陸上部とバドミントン部協同で始めた稲作、ハイブリッドスターライスプロジェクト、いよいよ大詰め。
稲作の国に生まれ、半世紀を過ごした今、わたしは多くのことと向き合った。
星野さんとの最初の打ち合わせにて、稲作というより農業に無知であることを思い知らされた。まず広さの単位からしてわからない。一反ってどれくらいなのか。
平米で説明してもらい、
「大体バドミントンコート何面分ですか?」
と確認し、よくわからないから見に行こうとなった。
種まきのことを播種(はしゅ)と言うのも知った。
感嘆したのは、播種の時、稲トレーに土、種、水、肥料が流れ作業でオートマティックにセットされるシステムに始まり、籾すり、袋詰め、そして30キロの米袋をトレーに積み上る省力化システム。人の知恵ってすごいなーと見入ってしまった。そして何より、コンバイン。稲を刈り取りながら脱穀し、トラクター内にたまった米は排出ボタン一つでザーッと軽トラ荷台のコンテナに移される様、藁がまさにワラワラとコンバインの横に落ちていく様。すごいなー、の連続。
こうやって半年間このプロジェクトに携わり玄米になった今。
その感慨を語るのが今日のブログではない。
今日には今日の感動がある。
ザーッと脱穀した米は一晩乾燥機にかけられ次は籾すり。そこで未成熟の米は自動でより分けられる。そうして脇に寄せられた米、くず米が30キロほど出た。
星野さんは、
「これ、くず米。精米して米粉にすれば食べられっから。団子にでもすればいいよ」
後はしめ縄作りと思っていたわたしは、この一言で、来ちゃいましたよ。
”くず”として排出された物が、何かに有効利用され、おいしい物になり、みんなで食べる。
なんかこの設定、わくわくするではないですか。
米粉にしてくれる農家、岡田さんを星野さんに紹介された。
岡田さんの家は道路から蹴出しの長い脇道を進むとその奥にあった。
こちらでくず米を米粉にしてもらえるかと尋ねると、
ビニールハウスから出てきた岡田さんは「ん?」って表情。
それはそうですよね。突然見ず知らずの人が庭先に車で乗り付けたのだからね。
街角のコイン精米機を調べたら、くず米は精米できないとなっていたから、くず米だけど大丈夫なのですかと遠慮がちに聞くと、
「見せてみな」
くず米を手に取って、
「いいよ。やってやるよ」
それからくず米袋をはさんでしばらくおしゃべりした。このハイブリットスターライスプロジェクトのこと、玄米をこれからみんなで分けること、くず米を米粉にして何か作って食べたいということ。岡田さんもこれまで町の子供達の稲作体験に永年関わってこられたとその時の様子などを話してくれた。
くず米を預け1日経った今日、今から米粉を引き取りに行きたいけれど大丈夫ですかと聞くと、
「だいじょうぶだよ、できてるよ」
岡田さんは納屋の前で待っていてくれたのだろうか、庭先でニコニコ顔で迎えられた。
「この間、あぜ道に大勢並んでたの、あれかい?」
稲刈りの日近くを通りがかったとのこと。
「やっぱりあれ、あんたたちだったか」
米粉を車に積み込み代金を支払おうとすると、
「いいよ、いらないよ。あんたたちは人の為にやっているんだろ。これでもうけるわけじゃないんだろ。代金はいらないよ」
米粉を袋詰めしてみんなに配ろうかと言うと、
「粉配るだけじゃもったいないべ。なんか作って食べなきゃ、だめだべ」
何か作るってまた一大イベントになりそうだからちょっと弱気になってつい言ってしまったけど、ピザかすいとんでもいいですかねと言い直すと、
「ピザ、いいねー」
くず米だから少し色が黒いから、ヨモギ入れて団子にするといいとか、普通の米よりもちもち感が強く、
「エイヨーあるどー」
おいしい食べ方をいろいろ伝授していただいた。
「これでよかったら、また来年も来な。またやってやっからよ」
そして「がんばってな」と手を振って見送られた。
公の心を持つこと。
くず米粉ピザ、食べる前から栄養一杯もらいました。
稲作の国に生まれ、半世紀を過ごした今、わたしは多くのことと向き合った。
星野さんとの最初の打ち合わせにて、稲作というより農業に無知であることを思い知らされた。まず広さの単位からしてわからない。一反ってどれくらいなのか。
平米で説明してもらい、
「大体バドミントンコート何面分ですか?」
と確認し、よくわからないから見に行こうとなった。
種まきのことを播種(はしゅ)と言うのも知った。
感嘆したのは、播種の時、稲トレーに土、種、水、肥料が流れ作業でオートマティックにセットされるシステムに始まり、籾すり、袋詰め、そして30キロの米袋をトレーに積み上る省力化システム。人の知恵ってすごいなーと見入ってしまった。そして何より、コンバイン。稲を刈り取りながら脱穀し、トラクター内にたまった米は排出ボタン一つでザーッと軽トラ荷台のコンテナに移される様、藁がまさにワラワラとコンバインの横に落ちていく様。すごいなー、の連続。
こうやって半年間このプロジェクトに携わり玄米になった今。
その感慨を語るのが今日のブログではない。
今日には今日の感動がある。
ザーッと脱穀した米は一晩乾燥機にかけられ次は籾すり。そこで未成熟の米は自動でより分けられる。そうして脇に寄せられた米、くず米が30キロほど出た。
星野さんは、
「これ、くず米。精米して米粉にすれば食べられっから。団子にでもすればいいよ」
後はしめ縄作りと思っていたわたしは、この一言で、来ちゃいましたよ。
”くず”として排出された物が、何かに有効利用され、おいしい物になり、みんなで食べる。
なんかこの設定、わくわくするではないですか。
米粉にしてくれる農家、岡田さんを星野さんに紹介された。
岡田さんの家は道路から蹴出しの長い脇道を進むとその奥にあった。
こちらでくず米を米粉にしてもらえるかと尋ねると、
ビニールハウスから出てきた岡田さんは「ん?」って表情。
それはそうですよね。突然見ず知らずの人が庭先に車で乗り付けたのだからね。
街角のコイン精米機を調べたら、くず米は精米できないとなっていたから、くず米だけど大丈夫なのですかと遠慮がちに聞くと、
「見せてみな」
くず米を手に取って、
「いいよ。やってやるよ」
それからくず米袋をはさんでしばらくおしゃべりした。このハイブリットスターライスプロジェクトのこと、玄米をこれからみんなで分けること、くず米を米粉にして何か作って食べたいということ。岡田さんもこれまで町の子供達の稲作体験に永年関わってこられたとその時の様子などを話してくれた。
くず米を預け1日経った今日、今から米粉を引き取りに行きたいけれど大丈夫ですかと聞くと、
「だいじょうぶだよ、できてるよ」
岡田さんは納屋の前で待っていてくれたのだろうか、庭先でニコニコ顔で迎えられた。
「この間、あぜ道に大勢並んでたの、あれかい?」
稲刈りの日近くを通りがかったとのこと。
「やっぱりあれ、あんたたちだったか」
米粉を車に積み込み代金を支払おうとすると、
「いいよ、いらないよ。あんたたちは人の為にやっているんだろ。これでもうけるわけじゃないんだろ。代金はいらないよ」
米粉を袋詰めしてみんなに配ろうかと言うと、
「粉配るだけじゃもったいないべ。なんか作って食べなきゃ、だめだべ」
何か作るってまた一大イベントになりそうだからちょっと弱気になってつい言ってしまったけど、ピザかすいとんでもいいですかねと言い直すと、
「ピザ、いいねー」
くず米だから少し色が黒いから、ヨモギ入れて団子にするといいとか、普通の米よりもちもち感が強く、
「エイヨーあるどー」
おいしい食べ方をいろいろ伝授していただいた。
「これでよかったら、また来年も来な。またやってやっからよ」
そして「がんばってな」と手を振って見送られた。
公の心を持つこと。
くず米粉ピザ、食べる前から栄養一杯もらいました。