでもしょうがないので、目指す木材が手に入るのか近所のホームセンターに行ってみた。とりあえず今日は下見。
店内をぐるぐる回っていると、通路の先に小学生軍団を発見。見た事ある顔の子。子供たちが近づいてきて、お互いにその顔を確認。
その小学生たちは、いつもサタデークラブに来ている子で、ニコニコしながら駆け寄ってきた。買い物の雰囲気ではないし、何やら皆ノートを持っているので、「学校の授業できたの?」と聞くと、皆声を揃えて「そうで~す。」
お店の商品を調べているのかと聞くと、そうではなくて買い物している人へのインタビューしているのだと言う。
では社会の授業かと聞くと、「国語です。」
よし、ではここで授業に協力してあげようと質問を待つと、ノートに鉛筆で何やら書き込んでいる。上から覗くと、「バドミントンのお姉さん(コーチ)」と書いているではないですか。お姉さん!だって。他の子はバドミントンのおばさんって書いたかもしれないけど、そこは確認せず。なんとなくもぞっとした気分のままインタビューを受ける。
「このお店ができて不便になったこととか便利になったことを教えてください。」
「不便になった事はありません。便利になった事は、何かを手作りしたいと思ったときに必要なものが買える事です。」
うーん、これでは国語の記述模範解答みたいなしゃべりになってしまいましたね。おそらくこの子たちは、コミュニケーションと話し言葉を書き言葉としてまとめる学習をしているのだろうに、まとめ風にしゃべってしまいましたね。言葉を逐一書き写して、子供たちはいつものサタクラのはっちゃけぶりなんか微塵も見せず、かしこまって「ありがとございました。」
とペコリと頭を下げ、「次は男の人に聞こうね。」と店の奥に消えていった。
子供って変わらないなと思うのはこういう時。学校で出された課題にグループで大真面目に取り組んで、ノートに鉛筆で書いているし。

今の自分は、あの頃子供だった自分に対応してくれた大人のようだったろうか。

つるかめ算にとりくむ

2014-07-01 15:27:44 | バネ
 小学生につるかめ算を教える。
 解き方になじむと、これって「つるかめ」で解けるよとヒント出したり、子ども達が「これはつるかめ」ですねと言ってくるようになる。

 鶴と亀合わせて10匹で足は24本です。それぞれ何匹(羽)いますか?というパターン問題。 設問読んでも「さっぱりわかりません」とわからなすぎてニコニコしている子。何となくわかりそうと言ってモヤッとしている子。自力でサクサク解く子。もちろん簡単な数なら適当に当てはめて正解出せるけど、分数や小数が入ったり平均が絡んでくるとそう簡単にはいかない。
 家族に質問するとたいていはこうなる。「こんなのX使って解けば簡単でしょ。」ここがミソです。小学生は方程式は使いません。方程式を使わないで説明してというと「そんなのわかるか!」となる。

 面積図で説明する方法があるけど、バネは表を作ってトレード法で説明。
 どんな子も数回練習すればトレード法で解けるようになる。
 そうやって小学生の時バネでつるかめ算やって中学生になった子。
 連立方程式にとりくんでいるので、「これってつるかめ算だよね」と言うと「へー、そうなんだ!」「ところでつるかめ算って何だっけ?」

 方程式は便利。でも方程式で解き始めると頭の芯で考えなくなるんだよね。式立てたらあとは機械的に解いちゃうみたいな感じで。こういう状態の子は場合の数や確率で頭の芯まで指令が行かなくて、手こずるんだよね。

計算の見直しはしてはいけない。

2014-06-26 15:05:48 | バネ
 バネの中学生。
 定期テスト前でザワザワしている。不安と焦り。
 たかが学校のテストじゃん、それよりもっと大変なこと一杯あるじゃん、などと大人になれば鷹揚に構えられるけど、当事者の気持ちはわかる、わかる。あれ出たら困るとか、あの辺よくわからないなど勉強すればするほど不安になってくるもの。そしておきまりのフレーズ、「何で勉強しなくちゃいけないの。」そうやってイライラしている子の1人が、「(数学)最後までやると見直し時間とれないんですよね。」と言う。
 そこそこにできるのに毎回ケアレスミスで地団駄踏む子。マイナス書き忘れただの、問題見間違えただのと。この子はせっかちさんだなと思う。
「数学は見直ししてはいけないよ。特に計算は。」と言うと、「え、なんで?」
 1回でズバリ正解を出さないといけませんよ、一度自分が書いた答えのミスは見つけにくいものだからと説明。後で見直そうと思いながらやるから、どこかいい加減なまま先に行ってしまうんだよね。「そう言えばそんな気がします。でも焦っちゃって、チャチャッと計算しちゃうんです。」
 ほらね、やっぱりせっかちさんだ。目の前のことに集中できないタイプだ。
 計算問題はいつもの1.2倍の時間かけるつもりでていねいにゆっくりやって、その代わり見直し時間はとらないようにしてごらん。

 こんなアドバイスが効いたかどうか。

わかれば楽しい

2014-04-12 11:43:16 | バネ
 バネ、小2授業。
 4月から90分授業になったので、随分ゆったりいろいろできる。

 先日は算数から始めて国語に入ったら、国語は投げ出し気味だった。だから2回目の昨日は国語から始めた。だいたいみんなそうだけど、国語が苦手。本読み嫌い。今日はどうかな?と様子見ながらテキスト広げると、「これ、難しいよね」ってすでに思考に蓋している。やっぱりだめか。無理強いしてもしょうがないので、得意な算数に切り替える。

 先日までの春期講習新中2クラスは、6日間国語だけを徹底的に取り組んだ。1冊のテキストを5日で終え、最後に実践問題で解答作成トレーニングした。
「いつも国語が合計点数の足引っ張ります」という子や、「答えは合っていても、なんかできている気がしない。」
 皆同じことを言う。

 そこで物語文、説明文の読み方、というより「設問の読み方」を解説。そして答えは必ず本文中にあること、出題者が答えて欲しい箇所をぐっと引っ張ってきて、ぴたっとくっつけて解答するコツを繰り返し学習した。
 
 その成果やいかに。
 4月最初の授業で教材会社発行の実力テストに挑戦すると、なんと!と言うか、やはりと言うか、一部の生徒は国語で高得点をマークした。
 「答え方がわかった気がします。」と言う。
 その一方で、得点が伸びなかった子は、「言っていることがよくわからなかった」としょんぼりし、解答・解説をじっくり読んでいる。
 そして何か大発見したかのように、
 「国語できなかった理由わかりました。これだけ意味のわからないから言葉がありました!」 ノートにわからなかった言葉と、その意味を書きだしていた。
 そうかい、そうかい。
 ここで、今更!とは言わない。何でも自覚することが大切だから、問題点を自覚したと言うことは大きな一歩と言うことですねね。
 確かに設問を丁寧に読み、答え方のコツをつかんだとしても、そもそも言葉の意味がわからなければ何となくわかってもスッキリしないし、楽しくないさ。わからない単語がちりばめられた英語読んでいるときのような感じだよね。英語の辞書で調べ、単語の上に意味書いたって、なんか何言ってんだかよくわかんね、ってなるあの感じだよね。
 要するに、こういう子は語彙を増やさないといけないのです。

 さて小2授業。
 国語難しいよねっていうそのテキストは、年齢にあった読み物が適当なボリュームで与えられているけど、なぜこれが難しいのか?
 それはこのお話のキーワードとなる「まぬけ」と「じまんする」の意味がわからなかったからと判明。

 語彙を増やす、そして自分の気持ちを言葉にする。こういう練習を楽しく組み込みたい。
 そこで作文を書いてもらうことにした。

「今からここにバン連れてくるから、バンのこと書いて。」

 「いいよ。」と言い、バンを観察しながら書き出した。顔は茶色で黒と白もあるなどと。そして、バンはほえるから恐いけど、平気になりたい、と書き添えた。
 こうやって気持ちを引き出しながら、言葉をはめていこう。


 

文学賞受賞!

2014-03-06 09:23:06 | バネ
 自分ではない。
 読む書くに特化したクラス「パンセ」でみんなで挑戦したコンテスト、朝日学生新聞社児童文学賞、小学生部門朝日小学生新聞賞を5年生の男の子が受賞した。
 バンの体調悪く,危篤状態は脱したものの目が離せない状況が続く日々,心の隅にいつもどんよりしたものを抱えていた。そこに飛び込んだ受賞の知らせ。一気に心は春。
 授賞式の案内を受け、「僕その日サッカーなんだけど,これって行った方がいいの」と言ってますが先生はどう思いますかなどとお母さんから報告があったから、「是非行って下さい!」と声を荒げてしまった。
 パンセは月3回、1回90分の授業。2回は読む練習、そして月の3回目は書く練習する。国語が苦手という子は多い。小学生時代国語得意の子が中学生になると、「なぜか国語の点数が伸びません」とか、「国語がいつも平均点足引っ張ります。」と言う例も多い。また「作文きらーい」という子も多い。これに関しては多いどころではない。ほぼ全員が口を揃えて「作文きらーい」と言う。
 これまで授業の合間に作文指導をしてきた。しかしながら小学生なら算数授業がメインとなり、中学生なら英語、数学の補習や定期テスト、検定対策等に追われ,直接学校の成績表に影響しない作文は後へ後へと追いやられ,長期休みや定期テスト終了後の隙間に書いてもらう程度にしか取り組めなかった。
 そこで一念発起して開いた読む書くクラス「パンセ」。今年は2年目に入る。
 
 パンセクラスの成果発表の場として、何かのコンテストに応募しようと思っていた。時期、内容から考えて候補は2つあった。
 一つは原稿用紙5枚。もう一つは今回受賞した朝日小学生新聞賞で原稿用紙20枚。子どもたちに好きな方にチャレンジするようにと勧めると、「5枚じゃたいしたこと書けない」と全員が20枚を選んだ。そして構想を練り始めたのが11月。
 小学校高学年を対象とした読み物を書く。ジャンルはこだわらない。
 何を書こうか全く思いつかないと言う子どもたちに二つアドバイスをした。一つ目は、日頃自分が一生懸命やっていることをネタにお話しを作ろう。もう一つは,主人公の成長物語にしよう。すると子どもたちはなにやらニヤニヤしていた。フィクションでいいんでしょ?と。

 本当に20枚書けるんだろうか。途中で投げ出すんじゃないだろうか。
 そんな心配をよそに,冬休みに入るころには形になった。休み中にブラッシュアップして仕上げ,締切りに間に合わせることができた。

 今回受賞した子の作品。11月に途中までできたというものを読ませてもらった。「ぼくは秋がきらいだ。」で始まる。ん、これはいけるかも。書き出しがいい。小学生らしい身近ネタだし、この子の通う川間小の光景が目に浮かぶ。この先は決まってるの?と聞くと、「だいたい決まってます」とニヤリとした。
 
 このお話はどこまでが本当でどこまでがフィクションかわからなくなる。それは登場する家族や学校をよく知っているからかもしれない。特に、キーパーソンで登場するお母さんの顔が浮かぶ。あのお母さんの声が聞こえてくる。家族のやりとりがいい。そして成長していく「ぼく」の葛藤がいい。このお話は何度も読み返した。そして決まって最後にサーッと爽やかな風が通る。何度読んでも、風が通る。


他人より多く勉強する

2014-03-03 10:11:09 | バネ
 受験は終盤、というよりほとんど終わっている。
 バネの中3クラスは2月末で終了した。中3で引き続き学習したい人はそのまま3月も任意で出席するが,2月末には卒業記念品を渡して実質最後の授業となった。
 しかし、まだ終わらない。
 それは、埼玉県公立高校入試が残っているからだ。その入試は、今日。まさに今行われている。
 私立高校入試があり,続いて千葉県公立高校入試前期、後期と続く,受験生が一人減り二人減りし。のんびりムードが流れる中、埼玉県受験組はひたすら勉強を続けた。受験が1ヶ月先だからといって1ヶ月遅れて受験勉強始めるわけではない。クラスの大半は千葉県組なのだから,埼玉県組も千葉県スケジュールで進捗し、そして最後の1ヶ月、皆より長く勉強することになる。
 これが大きい。より真剣味が増してからの1ヶ月となるから、あれもこれも大いに詰め込むことができる。
 これまでやったことを総確認する時間が取れる。不安箇所を復習することができる。確実に得点できる所を強化することができる。
 
 翌日は入試となった昨日の最後の授業。あれもやりたい、これもやりたいと思うが,今更何をやろうと思い、一つ所にヤマをかけて集中学習した。
 幸いなことに「これって出るんですか?」なんて言葉は一度も出ず、それなりに真剣に取り組めた。

 三月なのに寒い。この入試が終われば春が来るね。
 

子どもの成長物語

2014-01-10 12:54:11 | バネ
 読むこと、書くことに特化したクラス、パンセ。
 今年度後半は「書くこと」のトレーニングを続けている。
 たいてい子どもたちは「作文、きらーい」っていうけど、今や原稿用紙3枚くらいはスラスラ書く。
 題材は今日あったこと、家族のこと、友達のこと。身近なネタを題材に書くことから始め、セリフだけでお話を作る練習、登場人物のキャラをたてる練習などを積み上げていった。そして2ヶ月間の構想、推敲を重ね、今月作文コンテストに挑戦する。題材は自由。フィクションもノンフィクションもOKというもの。
 生徒たちが挑戦するに適当なコンテストは2種類あった。原稿用紙5枚以内のものと、20枚~25枚のもの。子どもたちの意見を確認すると、5枚じゃたいしたこと書けないから20枚以上がいい!とまとまった。
 果たしてお話が作れるのか。20枚も書けるのか。「できない」、と全員が途中で投げ出す事を覚悟していた。無理しないで5枚にしておけば良かったかなとも思った。そんな私の不安をよそに、子どもたちはそれなりに書き始めている。最初に少々アドバイスをした。いきなり書き始めたら数枚でもたつくよ。最初に設定をしっかり決めよう。特に登場人物は大事。キャラは、名前は?書き出し、出来事、結末。ぶれないようにしっかり書き出しておこう。パッピーエンドにしてね。そして主人公の成長物語にしましょう。これらの注文をつけてから始めた。
 子どもたちは手書きだから挿入、移動が大変な作業である。もうここ何十年も手書きで文章作成することのない私から見ると、ふーってため息つきたくなるような書き込み方法。紙を張ったり、切ったりして移動している。
 そんなこんなで冬休み前にあらかた書き上げ、休み中に数回推敲し、そしていよいよ清書の段階にきた。

 完成に近いものを読ませてもらった。
 内容は知っている。主人公の挫折も、挑戦も、そして成長も。でも,読み直しながら感動してしまう。
 リアルな展開に、これって本当のこと?って聞くと。「フィクションですよ」って二ヤッてする子どもたち。
 フィクションっていうけど、主人公がどうしても作者そのものに思えて来る。主人公が動物になっていても、その子の顔が浮かんで来る。

 ちょっとの間に、子どもたちに抜かれてしまった。



待てるようになったかな

2013-10-02 08:41:20 | バネ
 子どもが成長するということは、できないことができるようになること。
 一人では歩けない子が歩けるようになる。一人で食事ができ、話せるようになり。
 その逆に、老いるということは、できていたことが一つ一つできなくなるということ。
 細かい文字が見えにくくなった昨今、一つ一つできなくなるとはこういうことをいうのだなと実感し始めた今日この頃。

 バネの小学1年生。この子の成長が著しい。
 ちょっと一人では無理かなという文章問題を出した。にもかかわらず、その間ほんの少し席を外す。別室へ。すると先生が横に居ない事にふと気づいたその子は、「あれ,どこ行ったの?」と叫ぶ。すぐ戻りプリントを見ると、なんと2問もクリアしていた。横に居なかったのに。一人だったのに。これはすごい、と言うと残りの8問を前にして、「先生,もう一度あっち行ってて!」と命令調。しばら別室で身を潜めていると、「せんせー、どこ行ったの?」と大きな声。どれどれ、と覗くと、全問クリア、全問正解。丸付け最中イスにふんぞり返ってドヤ顔しているし。
 つくづく、この子は成長したなと思う。4月にはまず目を見て話す事から始まったではないですか。45分間をどう料理するか、どうしたら飽きさせないか、そんな試行錯誤の連続だったのに。
 こんな話しを中3クラスで披露すると、「先生、すごいですね」とこれまた人の気持ちに寄り添う言葉をかけてくれる中学生。

 老いるとできなくなる事がひとつひとつ増えるというけど、できるようになった事がある。
 それは、「待つこと」。
 せかさず、見放さず、ゆったり待つ事ができるようになってきたのかな、と思う。



作文教室パンセ

2013-10-01 14:38:59 | バネ
 例えばこの問題、小学生はよく間違えるし、ひっかかる。

 1.15でわると3あまる数を小さい順に3つ書きなさい。

 2.15をわると3あまる数を全て書きなさい。

 1は15の倍数に3足した数を小さい順に3つ答える。ひっかけは、最初の数は3であるということ。多くは18.33.48と答える。
 2は12(15-3)の約数を書き出せば良い。この問題の引っかけは12の約数から3以下の数字を除くこと。

 こういう問題に取りかかる子達には、ワンひねりあるよと最初に伝えておく。でもひっかかる。そして「あーやっちまった」となる。問題の横に、赤字で大きく『最初は3から』と書き込んでいる。それでもしばらくしてもう一度やるとまた間違える。2回目の時は、「あー、またやっちまった。いかん、いかん」となる。前回より進歩しているのは、また引っかかってしまった自分を反省している点。そして3度目に挑戦し、見事正解となる。

 何も説明しなくてもできる子がいる。説明すればできるようになる子がいる。何度かミスを繰り返してできるようになることがいる。この子良くできるな、と思った子でもたいていは説明は必要。多くの普通の子は、何度も繰り返しが必要。
 最近はこの一部始終を横で確認する作業が続く。脇でノート見ていて、間違えていることを見つけてもあえて何も言わない。自分で「あー、またやっちまった。いかんいかん」と思わせなければ進歩はないから。

 が、もうちょっと手強い状況もある。
 そういう状況に出くわす度、うーん、ちょっとそれは手強いねとつい言ってしまうと、「手強いって?」と子どもは聞き返してくる。手強いというのは、先の設問の意味がわからないパターン。
 そういう子には、15でわるとの「で」と15をわるとの「を」の違いに着目させる所からはじめ、これで何もピンと来ない場合は「で」は倍数、「を」は約数と覚えてもらうしかない。

 こういうこども達の状況を打開するために、要するに日本語力を養うために始めた読解力、作文トレーニングの水曜クラス「パンセ」。
 「パンセ」では4月から読解、作文トレーニングを続けている。
 そのために今年の前半はまずテキストに沿った読解と、作文練習を積み重ね、読むこと書くことへの抵抗をなくすよう演習してきた。作文を書くことをたいていの子は、いやがる。原稿用紙前にして1時間経っても何も書かない場合が多々ある。まずこの作文アレルギーを何とかしないといけない。へたくそでもとにかく書く。こうするうち40分ほどで原稿用紙2枚くらいが埋まるようになってきた。内容は二の次。とにかく書くこと。

 後半に入り、前回から次の段階へ入った。
 お話を作る。
 原稿用紙10枚程度のショートストーリー作り。
 そのための練習としてキャラ立て作文をやった。
 身近な人、お母さんを取り上げ、その人の性格がわかるような出来事を書く。こちらの意図がくみ取れないのか、例文をつけなかったからいけないのか(例を出すとそっくり作文になるから避けたかった)、お母さんのキャラが浮き彫りになるような出来事を取り上げている子は少なかった。あなたのお母さんはどういう人?と質問して発想を引き出したが、こども達は日頃お母さんを客観的に見ていないからなのか、お母さんのキャラを上手く捉えられていない様子。そこで次回テーマは「友達」。友達の一人を取り上げ、その人の性格がわかるような出来事や台詞をいれて作文を書くこと。これを宿題にした。これができたら、最後は自分について書く。こうしてまずはキャラ立ての練習。
 「友達ならかける-」って、目を輝かした子が何人かいたから、宿題のできが楽しみですね。




バネ、一斉集合

2013-09-18 09:04:04 | バネ
 月曜が休みになること多し。でもこの時期そうそうバネ休むわけにはいかないから、月曜分を火曜に振り替えた。
 ということで、昨日の火曜は月曜クラスと火曜クラスが重なるから混雑。2クラスが重なると言う事は、教室内の学年幅も広がる。
 前半は小学1年生と6年生が一緒に学習する。
 「へー、バネには1年生もいるんだ」とか「そっちの問題がいいな」などと6年生は1年生にチラチラちょっかいを出す。一方1年生は、上級生の前でいい格好見せたいのでしょう、いつになくハイペースで問題解き、45分間きっかり集中できた。そしていい格好見せたいのは6年生も一緒。
 月曜クラスを火曜に振り返るということは、1年生と6年生が一緒の時間になる。これが作戦だった。もしかしたらこれを切っ掛けに1年生がまた1歩成長するであろうし、6年生にとっても良い効果があると考えていた。
 そして中学生クラスも混在となる。それぞれに内容が異なる。一斉の説明がしにくい分、演習時間が増える。あっちで質問に答え、こっちで進み具合を確認し、手が止まっている子に説明し、プリント追加し、と大忙し。
 単一学年,同レベルが揃ったときは説明に時間をかけられる。板書して、例題、演習と進め、こちらは高揚感と達成感に包まれる.そして決まってそんなときは、子どもたちの疲労感が見える。更には期待する程の成果が上がらないときがある。あれだけ説明したのに、時間かけたのに、理解できていない、定着していない。先生の独り舞台になってしまったのかもしれないと反省すること度々。そして案外こんな日みたいに、あっちで呼ばれ、こっちで個別に説明しそんな日の方が定着しているときがある。

 おっと、奥の席に高校生もいるではないですか。質問って手を挙げてる。こういう日もまた楽し。



成長にハイタッチ

2013-09-13 23:18:40 | バネ
 昨日は小学生の時の修学旅行の切ない話しを思い出し、それを文にする事でどんどん記憶が明確になって、そう言えばあの後、「あまりにもひどい」とお母さん達が憤慨していた事まで思い出した。困ったような先生の顔も。そんな思いを引きずりながら今日の授業の生徒を出迎えるために駐車場に立ち、夕方の風に吹かれていた。

 その子はいつも通り自転車でやってきた。
 子どもだっていろいろ大変なんだよね、っていつになく子どもサイドの理解ある物わかりの良い大人になっちゃってる私。
 そうして始まった小学1年生の授業。これはできるかな、ここまでできるかな、と手探りで進め、夏休み中は家庭学習の課題を出してきた。その子が夏休み終え、9月に入った途端急激な進歩を見せてきた。音声を聞き,書き取りができる。文章がスラスラ読める。もちろん、意味も理解している。文章問題から式をたてる。暗算で答える。
 「こんな幼稚園みたいな問題!」って言いながらスラスラ答えを書き込んでいる。
 ここまで来たら、作文に入ろう。様子を詳しく書く練習を始めよう。まず今日はいきなり書くのではなく、詳しく説明する練習から始めよう。
 家を出てからここに来るまでのことを教えて、と切り出し、細部を聞き出し、その理由を聞き、そのやりとりを全部書き出す。すると「すごいいっぱい書いたね」って他人事みたいに感心している。
 お互い達成感に包まれた感じがした。
 こういう事があるから、やめられないね。
 45分の授業を終え、自転車で帰る背中を見送った。