バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

変化を受け入れる理由

2014-08-30 12:09:27 | ライフスタイル
 本当に久しぶりの更新。
 しばらく休むと「どこか具合悪いのですか?」などとメールがきたりと皆さんにご心配かけるので、サボってはいけない。
 これだけ更新しなかった理由の一つは、夏休み中は夏期講習をはじめとして生活時間が通常と異なりバタバタしていたから。
 そしてもう一つの理由は、たぶん、新しく引っ越ししたこちらにどうもなじめないからということじゃないかな。こういう心理的な問題は、実のところ正解かどうかはわからないけど。
 何となく足が遠のく。何となく後回しにしてしまう。
 もし「変化」が心理に影響及ぼしているのなら、これは「退化」の兆しかも?と思うので、昨日ながーい夏期講習が終わったので、いろいろたまってしまった雑務処理をしつつ、ブログ更新にもう一つ重い腰をあげてみたというわけ。

 高校生の信州夏季合宿は今年28回目を迎えた。
 28年前、実家のある信州別所温泉で合宿をやりたいということになり、当初は旅館探しから始まった。高級旅館ばかりの温泉街に学生の合宿を受け入れてくれるところは当初はなかなか見つからず、父の口添えで齋藤旅館にお世話になることになり、そのまま28年間齋藤旅館が定宿となっている。
 2回目からは合宿期間中に山登りとバーベキューをやることになった。
 夏季合宿は新チームのスタートでもあるので、練習だけでなく自然の中での子ども達の「体験」を重視している。だから短い合宿期間であるにもかかわらず、丸一日使ってのレク日である。
 地元の有料バーベキュー施設を利用した年もあったが、その年以外はずーっと、山間の公園にある広場でバーベキューをやってきた。
 そこは東屋と水道があるだけの草っ原。
 バーベキューをやりたいというと、父は地元の自治会長やら組合長やらに掛け合って準備してくれた。コンロにするために知り合いからU字溝を譲り受け軽トラで運んだ。前日に草刈りし、管理者から水道の蛇口を借りた。(通常は自由に使われないように蛇口を外してある。)
 U字溝は翌年用にとそのまま置いていった。
 25年ほどそうやって使ったU字溝はいつか朽ち果て、撤去された。
 東屋の脇の木は生長し、いつしか東屋を覆うほどになっていた。

 無料の広場とはいえ勝手に使うわけではない。
 毎年事前に自治会長や消防に使用届を出す。そして使用後は徹底的に掃除する。


 そうやって28年目の今年も広場の下見に行くと、雨が続いた後で足下がぬかるんでいる。山の斜面は木を切り出したあとなのかそれとも小さな土砂崩れがあったのか。なんとなく雑然としている。
 例年通り自治会長に使用許可をもらいに行くと、
 「今年からあすこで火を使うのは禁止になったでね」

 有料施設の別所森林公園を急遽予約と思ったら、その日は定休日とのこと。
 バーベキューの日を2日後に控えて、会場が確保できない。
 こんな時リーダーは常に正しい判断を速攻で下さないといけない。
 どう出るかと半ば期待して言葉を待つと、「他の会場すぐ捜して」との指令。

 バーベキューは準備がとても大変。材料買い込んでも雨じゃできないし。そんなマイナス要因があって、「中止にしようか」という声をすこーしばかり期待していたけど、我がリーダーにそういう選択肢は全くないのでした。

 スマホにお尋ねし、PON!と出たのは別所の裏側の斜面。とりあえず電話すると予約できた。
 でも地図で確認するとあまりにも山奥なので不安がよぎり下見に行ってみた。すると・・・。
 
 山の斜面を垂直に登る道が続く。途中から舗装はなくなり、いきなりぬかるんで暗い林道になってしまった。車一台がやっと通れる道だから引き返すこともできず、アクセル一杯に踏んでも10㎞しかでず。右足つりながら、斜面崩れそうな山道を車体すりながらやっとの思いで登った。なんなんだここはー。背中が薄ら寒い。
 現場からその旨リーダーに「ここは無理」と進言。「じゃ、中止だな」という言葉を期待しながら、いかに無理なのか恐怖の走行についてバーッと説明すると、「じゃ、他捜して」ときた。
 逃げるように山を下り村役場へ駆け込むと、「いいところがありますよ。予約しましょう。」と村営の施設を紹介してくれた。
 
 村の突き当たりから更に山道を3.5㎞ほど登ったところにキャンプ場はあった。さっき下見に行って来た施設までの道がいかに恐かったかを語ると、「ここまでの道は舗装されて開けていますから大丈夫ですよ。」と役場の方が穏やかに話してくれた。杉材をふんだんに使った役場の木の香りとおもに、すこしずつ恐怖感が体から抜けていった。

 その足で即下見に行くと、確かにそこまでは舗装された山道が続き、炊事場やトイレがあった。炊事場とトイレと木の椅子とテーブルの他は何もない草原だけど、これまでの場所に比べたら縄文から一気に昭和になったくらいの便利さがあった。

 今年夏合宿初参加の子達にとっては、バーベキューと山登りは「こんなもん」でしょう。調理台があり、コンロがある。車でここまでやって来れる。

 リーダーいわく、「来年からここにしよう。」
 ということなので、いつもの東屋に行くことはもうないでしょう。
 
 東屋での26年ほどの思い出は、当時の現役生の顔と一緒にたくさん刻まれている。
 少しのわびしさと、幾ばくからの利用料を払っての便利さの享受に少しばかり抵抗を感ずるが、そんなことはすぐに平気になるのでしょう。

 続けるためにチェンジを受け入れる。
 続けたいものを守る為に、変化を許容する、ということです。