LUNACY

cygnus' blog

「ザ・ラストバンカー」西川善文回顧録

2012-02-22 20:10:14 | 本・コミック
とても面白かったです。
これでも、まだ書かれていない裏話や、書きたくても書けなかったことが、たくさんあるのだろうなぁ。

暴露話や他者への批判めいた話があっても、結構、率直に書いらっしゃっていて、自分に自信のある人は強いなと思ったのでした。キャリアもあるお方だからこそって部分。若造が書いたら傲慢とか心臓が強いとか言われそうなところ(笑)。

個別エピソードでは、三○電機はやっぱりだめだったか、とか。
今の企業トップには、官僚ならぬ民僚がのさばっているし、経団連はもういらんじゃろ、とか。ウケるw。

安宅産業問題、平和相互銀行合併問題とイトマン汚職について、ページ数割いているのは、西川サンが事後処理の当事者だから当たり前なのですが、読んでいて飽きませんでした。

そして、西川サンのバンカー人生って、まさに戦後の金融の歴史そのものの感がありますね。
このあたり、箭内昇「メガバンクの誤算」(中公新書)で予備知識あったので、非経済系のヘタレのビジネスパーソンとしては、結構スイスイ読めたかな?と思います。

んで、後ろ3分の1が、郵政民営化問題。
記憶に新しいのだろうし、政治に振り回されて書きたいこと山ほどあったのでしょう。
ふざけんな!鳩山邦夫!が伝わってくる本(笑)。
西川サンが自身で政治音痴と自称してらっしゃるけれど、私怨や羨望(要するに非論理のデタラメ)メインで人が動くカルチャーに慣れてらっしゃらなかっただけじゃないかと。というか、そんな世界は、曲がりなりにも数字と契約で動くグローバルビジネスと縁遠いワケで(笑)、同情します。

そして、この本を読んで、一番マズイなと感じたのが、マスコミ問題。
西川サンの言葉としては、あとがきで、ヒトコト触れられているだけだけれど、本当にこれ見逃せない。
そもそも、公に伝えるべき事実関係をちゃんと伝えているか?そして、事実関係を正確におさえた上で批判しているか?
マスコミやジャーナリズムの問題は大きい。

最後に。
この西川サン。かつて三井住友銀行頭取時代にテレビ東京のオープニングベル(現Eモーニング)にゲスト出演してらっしゃったことあって、偶然その回を見てました。
趣味は?の問いに、ガーデニングとお答えなさってました。
結構、チャーミングなお方なんですよね(笑)。
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