水の門

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歌集『カインの祈り』

澤本佳歩歌集『カインの祈り』
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笑み

2006年01月13日 21時37分51秒 | 言葉に寄せて
残念ながら私は中継を見られませんでしたが、昨日皇居では、新春恒例の行事「歌会始」が催されたようです。
今年の御題は「笑み」。昨晩早速、宮内庁のサイトで、天皇陛下の御歌や皇族の方々の御歌、一般の方による詠進歌を拝見しました。
一番心に残った歌は、

      赤とんぼ群れ飛ぶ秋のまん中へ母の笑顔を押す車椅子

という作品でした。心温まる風景が浮かぶ歌ですよね。

私はとり立てて皇室のことに詳しいわけではありません。歌会始を意識するようになったのも、茶道を習い始めてから。お茶の世界では、道具を清める“帛紗(ふくさ)”やお茶碗などに、歌会始の毎年の御題にちなんだ絵柄が取り入れられます。
昨年の春頃、「来年の勅題は、『笑み』ですって」とお茶の先生に教えていただいた時、「じゃあ、来年の帛紗は、おかめの絵でも描かれているのかなぁ?」と想像していました(笑)。
今年の初稽古の日、期待に胸膨らませて開けた帛紗の小箱からは、かわいらしい梅の花が覗きました。同封の栞によれば、つぼみが開花することを「笑う」と呼ぶのだとか。
言われてみれば、つぼみが開くことを「ほころぶ」と言いますし、春の山が若芽で明るい色になる様子を「山笑う」と表現しますよね。
自分の想像がかくも鮮やかに裏切られて、何だか逆に晴れやかな気分になりました。日本語は奥が深いなぁと思うと同時に、日本の伝統文化を守ってきている人々の感受性の鋭さにも目を開かれる思いがしました。
今回は、「笑み」の御題で真っ先に頭に浮かんだ、マリア・ヒタの『Maria Rita』を紹介して終わりたいと思います。ふっくらとつややかな歌声は、聴けば聴くほど味が増してきます。
今年が皆様にとって、笑顔の絶えぬ年となりますように。
コメント (4)
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