毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「蠅」   2012年11月22日(木) No.512

2003-03-12 22:11:47 | 中国事情
横光利一ではないが、近ごろ気になる存在の「蠅」について。

今は麦廬園の資料室でこの文を打っている。
この部屋には最近よくハエが出てくる。
正確に言えば、窓から入ってくるのだが。
今日は雨なので部屋が寒い。蠅はいない。
しかし、朝、部屋に入って3日ぶりに掃き掃除をしたら、
机や椅子の下から固まった蠅が3匹出てきた。
夜のうちに死んだのだろう。

二階の南向きの部屋に引っ越してから、晴れた日にはどんどん蠅が入ってくる。
特に気温が日に日に下がってきた今日このごろ、
私が雑誌などを振り回して窓の外に追い出そうとしても、
狡猾にカーテンの陰に隠れたりして、なにがなんでも出ていこうとしない。
小春日和の暖かい日差しが入るこの部屋が魅力的なのだ。
これは、我が故郷北海道の蠅と全く同じ行動様式である。
蠅に国境はない。う~む。

一階の資料室には、よく蚊がいた。
夏、湿度も温度も高いあの部屋は蚊達のパラダイスだった。
ただ、そこには凶悪な一人の人間がしょっちゅう部屋を占拠して、
蚊の存在を脅かしたのだ。
つまり、私ですけど、
私は何故か、蚊を見ると絶対に殺したくなり、
殺したら、その死骸を並べておきたくなった。

優しい学生、劉思ていさんは、
蚊が自分の血を吸っていても、静かにフッと息で吹き飛ばすだけだった。
かたや、級友の範夢しょうさんは、
「こんのやろ~!」と言いながら思いきり叩いた。
私は範さんタイプだ。
しかし、範さんが完膚なきまでに叩きのめすのに比し、
私はできるだけ蚊の形態を損なわないように軽く叩くのが違うところだ。
何故なら、その後、窓際にその蚊を陳列して何度も眺めなければならないので。

今、二階の部屋で蠅を叩いても、あまり陳列欲求が湧いてこない。
なぜ(?_?)と考えて、(多分、こうじゃないか)と気がついた。
蠅の方が蚊より体が大きい。体液もたくさん出る。即ち、いかにも生物という感じが強い。
命を潰しているということは同じなのに、
見た目だけで、蚊より蠅に対して、申し訳ない気がするのだ。
刺されもしないのに、ただ五月蝿いだけで無用な殺生をしている、とも思う。

いつも、こんな中途半端な私を、
劉思てい女神さんは、(本当にもう・・・)といった風情で苦笑しつつ眺めていたなあ。

いろいろな個性を持つ人たちが暮らしている。
石原慎太郎さんは気がついていないようだが、人間は日本人だけではないのである。
そんなことを少しでも考えたら、
核武装するより、他のことを考えるべきだとすぐにでも思えるだろう。
ジョン=レノン的想像力の問題だ。
コメント
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