バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

この高校生達、すごい!

2015-01-26 06:37:57 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク




 NPO法人アルファバドミントンネットワーク主催の「幸せなら羽たたこう」の2回のレッスンが終了した。
 これは、参加した子どもたちがバドミントンを教え合う体験を通じてコミュニケーション能力を高めることをねらいとした、「子どもゆめ基金」の助成を得ての活動であった。
 参加者は小学1年生から高校3年生。中高生が小学生を教えるという形でレッスンは始まった。年齢、性別を取り混ぜてグループを作った。全体共通目標は「オーバーヘッドストロークとバックハンドの習得」「試合に出られるようにする」。グループ内のレベルはランダムであったので、始めてラケットを持つ子やそこそこに打ち合える子がグループ内に混在し、またグループ「それぞれの抱える事情」は異なった。
 さてどう進める。まずは自己紹介を終え、準備体操が始まった。他のグループの動きをチラチラ見ながら、皆が一様に素振り、コートトレーニングへと続いていく。そしてこの時点で初心者の抱える課題に気づくのです。肩が回らない。足が自由に動かない。変な癖がついている等。人に教えるってかなり難しいぞと中高生たちが感じ、全くの初心者にはどこから教えるのか、小さい子にはどうやって説明するのか、癖をどう矯正するのか、個々の事情を見つめ始めた時から、与えられた時間をどうやり過ごすかではなく、目の前の「人」にどう接するかに変わっていった。
 延々と説明するグループ、とにかく打ち始めるグループ。そうこうしているうちにグループ内に教える教えられるの個別担当ができ、「それぞれの抱える事情」への対応が始まった。このレッスンは回りの大人は子どもたちから特別なヘルプがない限り手も口も出さないというルールがあるので、もどかしい場面は多々あったが傍観者に徹した。戸惑いと緊張でスタートした第一回レッスンは、参加者の距離が縮まったのは勿論だか、教える側がいくつかの気づきを得て終わったようだった。いつもは先生に教えてもらうばかりで人に教える経験が少なくなっていた昨今、中高生は初心者に教える体験を通じ自分が教えられてきたことを反芻したり、伝える工夫を凝らした。
 それから1ヶ月半後の第二回レッスン。前回は中高生側からの参加者へのアプローチがメインとなり参加した小学生は受け身に終わったので、開始時に「わからないことやここができるようになりたいと思ったことがあれば、グループの人にどんどん聞くように」と小学生側へのメッセージを送った。
 1ヶ月半のブランクをおいた2回目。
 このブランクは、教える側にとっての熟成期間となっていた。
 前回より指導法をよく考えている。説明を工夫しているではないですか。横並びの指導ではなく、「それぞれの抱える事情」に対応している。

 グループ毎にレッスン内容をレポート用紙1枚にまとめ、最後に発表した。
 「最初はとまどったけど子どもの時に教えてもらったことを思い出しながら教えました」
 「いつもの練習を良く考えるようになりました」
 こちらが期待するような感想をグループ代表の高校生が発表していったので、ふむふむと聞いているうち、「この子たち、すごい!」と心が直立してしまった。
 2回のレッスンで感じたこと、わかったこと、工夫したこと。自分の体験を文字にして人に伝える。文字にしなければ体験で得たことは独り占めしたままだけど、レポートにまとめ発表して皆に提供する。こういう作業を与えられた課題としてこなすのではなく、自分の糧として一生懸命に取り組む。レッスンの成果や個々の成長は知る由もないが、こうして真摯にまとめてくれたおかげで、それがわかる。グループ発表を聞きながら「すごい」を心で連発していた。
 あらためてレポート内容を確認すると
 「(小学生が)うまくできなくても諦めない。」
 「コミュニケーションとる時は、大きくはっきりと声を出さないと伝わらない。」
 「分かりやすく具体的に話す」
 「分かったら必ず返事をすること」
 
 参加してくれた初心者の皆さん、ありがとう。