桃が最後は梨に代わって。

貰いたる 桃を搾りて 差し出せば
父の瞳の 涼し気に澄む
（とど）

2011年9月2日 作歌

発病から死まで二度も旅行に行くんだから…

一年の のちに佐渡へと 朱鷺を見に
弟を連れ 旅立つ父は
（とど）

2011年7月9日 作歌

セルフプロデュース好きで。

喪の葉書 頼みながらに 文面を
自ら練りて FAX寄越す
（とど）

2011年6月27日 作歌

気丈夫だったねぇ…

カテーテル 付けつつ地図を 広げおり
遠く能登へと 想いを馳せて
（とど）

2010年2月4日 作歌

本当に嬉しそうだった…

買いたての 車を背（せな）に笑む父に
遺影を思い 撮りし冬の日
（とど）

2010年1月24日 作歌

あの血が流れているのか…

うすかわを 剥す唇 ひりひりと
父のＤＮＡ舐めている
（とど）

2009年12月27日 作歌

心構えができてない…

手続きを 吾が方むいて 伝えくる
ナースと母の 顔を見比ぶ
（とど）

2009年12月18日 作歌

月収一万も無い頃に。

父の手跡（て）に 保証人として 綴られて
こみ上げてくる 淡い諦念
（とど）

2009年12月18日 作歌

ちょっと食べては…

食べては吐く 父の買い置ける 惣菜が
入院前夜の 食卓に載る
（とど）

2009年12月18日 作歌