水の門

体内をながれるもの。ことば。音楽。飲みもの。スピリット。

歌集『カインの祈り』

澤本佳歩歌集『カインの祈り』
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また、読書にご不自由のある方には【サピエ図書館】より音声データ(デイジーデータ)をご利用いただけます。詳細は、こちらの記事をご覧ください。

花冷え

2006年03月31日 20時14分19秒 | 言葉に寄せて
桜が満開を迎えたと思ったら途端、寒さがぶり返し、昨日に至ってはこちらでは雪までちらつきました。
このブログでも時折チラリと触れてきましたが、私は5年前にとある病気を発症して休職、一足早く山梨に移り住んでいた親元に身を寄せて、約一年半後に辞職を余儀なくされるという経緯を踏んで今の生活を送るようになっています。
長かった休職期間中には、健康保険証の更新もありました。返却したものと入れ替わりで送られてきた保険証には、いつも傷病手当金の手続きをして下さっていた総務のベテランの方でなく、私より後に入社した女子社員の筆跡による一筆箋が添えられていました。そこには「花冷えなどもありますからお体にはお気をつけて」の一文が。
その子は総務に異動になる前、地方のBGM業者からの注文を取りまとめる部署に所属していました。私は制作、彼女は営業という立場の違いから、かつて激しく口論になったこともあった間でした。じんわりと心が温まりました。
お茶を始めてふた月ばかりの頃だった私は、「花冷えという素敵な季語を教えてくれてありがとう。柄にもなくお茶など習い始めたので、お稽古の際に使わせてもらいますね」と手紙をしたため、こちらで買い求めた絵葉書と一緒に送りました。
その子とはそれっきり。でもここ二日程の冷え込みで、ふと彼女のことを思い出しました。
琴の師範の免状を持っているという彼女のことを考えながら、しばらくぶりにCDラックから引っ張り出してきたのが、『すべての人の心に花を』。あまりにも有名な喜納昌吉やおおたか静流によるものだけでなく、香坂みゆきや河内家菊水丸のヴァージョンなど、この一曲だけを10トラック収めた一枚です。
私のお気に入りは、デティ・クルニアと“サンディー&ザ・サンセッツ”のサンディーによるヴァージョン。特にデティ・クルニアは、久々に聴いたらもう懐かしくて。昔ラジオで彼女の歌声を聴いて夢中になりながら、結局CDは買わずじまいになっていましたが、入手可能なCDが無いかどうか今からでもあたってみます。
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ハワイの予習(1)

2006年03月30日 12時08分29秒 | 旅に寄せて
このエントリーで以前ご報告したハワイ旅行も5月中旬に日取りが決まり、着々と準備が進んでいます。今日はこれからパスポートの申請に行く予定にしています。
今回の旅で一番の関心事は、何と言ってもハワイアン・ミュージックのローカルなCDを大量にゲットすること。そのためには基本的な予備知識がなくてはと、一昨日はハワイアン・ミュージックのCDをネットでまとめて9枚注文しました。今から届くのがとても楽しみです。
それを待つ間、指をくわえて待っているのでは芸がないので、併行して近所のCD屋でも、『アロハ・ヘヴン~マイ・ハワイ』『アロハ・ヘヴン~モアニ』といったハワイものオムニバスを入手して下調べを。有名どころを押えることができてかなり勉強になりました。
その中で「これは!」と惚れ込んだのが、新生“HAPA”のヴォーカルを担当しているネイサン・アウェアウという男性シンガー。ふくよかで潤いのある低音からファルセットに駆け上がる時に、フッと声が透き通る瞬間の美しさがたまりません。
そこで、ネイサンのソロ、『E Apo Mai』も早速購入。中には、母がフラダンスの教室で踊っている曲「カイマナ・ヒラ」がスピード感あふれるアレンジに料理されていたりして、かなり格好いい。手当たり次第CDを買い過ぎの感も否めない最近にあって、飽きずに繰り返し聴いているお気に入りの一枚です。
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JMB連携TB企画 第56弾/お花見日和な音

2006年03月27日 21時17分04秒 | 季節にあわせて
甲府では例年より早く24日に開花宣言が発表されました。何でも咲き始めが早いと花が長持ちするとかで、母は今から花見の準備に気もそぞろ。私はといえば、仕事の行き帰りに道沿いに植えられた桜を「やぁ、綺麗だな~」と見上げるだけで今年は終わってしまいそうな気配です。いつもながら色味の無い生活ですね(苦笑)。
さて、JMさんから各地の花便りを音楽と共に届け合うTB企画が提案されました。
そこでここは一つ、今までで一番綺麗だった桜の風景---社会人になりたてのよく晴れた日、桜のトンネルをくぐり抜けながら颯爽と車を滑らせた路上教習で瞼に焼きついた光景---を思い出しつつ、カーリン・アリソンの『Wild for You』を選んでみました。
ジャズ・シンガーである彼女が、幼い頃から愛好していたジョニ・ミッチェル、ジェイムス・テイラー、キャロル・キング、カーリー・サイモンらの'70年代ポップスを取り上げた一枚。気負いがなく耳当たりのよいヴォーカルと清新なアレンジからは、薄絹のような春の光や風がどことなく感じられます。
ジャズとポップスの間を軽やかに行き来するこんな音楽を聴いていると、淡いピンク色に包まれて散り行く花びらの中にうずくまっている……、そんな錯覚を起こします。
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3月を感じる曲

2006年03月16日 18時21分02秒 | 季節にあわせて
ラジオなどで桜の開花予報が聞かれる季節となりました。
早いものでこのブログを始めてからもうまもなく一年。ブログを通じて色々な方々と知り合えたり、また顔見知りの中にも更新を楽しみにしてくださる方が増えたりと、お蔭様でとても有意義な一年を過ごすことができました。
昨年の4月、クリフォード・ブラウンの「Joy Spring」について書きたいばかりに何の計画性もなく始めた月例のエントリーも、これで一巡したというわけです。
“BGM”を謳った当ブログですが、JMBの連携TB企画への参加などにより、自分の守備範囲の狭さおよび底の浅さが露見するにつれ、次第に音楽を扱いながらも詞や言葉に重きを置いたエントリーを書く方向に傾いてきました。強者の音楽ブロガーさん達がひしめく中にあって、自分が書き続ける意義を我に問ううちにたどり着いた帰結でした。
今回の「3月を感じる曲」も、そんな志向性を反映した選曲です。何でもハワイ語で「三月」は英語の“March”をハワイ的に発音して「マラキ」と言うのだとか。このことを池澤夏樹の『ハワイイ紀行』で知ったときにピン!と頭にひらめいたのが、以前ラジオ番組にリクエストしたけれど見事ボツになった(笑)、カート・ベッチャーの「Malachi Star」(マラキ・スター)。ウェスト・コースト調の爽やかなポップスです。
キリスト教に少し通じている方ならすぐにお分かりでしょうが、マラキと言えば旧約聖書の一番最後に収められている預言書。ということでうまく落ちがついたかどうかは皆さんの判断におまかせですが、このシリーズは今回をもちましてひとまず終了といたしたいと思います。結局、言葉遊びですね(苦笑)。失敬。
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JMB連携TB企画 第55弾/散歩のお供に

2006年03月11日 18時47分49秒 | 風景にあわせて
啓蟄も過ぎ、一雨ごとに空気がやわらかくなってきた折、JMさんから「散歩コースと音楽を」という御題が出されました。
最近はめっきり散歩してないんですよね…、何せ本来が出不精ときてるので。
デジカメを買ったばかりの約2年前は、ちょうどプー太郎してたので、よく勇んで写真を撮りに出掛けたものでしたが…。仕事もせずにダラダラしてるとむくむくと肉付きが良くなってくるので、せめてもの気休めにと、片道20分程度の山の上にある公園まで午前中散歩に行くのが日課になっていました。子供もいないから、下手するとまるで老人ですね(苦笑)。

今回はその頃の散歩コースから写真をいくつか。

トップの銀杏と上の花の写真は、公園内に植えられている樹木。

一休みにちょうどいいベンチ。でも、日焼けが気になります(笑)。

この公園の目玉であるSL。どこから持ってこられたんでしょうか…?
園内にはミニSLも走っていて、いくらか払うと乗ることができるようです。

行き帰りの道沿いに咲いていたホタルブクロです。

道端ではこんなみずみずしいヘビイチゴも発見しました。

とっても平凡で申し訳ありません。どうせなら、もっと気の利いた所を紹介したかったんですが。

こんなありふれた散歩道には、肩肘張らない音楽を。ロギンス&メッシーナの『Sittin' In』などいかがでしょうか?ドライヴ感とくつろいだ空気が交互に顔を出すカントリー・ロックは、春の散歩の弾んだ気持ちにピッタリです。
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ひなまつり

2006年03月02日 20時38分49秒 | 旅に寄せて
5ヶ月程前、渡辺葉の『ニューヨークで見つけた気持ちのいい生活』という本を入手し、私にしては珍しく短期間でつるりと読み切った。海外での暮らしを綴ったこの手のエッセイは、その土地や文化によっぽど興味が無いと読破が難しいため、食指が動きかけてもパラパラと頁をめくっただけで買わずじまいになることが殆どなので、自分でも意外だった。
本業のダンサーのかたわら翻訳やエッセイの連載をしている著者は、椎名誠と作家の渡辺一枝の娘と奥付にあり、ナルホドと合点がいった。自分の好きなことを追求しながら、軽やかに生活を楽しむ様子と、水が流れるような独自の文体から、只者でない作者像がうっすらと伝わってきていたからだ。
渡辺一枝の名前は聞いたことがなかったが、以来少し気になる存在として記憶に留め置かれた。ブックオフで彼女の『ひなまつり』という本を発見したのは、その二月ばかり後だった。長らく携わっていたという保母の仕事の合間を縫って、雛人形の手作りに励んだり、各地の雛祭りの催しを訪ねたりする姿は、渡辺葉の生き様と重なって見えた。
二十代前半まで女の子らしいことは極力忌避してきた私には、雛人形と言えば本来最も縁遠いもの。でも頁を繰るたびに目に飛び込んでくる、豊かな着想のおひなさまの写真を見ていると、自然と顔がほころぶのが分かった。
本を読み終えてまだ間もない頃だった。いつもは地味な勤め先の最寄り駅構内の一角が、目も眩むばかりの赤の鮮やかなポスターで明るい輝きを発していたのは。見れば、塩山の甘草屋敷に古式ゆかしい雛人形と吊るし雛が飾られているという。気持ちが湧き立った。
2月最後の金曜日、母と連れ立って塩山を訪れた。屋敷に足を踏み入れると、ぶり返した寒さも一気に吹き飛んだ。夢中でシャッターを切る。飛騨高山で昨年初めてお目にかかった「さるぼぼ」の他、毬、大根、苺など、日常のものをかたどった色鮮やかな吊るし雛は、無条件にかわいらしかった。
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