ネットでも、日本では何かウケそうな出来事があれば、
それっとばかりに飛びついて、コテンパンにやっつける風潮が露骨です。
つい数週間前まで、やたらとベッキーの不倫がわーわーわーわー騒がれていて、
(いったいそれが何やねん?あんたらアホちゃう?)という声は
あったか知らんけど、かき消されて私のとこまでは聞こえてきませんでした。
先週辺りからショーンKという人の学歴詐称が、また、ネットで
わーわーわーわー騒がれています。
私はサッパリ知らない人でしたが、余りに騒がれて、
Kさんが出演した「報道ステーション」にまで攻撃の的になっています。
本人は謝罪して、テレビ等の出演を全て取りやめ、反省しているそうです。
嘘をついたんですから当然です。
これからどうやって食べていくのか、それは分かりませんが、
今まで稼いできた分で、エスニックレストランを海外で経営するとかならできるのかな?
ま、そんなことまで、私が心配する必要はもちろんありません。
私自身は、学歴がナンボのもんじゃという考えで長年生きてきていますので、
中国の学生たちがやたらと、「北京の大学は全て一流です」などと言うたびに、
「何を持って一流と規定するのか」と必ず水を差しますが、
就職のために学歴がモノを言うのは事実です。
専門職ではその分野について学んだ人を採用するのも妥当だと思います。
しかし、人格、総合的判断力、社会性などとはま~~ったく無関係です。
従って、「東大卒が偉い」「博士が偉い」という考えはたいへん愚かです。
私はこの言葉を聞くたびに頭の血が逆流します。
にもかかわらず、なぜか多くの民は、
特に東大に行ったり博士になったりしたことがない庶民は、
「ほう、東大出かい、博士かい。」と畏敬の念を持ち、
その人が大変優れた人間であると信じてしまいがちです。
おそらく、東大出や博士たちの摺り込みが成功しているのでしょう。
もちろん、それらの中に立派なお考えの方はたくさん存在します。
学歴のない庶民の中にもたくさんの尊敬すべき方がたがいらっしゃるのと同様に。
結局、学歴詐称というのは、
①就職、地位獲得に有利、②人格が立派であると見せたい、
という主に2つの理由で後を絶たないのでしょう。
いずれにしても詐称は法律違反です。
いわゆる一般人でもそうなのですから、国のリーダーなどが
学歴詐称をするなど、とんでもないことであり、
そのようなことを日本の人々が「首相だからいいんじゃな~い?」
とか言って許すなら、
外国から物笑いの種になること必至です。
日本国の総理大臣や副総理という肩書の人たちが
そういうことをしているとニュースで見て、たいへん驚きました。
ショーンKはマスコミが大騒ぎするのに、
アベ総理、麻生副総理のやったことは、一切不問に付すのでしょうか。
ここに、二人の経歴の変更前・変更後の二つを並べてみます。
これは、学歴詐称ではないんですかね?
公平・平等な目でご覧になってください。
《アベ首相の経歴の変遷》
↓ 「あべ晋三事務所」公式HP(1998年)より
・・・「南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学」と明記
↓ 「衆議院議員安倍晋三」公式HP(現在)より
・・・あれ?南カリフォルニア大は?政治学部は?どうして書かないの?
《麻生副総理の経歴の変化 》
↓「麻生太郎事務所」公式HP(2004年)より
・・・スタンフォード大学大学院、ロンドン大学政治経済学院留学と明記
↓「麻生太郎」公式HP(2007年)より
…スタンフォード大とロンドン大が経歴から消えてますけど?
この二人に限って、遠慮して書かないとか、あり得ませんよね。
どうなってんのかと日刊SPA!の記事をよく読んだら、
アベ首相の場合、政治学は履修登録したけど、
授業をサボったかしてドロップアウトし、
単位を一つももらえなかったということですね。
そんなもん、経歴に書いたらダメにきまっているでしょうよ、アホか!!!
―――日刊SPA!―――
日本のリーダーである安倍晋三首相。
かつての公式ホームページには、
1977年「成蹊大学法学部政治学科卒業、
引き続いて南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学」から
1979年「株式会社神戸製鋼所入社」と記載されていたが、
現在の公式ホームページには、
1977年「成蹊大学法学部政治学科卒業」から
1979年「株式会社神戸製鋼所入社」となっており、
南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学という海外での経験が
一切削除されている。
2004年2月の『週刊ポスト』の報道によると、
安倍氏がUSC(南カリフォルニア大学)の政治学科に在籍したことはなく、
78年の春期、夏期、秋期にのみ在籍し、取得した6コースのうち、
3つは外国人のための英語コースであり、そこには政治学は含まれていない。
しかも安倍氏は、2年間留学といいながら、実際には1年間にも満たないことが判明。
そして、安倍事務所は
「南カリフォルニア大には78年1月から79年3月まで在籍しています。
政治学は履修したが、途中でドロップアウトしたため、記録が残っていないだけで、
留学の実態はあったと考えています」と答えている。
その疑惑に対して、当時の民主党・菅代表は記者会見で
「取材やホームページでの安倍氏の発言がくるくる変わっている」と指摘し、
民主党として事実関係の調査をしていることを明らかに。
その過程で記載は削除されたという。
続いては、麻生太郎副総理。
2004年時点での公式ホームページでは、
昭和38年「学習院大学政経学部を卒業後、
スタンフォード大学大学院(昭和38年~昭和40年)に留学」から
昭和40年「ロンドン大学政治経済学院(昭和40年~昭和41年)に留学。
帰国後に家業の麻生産業(現麻生セメント)に入社」と記載されていたが、
2007年以降の公式ホームページでは、
昭和38年「学習院大学政経学部卒業」から
昭和41年「麻生産業株式会社入社」となっており、
スタンフォード大学とロンドン大学という海外留学の経験が一切削除されている。
多くの人は、こうした南カリフォルニア大学、スタンフォード大学、ロンドン大学といった
海外の大学について詳しくないため、何となく凄いのだろうと圧倒されてしまう。
そして、プライバシー保護の時代に、学歴の真偽を確かめることも難しい。
安倍晋三と麻生太郎に共通するのは、
祖父がともに東京帝国大学(現・東京大学)を卒業した
内閣総理大臣の「エリート家系」であるということだ。
言わずもがな、安倍晋三の祖父は岸信介であり、
麻生太郎の祖父は吉田茂である。
彼らが自身にコンプレックスを抱いていたのかどうかはわからないが、
少なくとも周囲からの期待は凄まじく、
プロフィールを“盛る”必要があったのかもしれない。
しかし、政治家が選挙広報で「学歴詐称」することは
以下のように公職選挙法違反とされており、
1996年に衆院選に立候補したサッチーこと野村沙知代は、
虚偽の経歴を公表した「詐称容疑」で東京地方検察庁に告発されている。
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●公職選挙法 第二百三十五条(虚偽事項の公表罪)
当選を得又は得させる目的をもつて公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出、その者に係る参議院名簿届出政党等の届出又はその者に対する人若しくは政党その他の団体の推薦若しくは支持に関し虚偽の事項を公にした者は、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
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「学歴」という肩書きは、最も簡単に人から信頼と安心を得られるものである。
「学歴重視」「欧米コンプレックス」の日本だからこそ、
こうした学歴・経歴を水増しする行為が起こる空気が蔓延しているのだろう。
<取材・文/北村篤裕>
―――http://nikkan-spa.jp/1076131