水の門

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歌集『カインの祈り』

澤本佳歩歌集『カインの祈り』
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作業所(3)・十一首

2011年02月15日 08時07分45秒 | 投稿歌
今朝は早くに目が覚めてしまったため、歌稿を準備していました。十日締め切りなんで提出にはだいぶ早すぎるんですが、珍しくもう十一首も揃っているし、まぁいいかな、と。昨日から明け方にかけて雪がかなり降り積もったので、投函に行くのは午後になると思いますけれど、先に公表しておきます。
今回は「作業所」を詠んだ歌でまとめてみました。三回目のテーマ設定です。ちらちらとシニカルな視点が透けて見えますが、良くも悪くもそれだけ作業所にどっかり腰を下ろしているということなんでしょう…。


工賃をジュースになぞらえ詠む吾に最低賃金ほこる口々

年金を貰うに障りあるのかと生活保護の友が五度訊く

伸びをして丈の短いシャツが出ることを憚るラジオ体操

道を行く吾の弾んだ足取りを「風に遊ぶ」と師は目を細む

編み上げたペネロペの顔見せようと今日休んでる師の卓に置く

促され編んだ雛(ひいな)の人形が棚に埋れて一年が経つ

発病から働いてないと見なす師に怒りながらも何も言えない

どか雪に口実見つけ休む吾を責めるがごとく肋が痛む

味噌作りの日が近づくとまめまめしく昼餉に汁を始める所長

豆を煮て燻された服・髪・からだ上から下まで二度洗いした

残臭に味噌作りには懲り懲りし今年ははなから休むと告げる


(2011年3月10日締め切り分、『樹海』2011年5月号掲載予定)
コメント (2)
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