毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「年末の大阪に帰ってきた」 2013年12月28日(土)No.834

2013-12-28 14:36:50 | 日記
昨夕、東方航空の便を乗り継ぎ、関空に着いた。
「大阪駅まで約58分」というシャトルバスの表示を、以前はただ面白く見たが、
今回は違和感が肥大化して(普通約50分とか約1時間とかだろうに)と、
こうした表記をさせる社会的背景を想像し、ちょっぴり悲しく感じた。
1分1秒を無駄にできないような人生をずっと過ごすのが、
人間にとってそんなにいいことだろうか。
中国での(特に南昌という地方都市での)生活が長くなるにつれて、
日本社会を相対化する見方が次第に膨れてきている。

しかし、逆に感動もある。
家に着き、とりあえず何か野菜を買おうと、歩いて数分のスーパーに出向くと、
1階入口前で2階から降りてきた中年男性と出くわした。
その時、相手の男性は私に軽く会釈をして、スーパーに入っていった。
「お先に」という仕草なのだが、そんなことで胸がホッコリ暖かくなった。
日本人の礼儀正しさを再確認した思いだった。

日本人が世界に誇れる最たるものは、その謙譲の美徳に裏打ちされた礼儀正しさと言える。
心底謙譲する心があれば、日本は再生できると思う。
「他の国より日本は正しく、日本はエライ」とほんのちょっとでも思っていたら、
近隣諸国は腹が立つ。
また、その唯我独尊の思いは事実に基づくものでもない。
今、多くの中国の学生たちは、
「中国はいくらGDP世界2位とは言っても、まだまだ発展途上国です」
と言う。
これくらいの冷静な現状認識を、情報量において優る日本人がどうしてできないのか。
私には、謙譲の意識を世界に向けて発揮することこそが、
唯一日本が生まれ変われる道だと思えてならない。
かつて、先人たちがそうだったように……。

関西も南昌同様、寒い師走だ。
飛行機で簡単に行き来できる今の状態が、政治家の判断ミスで壊されないように
庶民は庶民同士のパイプをしっかりと繋ぎたい。
安倍総理の靖国参拝という愚かしい出来事を聞き、
また、それを当然だと思う意見が84%以上だというどこかのサイトの数字を見て、
年の瀬の寒さが一層身にしみる。
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「日本語学科でもないのにスピーチした学生」 2013年12月26日(木)No.833

2013-12-26 15:27:16 | 日本語
「日本人はみんな中国から出ていけ!」
こんなコメントを日本のサイトで見るたびに胸が痛む。
確かに、中国にはこんな声もあるに違いない
しかし、同じサイトに、多くの中国人が日本について冷静に見ていることは、
ほとんど紹介されない。
これでは中国の生の姿が日本には伝わらない。

そもそも、中国の多くの大学には日本語学科があり、何十万人もの学生たちが
日本語や日本について学んでいる。
江西省でも多くの大学が日本語学科を設置している。
ちなみに、韓国・朝鮮語学科というのは全く聞かない。

日本語学科では、かなりの割合の学生が、大学に指定されて
(つまり、自分の希望ではなく)日本語学科に入学してくる。
それらの子たちは最初、
(1年間辛抱して、2年から会計か金融に転学しよう)と思う。
ところが、1年後、多くは日本語学科に留まるのだ。
「なんか、勉強すればするほど日本語が好きになって~。」
と屈託なく言う学生達の顔を何人も見てきた。
昨日のブログで紹介した、じょう立明さんもその一人だ。

しかし、日本語学科の学生でもないのに、
自分の専攻の傍ら、日本語学科の授業にせっせと通う学生もいる。
彭大鵬さんは財大蛟橋キャンパスで工商管理だかを専攻している3年生だ。
彼はこの学期ずっと、
二年生の会話授業にわざわざバスで麦盧キャンパスまで通ってきた。
毎週参加するので、
出席確認のとき、いつも彼の名前も呼ぶのが当然になった。

彼はなぜ、そんなに熱心に通ってくるのだろう?

日本語学科の学生たちは、嬉しい反面、不思議でもあった。
それが最終日のスピーチで分かった。
この、外からの熱心な学習者は、
明らかに日本語学科の2年生たちを奮い立たせた。


「私と日本語」彭大鵬

『花なら蕾の私の人生。この青春の始まりを悔やまないように大切にしたい。』
これは「1リットルの涙」というドラマのセリフです。僕は大好きなのです。

小さい頃、歴史で、千年以上前、
日本の留学生が中国に来たということを知りました。
留学生たちは中国で勉強した後、
中国の制度や文化などをいろいろ日本に伝えました。
例えば、今日とも奈良も中国の長安を真似て作った町です。
中国の文化は日本の文化に大きい影響を与えたということでしょう。
でも、現在の中国は古い建物が少ないです。
僕は古代の建物に興味を持っていますから、日本の京都に行ってみたいです。
それは夢です。

大学に入ってから、だんだん、日本のアニメが好きになりました。
「ONE PIECE」や「あの花」、「コオドギアス」など、
全部僕の大好きなアニメです。
アニメをきっかけに日本語を勉強しようと決めました。

一年生のとき、日本語を勉強するために塾へ通いました。
最初、楽しいと同時に難しいような感じがしました。
「五十音図」さえ数週間もかかりました。
単語も多いし、文法も易しくないし、さらに悲しいのは、
二級能力試験に失敗したことです。
とても辛かったです。

いつの間にか三年生になりました。
「なぜ日本語を学びたいのか?」
「何のために日本語を勉強するのか?」
いつも自分に問いました。
「就職のため」「新しい外国語を身に付けたい」…。
全てよい目的です。
でも、これは私の場合、本当の理由ではありません。
私は、本当に興味を持って、日本語を勉強してきました。
若いうちに、したいことをできるだけしたいのです。
そして、自分が好きなことをちゃんと続ければ、
きっと立派にできるようになると考えています。
だから、日本語は絶対あきらめません。
ずっと勉強を続けます。

学期、皆のお蔭でたいへん勉強になりました。
いろいろとありがとうございました。
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「2年生のスピーチから(その2)」 2013年12月25日(水) No.832

2013-12-25 21:58:33 | 日本語
今日も寒い一日だったが、その寒さの中、
2年生の徐さん、李さん、伍さんが麦盧園から、
プレゼントの苹果と手編みマフラーを持って来てくれた。
明後日27日の早朝、冬季休暇帰国するので野菜も何も買っていない。
外で食べることにして出かけた。
大学周辺には学生向けの食堂がたくさんあるが、
その一角に「吉野家」という看板を出している店があり、
2年ぶりぐらいでそこに入った。

小学生ぐらいの子どもが給仕をする家族経営の店だ。
伍雲霞さんの発音の癖(ラ行がナ行になる)を真似て、
「この皿、きねいねえ」などとふざける徐蕾さん。
このクラスの多くは、音の違いに敏感なのか、
他人の発音ミスを聞き逃さず、ジョークのネタにしている。

下に紹介するジョウ立明さんも、
その人一倍特徴的な発音癖をさんざん指摘されてきた子だ。
一年のとき、彼が話す言葉が何語なのか、分からないことも多々あった。
20日のスピーチ大会では、そんなこと、あんなことが走馬灯のように巡り、
(よくぞここまで這いあがってきてくれたなあ)と感無量だった。
書いてあることは、彼にとって大げさでも何でもない。
普段からじょうさんはやや硬い言葉遣いなので、
この演説は彼の真骨頂と言える。
(途中「**先生」とあるのはワタクシ、ブルーはーとのことである)

「私と日本語」 じょう立明

子どものころ、私は日本がどんな国か、日本人はどんな人か、
良くわかりませんでした。
私の狭い世界では、たまに家族の話に出てくる日本と日本人は、
ほとんど映画からの情報です。
映画は、抗日戦争に関するものが一番多かったです。
私自身が体験した苦難ではありませんでしたが、
それでも、日本という国と日本人は嫌いだという感情が生まれました。
以前は、私の心のどこかに、そのような先入観がありました。
けれども、日本語を勉強したり、**先生と交流したりしているうちに、
私の先入観はいつの間にか消えていました。

日本語を学び始めたばかりの時、私は初心者で、
なかなか難しくて大変だと思いました。
今、日本語を勉強すればするほど興味が湧いてきます。
 
大学に入ってからずっと、頑張って勉強してきましたが、
言語の習得は簡単なものではないので、
興味より、根性の方がもっと重要です。
雨の日でも、雪の日でも、暑い夏の日でも、
私は絶対日本語の勉強を怠けませんでした。
(どうして私は、休みの日でも楽ができないのか。
どうして私は、自分が好きなことができないのか。
どうして私は、この無味乾燥な生活をずっと我慢しているのか……)
そんな辛いとき、苦しいとき、疲れた時、諦めたいとき、
日本語をペラペラ話せる自分の姿を頭に浮かべて、
もう一度、希望を燃やしました。
長い冬は必ず終り、人生にも春が来て、日本語も上手になると信じて……。

私はまもなく三年生になります。
この二年間で日本という国や日本人が理解できるようになりました。
それはただ言葉だけの交流ではなくて、
心の交流ができた結果です。
日本語勉強において、強く印象に残った人物や出来事をあげるとすれば、
最初に思い浮かぶのは、やはり**先生のことです。
先生は、むろん優しくてまじめです。
毎度宿題を出して、先生は必ず詳しく添削します。
それがわたしの感動したことです。

中日両国は一衣帯水の関係にあります。
この両国は昔からいろいろな分野で、
即ち、政治や文化、経済などの面で幅広く様々な交流が行われてきました。
異文化をお互いに交換するために、
これからも日本と中国がうまくやっていかなければならないと思います。
だからこそ、我々若者は自分の行いによって、
世界平和の増進に役立ちたいと思っています。
中日関係の健全な発展、中日両国のさらなる美しい未来を、
いっしょに作っていきましょう!
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「中国的平安夜」 2013年12月24日(火)No.831

2013-12-24 20:23:09 | 中国事情
昨日、今日と麦盧園へ。
期末試験が終わり、4年生はいよいよ就活本番、
そして、大学院入学試験が1月4日に迫っているので、
就活組、進学組双方ともクリスマスどころの騒ぎじゃない。
私もこの二日間、もっぱらその手伝いをしていた。


↑女子寮の渡り廊下には布団がたくさん干してある。
のどかな風景だが、進学組の劉慧さんは、
「大学院の試験が終わるまで蒲団なんか干している場合じゃないです。
夜寝る時は、冷たくて嫌ですけど……。
洗濯もできるだけしないようにしています。服なんか少々汚れてもいい。」
と。
しだいに入試日が近づくにつれて、緊張感が高まってきた様子だ。
とにかく、平常心を失わないようにしてほしい。


↑2年生は副専攻がまだないので、既に帰省した子が多い。
キャンパスの道路もヒッソリしている。


↑片や、麦盧園メインストリートには、華やかなラッピングや箱がズラリ。
女子大生がリンゴ(苹果)を選んでいる。
そう、今日はクリスマス=イブ(平安夜)なのだ。
平安夜の「ピンアン」と苹果の「ピングオ」の「ピン」が同じ発音なので
苹果(リンゴ)をプレゼントする習わしがある(といっても改革開放以降の習慣だ)。


↑女の子ばかりが買っているようだが、男は恥ずかしいのだろうか。
中秋節の月餅は男性、女性問わず交換し合っているのに。
ちなみに、4年生の周双双さん(女性)は4年間、
一度もこんな可愛いラッピングの苹果を
もらったことがないとのこと。
丸裸のリンゴを「ほれ、あげる」と言って友達がくれただけだそうだ。
虚飾を捨てて実を重視する子は、こういうことしないのかも。
私から見ても、
中国のラッピングは往々にして派手すぎる。
中国的に言えば、
「どうせやるなら、派手にやれ!」ということだろうか。
その考え方にはある部分同意するが……。
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「2年クラスのスピーチから」 2013年12月23日(月) No.830

2013-12-23 20:49:17 | 日本語
2年生のスピーチ大会(実は成績をつけるために無理やり開催)から、早や3日。
熱い感動を忘れてしまわないうちに書きとめておかなくちゃ。
テーマは「私と日本語」。どこかで聞いたことがある人もいるだろう。

1番手は李雪さん。
彼女は2年生で最も流暢に話せる学生の一人だ。
校内日本語コーナーには毎週欠かさず参加し、
南昌市内の日本語コーナーにも何回も出かけている。
見かけの‘カワイイ子’といった印象からは計り知れない努力家だと私は見ている。

ここに紹介するのはスピーチ原稿なので、
声や仕草、顔の表情などの表現が分かってもらえないのが残念だ。

  「私と日本語」 李雪

私は日本語が好きです。何故かは私にも分かりません。
ただ、小学生のころからずっと、日本語はとても美しい言語だと思ってきました。
この前の夏休みに家で父が、
「こんなにボロボロになった本は、雪の本じゃないみたい。」
と言いました。父が私のことを笑っているような感じがして、腹が立ちましたが、
よく考えてみたら父の言った通りでした。高校生までの私は、
本がボロボロになるほど勉強したことは一度もなかったのです……。

今、日本語を勉強してそろそろ二年になります。
その間、毎日、日本語の文章を暗記したり、日本のドラマやアニメを見たりして、
日本語の勉強を続けてきました。
でも、最近、ちょっと日本語に自信がなくなってきたんです。
難しい文法もどんどん出てくるし、
時々アクセントを間違えて気持ちが落ち込む時もあります。
それと、先輩はよく、
「日本語能力試験1級の合格は、日本語の勉強のスタートだ。」
と言うので、重い荷物を背負った気がします。
それでも、勉強に疲れた時は、自分の目標を思い出して、
(もっと頑張らなくちゃ)と元気を出します。

しかし、最近、中日関係が悪くなって、とても心配です。
周りの人たちは、私の専攻が日本語だと知ったら、
皆、同じ顔をして、同じことを言います。
「他のいい専門もあるのに、どうして日本語を?
これからもっと関係が悪くなって、
卒業した後、仕事を見つけられなかったらどうする?」
こんな話を何回も聞きました。
でも、両国ともアジアおよび世界で重要な役割を果たしている国だし、
両国の間の民間交流も、今も進んでいるんだし、
日中関係はそんなに簡単に中断されないと思います。
ただし、この問題が一日も早く解決されることを祈っています。
 
夏休みのある日、友達と一緒にソウルの景福宮を見に行きました。
その途中、で、日本人の女性に写真を撮ってくれるように頼まれたんです。
私が日本語でその女性と話をするのを見て、
友達が私のことを羨ましがっていました。
ペラペラ話せませんでしたけど、交流ができてとても嬉しかったです。
日本語を学んで、人々の交流の輪を広げること、
これが、今後、私が日本語を使ってできることだと、確信しています。
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「越冬体制に入る」 2013年12月22日(日)No.829

2013-12-22 20:05:02 | 中国事情
昨日は最低気温0℃だったそうだが、
大気汚染のおかげか、
夜でも外はそんなに寒さをストレートに感じなかった。
下の写真は、市内に向かうバスの中から撮った八一大橋。
p.m.2.5指数は朝152。


今日は終日、部屋で成績つけ。
南昌は部屋の中が実に、見事に、泣くほど寒い。
1週間前から越冬体制に入り、パソコンのある書斎の床は断熱シートや段ボール、
反古紙などを敷き詰めた。
生きて春を迎えるためにはかまっちゃいられません。






↑ここまですると、ちょっと暖かい。
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「春節用オレンジ茶の作り方」 2013年12月21日(土)No.828

2013-12-21 14:15:14 | その他情報
さっき、南昌市内の日本語コーナーで会った学生たちに
オレンジ・マーマレード・ジャムの作り方をブログで紹介すると約束して
今、宿舎に戻ってきた。
一日たつとすっかり忘れるので、今のうちに書き込んでおこう。

今夜はまた、市内に戻り、建設賓館で中日友好忘年会だ。
今夜は0℃になるという。
冬の夜の忘年会はホンマ、やめて欲しいわ。
夏であっても、バスがないような時間帯に宴会するのは、
外国人女性には物騒である。
次回からは昼間にして、と要請したい。
(いや、次回にはもう南昌にいないかも

文句はこれくらいにして、
ハ~イ、お待たせ。
「オレンジ・マーマレード・ジャム」のレシピです!
『お茶にすると、‘これは、これは’の美味しさ』と南昌中で大人気なんである。

1 .薄く皮を剥く。


2.皮の下の白い部分も剥く。白い部分は捨てる。

3.オレンジの果実を切り抜く。


4.剥いた皮は熱湯で1分間茹で、そのお湯を捨てる(茹で溢す)。それを3回繰り返す。



5.左はオレンジの果実。右は3度茹でこぼした皮。


6.皮を細く切る。


7.オレンジ4つ分の皮。


8.鍋にオレンジ果実と切った皮全部を入れ、さらに、その半分の量の砂糖を入れる。
(お好みで少し水を加えてもいい)


9.火加減は、始め強火で、次第に中火から弱火にする。


10.30分~40分煮る。トロリとしてきたら出来上がり。  
冷めたらさらに固くなるので、緩めのトロリ感覚で火を止める。

11.オレンジ4個でこれだけできる。オレンジ色がきれいだし、
お茶にして飲むと喉もスッキリ、お部屋はいい香り。
春節前に作って、お客様へのおもてなしにしてね~!
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「1学期の授業が終わった」 2013年12月20日(金) No.827

2013-12-20 20:03:10 | 中国事情
今週、1学期の最終週で各科目のテストをした。

〈4年生〉
九月以降、就活や研修で留守をしていた4年生たちが、
期末試験のために、
広州や深セン、寧波、上海やら河南省などから続々と学校に戻ってきた。
水曜日の「ビジネス日本語」の試験のとき、
さりげなく、まるでずっと毎週全員いたかのように、
あっさりと試験の説明をして、試験を開始した。
黙々と机に向かって問題を解く学生たちの姿をじっくり見ることができたのは
それからだった。

私は「別れ」場面にやたら弱い。
自分自身、別れの挨拶などせずに、
いつの間にかスッと居なくなりたくてたまらんタイプだ。
この学年は、私の赴任と同じときに入学してきた学生たちで、
同じキャンパスで同じ年月をともに刻んできた、言わば仲間だ。
妙な感情を決壊させないために、
ひたすらさり気なさを演出した。
出戻り組の顔を見ていてふと気づいたのだが、みんな、以前と全く同じだ。
昨年までは、先に就職した子たちは化粧や装飾品を施し、
(ああ、もう社会人なんだな)と実感させられたものだが、
今年の働く4年生たちは、何と以前のままだった。
なんか、実家に帰って来た娘がけばくないので喜んでいる
年老いたハハみたいな心境でした。

今度全員と会うのは、卒業のときだ。
その時こそ、いやでも別れの挨拶をしなければならないのだろう。
彼女ら・彼らが完全に飛び立つまで、まだ半年ある。

〈3年生〉
火曜日の「日本語作文」、木曜日の「日本文学」の両方とも、
私の力作の試験問題だ
2年生のときには、頼りなげだったこのクラスの何人もが、
3年生になるや、表情が引き締まってきた。
校内日本語コーナーも、立派に牽引してきた。
11月23日の外国語学院主催「新入生歓迎会」で、クラス全員+先生たちで
KIROROの「長い間」を披露したのは、
日本語学科始まって以来の快挙である。
お蔭さまで今でも、時おりな~がい間~ ま~たせてご~めん~
口から勝手に歌が出てくる。

で、皆、ちゃんと試験ができていたのかは、まだ分からない。


〈2年生〉
「会話」試験のスピーチは今日だった。
今日にいたるまで、何時間も特訓をした。
とは言っても、一人あたりにしてみればたいした時間ではない。
今日、ふたを開けてみて驚いた。
て言うか、感動した。
多くの子が私が言ったことをしっかり吸収して表現を工夫している。
その中に、一年のとき、(この子は日本語学科で花開くだろうか。
他学部が向いているのでは?)
と思う学生がいた。
こちらが途方に暮れるような発音・アクセントで、
どこから手を付けたらいいのか、私も正直言って分からなかった。
その子のスピーチが、今日、ものすごい気迫だった。
途中から、思わず知らず涙が出てきたほどだ。
隣に座っていた徐ライさんが、
「エライですね…。」と呟いた。
明日のブログには、彼を含めた何人かのスピーチ文を載せたい。
クラス皆が全員のスピーチを聞き終わった時、
一人ひとりが、自分と友人達の頑張りに感動の面持ちだった。
「先生、ハグしてもいいですか。」
などと感動を表し、あとは到来する冬休みに浮かれて帰って行った

〈1年生〉
1学期の1年生のテストほど、私にとって辛いものはない。
「昨日の晩、何時に寝ましたか。」
「毎日、誰と食堂に行きますか」
「いつ故郷に帰りますか」
「なんで帰りますか」
とか、自分で質問しつつ気が遠くなりそうになる。
それでも1年生は必死に口の中で「なんじに…ねまし…たか」
とか呟き、「すみません。もう一度言ってください」
など、食い下がってくるので気絶してもいられないのだ。
思えば4年生だって、1年のときはこんな状態だった。
学び続けることのすごさを、江西財経大学の学生たちは見せてくれる。


明日は八一公園の日本語コーナー、参加者は少ないだろうな。
しかし、出かけよう。
頑張って来る子たちのために。
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「NHKテレビに作文コンクール授賞式が映るそうだが」 2013年12月19日(木)No.826

2013-12-19 20:23:36 | 日本語


『表彰式の様子・12月22日午後6:10からNHKテレビ放送‏』
と、日本語作文コンクール事務局 (jpsakubun@gmail.com)から今日メールが届いた。
以下メール文―――――――――――――――――――――――――――
去る12月12日、北京の在中国日本国大使館にて開催された表彰式の模様が、
来る12月22日(日)午後6:10から6:42のNHK総合テレビ、
海外ネットワーク(WORLD NETWORK)で放送されます。

サブタイトルは、
「日本への強硬な姿勢を貫く報道・国内世論 
民間レベルの交流が続く中 関係改善の糸口は」となっており、
概要は下記のURLでご覧になれます。

中国にいらっしゃる皆様も、日本の友人などを通じて是非ご覧になってください。
又、国内外の友達の方にも是非教えてあげてください。

http://www.nhk.or.jp/worldnet/index.html
―――――――――――――――――――――――――――――――――

主催者、段躍中さんは、ひたすらメディアに取り上げられるよう、
日本で20年以上努力してきた人なので、このニュースは嬉しいことだろう。
何しろ、添加のじゃない「天下のNHK」なのだ。

しかし、わたしはサブタイトルを見て、なんか嫌な予感がする。
私が覚えている限り(なのでだいぶ以前)、
「クローズアップ現代」以外のNHK番組で時事問題を取り上げる際には、
視点を靄(もや)に包み隠しながら、
結局、核心に最も遠くはずれたところから、
いかにもしたり顔でものを言うのが常であった。
最近は、そのNHKの立場がはっきりしてきたと聞く。
それも、はっきりと政府側に立ったもの言いだそうだ。
この間の環球時報の報道「来年1月に開戦?」について
サンケイですら黙っているのに、このNHKが煽りまくらないか、
それが心配なのだ。

ヘンなところに利用されずに民間交流を続けること、
これは戦いである。
段躍中さん、余計なお世話かもしれないが、飲み込まれないでほしい。

実は昨日、
江西財経大学日本語学科の教師たち(中国人4人、日本人1人)は会議で、
来学期の校内スピーチコンテストのテーマを
『江西財経大学大学生からの平和への提言』と決めた。
「今、平和へのあらゆる努力を怠ってはいけない。
こんな時期だからこそ、積極的に打って出よう。」
というG先生の言葉に皆が頷いたのだった。
日本語学科の教師も学生も、
やるときゃ、やるで!

ところで、22日(日)夕方のNHK総合特集、
日本の誰か、見て内容を教えてくれないかしら。
コメント (2)
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「中国人の日本語作文コンクール:日本大使館で授賞式」2013年12月18日(水)No.825

2013-12-18 20:53:51 | 日本語

日本僑報社主催の「中国人の日本語作文コンクール」の表彰式が、
北京の日本大使館であった。
江西財経大学の学生が3年連続入賞し、
学生たちにも作文を書く励みになっている(と思いたい)。
今回、2位、3位に入賞した4年生の王雲花さん、李思銘さんの二人は、
人生で初めて北京へ、そして日本大使館へ行くので、
それだけでワクワクしていた。
私も行って段躍中さんと握手したいのはやまやまだったが、
何しろ北京は遠い。飛行機以外で行く勇気は出ない。
学院は汽車代は出しても飛行機代は無理だったし、
北京は空気が悪いし、何より授業があった。
そう言う訳で付き添えなかったが、
二人のお嬢さんたちは、ちゃんと賞状を手にし、北京観光もして来たそうだ。

↓こんな写真しか撮らんかったのかい!と言いたくなる
江西財経大学の王雲花さんは、右から3番目の男性の前で、ややうつむき加減。

↓左から2人目が李思銘さん。
バックの「ドン・キホーテ」がやたら目立つがスポンサーなのだろう。


今年、以前と違うと感じるのは、中日両国のメディアの取り上げ方だ。
昨年も朝日新聞やら少し取り上げられたが、
今回は中国側も多く報道している。
中日友好のために尽力してきた日本僑報社と段躍中さんの苦労が、
しだいに実ってきている気がする。

↓李思銘さんと段躍中さんの記念写真。いいなあ~


表彰式報道一覧(18日現在)

時事http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013121200815
朝日http://www.asahi.com/articles/TKY201312120275.html
TBShttp://news.tbs.co.jp/20131212/newseye/tbs_newseye2079112.html(動画)
テレビ朝日http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000017864.html(動画)

共同(中国語)http://china.kyodonews.jp/news/2013/12/65471.html
人民網日本語版http://j.people.com.cn/94473/8484091.html
人民網日本版(中国語)http://japan.people.com.cn/n/2013/1213/c35465-23834397.html#285750-tsina-1-25643-e2c490a953b5feb80e1da961cae69e11
チャイナネットhttp://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-12/13/content_30887147.htm
中国新聞網(中国語)http://japan.people.com.cn/n/2013/1213/c35465-23834397.html
北京週報http://japanese.beijingreview.com.cn/ztjl/txt/2013-12/13/content_584616.htm
新華網日本語http://jp.xinhuanet.com/2013-12/16/c_132971220.htm
香港と台湾の中国メディアに多数転載
(日本僑報社提供の情報)

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「シリアで日本語を学ぶ人たち」 2013年12月17日(火)No.824

2013-12-17 20:45:09 | 日本語
「シリア、砲撃下の日本語授業 邦人教師は脱出…それでも」
12月8日の朝日デジタルの見出しが目に留まった。
「日本語授業」「邦人教師」に心が反応したのだ。

思えば中国での邦人教師の立場も、私が赴任して以来ずっと微妙だ。
日本国政府が国際外交などと到底言えないようななことをしたり、
それに対して中国政府が思い切り真正面から返したり、
何が面白いのか両国メディアが、互いの排外主義を煽りに煽って、
私たち名もなく、か弱い庶民を窮地に陥れているのだ。
それでも、現在のところ両国の庶民たちは大方冷静で、
自分たちにできる民間交流を淡々と実行している。
だって、これしか自分たちが平和のためにできることはないんですから。
そのおかげで今、私は中国に居ても爆弾で屋根が飛ばされたり、
嫌がらせされたり、逮捕されたりすることは一切ない。
両国のメディアが伝えていることとずれているかも知れないが、
平穏な日々を過ごしている。

シリアは違う。
現実に爆弾が飛び交い、子どもが既に1万1000人も死んでいる。
スクールバスに迫撃砲が当たり、簡単に子どもたちが死んでいく日々に、
いったい、庶民は何ができるだろう。
次は自分が死ぬかもしれない。

そんな中、ダマスカス大学で日本語を勉強している学生たちがいるという。
それだけで驚きだ。
以前5人いた日本人教師は、もはや誰もいないが、
日本語を教え続けているシリア人の先生たちが6人いる。
そのうち5人が1年から1か月、日本に留学した経験があるそうだ。
たった1か月の経験を知識に凝縮して、
全力で学生に教えている先生の姿を思い浮かべ、目頭が熱くなった。

―――――朝日デジタル2013年12月8日より転載

■「懸け橋に」尽きぬ情熱
 困難な状況にもかかわらず、学生の日本語を学ぶ意欲は旺盛だ。内戦で増える一方の検問所をくぐって移動するため、ほとんどの学生の通学時間は倍以上になった。迫撃砲の着弾や狙撃手による銃撃が相次ぐダマスカス郊外から、2時間近くかけて通う学生もいる。

 3年生の女性ドゥアー・ローンさん(20)は日本語と法律の二重専攻。「内戦が終わる日が来たら、弁護士としてシリア再建に貢献したい。日本語の勉強を続けるのは、日本が戦争で負けて多くを失いながら、世界の一流国に成長したから。学ぶことがたくさんあるはず」

 アラー・ガンナムさん(20)も3年生の女性。ダマスカス南部の激戦地ヤルムーク地区の出身。1年前に住み慣れた家を離れ、ダマスカス中心部の親族宅に家族で身を寄せる。日本のアニメ「NARUTO―ナルト―」が好きで日本語を専攻した。ネットを通じて、シリアから日本語で情報発信したいと願う。「平和なんて想像できない私たちの真実を、日本の人たちに知ってほしい」

 補助教員のもう一人、ハイサム・アルサッバーグさん(25)は、日本語教師6人の中でただ1人、訪日経験がない。いつか必ず日本に留学し、将来は日本文学の研究者になるのが夢だ。一番好きだという万葉集から、次の歌をそらんじた。
 韓衣(からころも) 裾に取りつき 泣く子らを 置きてそ来のや 母なしにして 
(訳)服のすそに取りすがって泣く子どもたちを、(防人(さきもり)として出征するため)置いてきてしまった。あの子たちに母親はいないのに

 「私には、この歌はシリア人の心を詠んだように思えます。私の心と同じです」

■日本語を学ぶ学生の一言
ドハー・シャプアーニさん(20)女性、4年
 夢は将来日本で暮らすこと。国費留学生に選ばれるように、これまで一生懸命日本語を勉強してきた。でも(内戦で)実現できないのが、本当に悲しい。

アンマール・オベイドさん(20)男性、4年
 黒澤明監督や小津安二郎監督の映画が大好き。一番好きな映画は黒澤監督の「生きる」。一度でいいから、日本に行きたい。

ミリアム・アーザルさん(20)女性、4年
 私は日本とシリアをつなげる橋になりたい。日本の方々が応援してくれたら、とてもうれしい。

マジド・アルサージさん(20)男性、2年
 日本人の先生がいないから、日本語があまり上手になれない。日本人の先生に来てほしい。

ドゥアー・サアドさん(21)女性、4年
 日本語の語感や響きが大好き。日本語の勉強を続けて、将来は日本語を使う仕事をしたい。

モアンマル・カリールさん(22)男性、2年
 将来日本のテクノロジーを学ぶため、イラクから来て入学した。この学科は日本語教育が優れていると聞いた。もっと日本語を勉強したい。日本の人に助けてほしい。
     ◇
 〈ダマスカス大学日本語学科〉 ダマスカス大は1923年創立。16学部あり、学生約8万人が学ぶシリア最大の国立総合大学。シリア政府要職者にも同大出身が多い。日本語学科は2002年、シリア初の日本語専攻学科として開設。将来的にシリアでの日本語教育を担う人材を育成することが期待されている。
【ダマスカス=春日芳晃】
http://digital.asahi.com/articles/TKY201312050218.html
―――――――――――――――――――――――


セレウコス朝だの、アッバース朝だの、昔、高校の世界史で暗記したが、
全く試験用紙の中の単語に過ぎなかった。
今、現実のシリアはとても近く感じる。




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「中国の人々は環球時報報道をどう思っているか」 2013年12月16日(月)No.823

2013-12-16 19:50:00 | 中日(日中)関係
12月12日の環球時報は日本が中国と開戦の準備を進めていると主張し、
「日本の世論は具体的な開戦の時期まで示している」と報じた。
サーチナ(searchina.ne.jp)12月13日の報道文を借りれば、
 〈環球時報は、日本政府が11日にまとめた「国家安全保障戦略」と「中期防衛力整備計画」の概要に、水陸両用部隊の新設が盛り込まれたことや、那覇基地の戦闘機を20機増やすこと、新型の早期警戒機を導入することについて問題視したうえで、「日本では2014年1月に開戦するという具体的な日付を挙げる声まで存在する」と主張した。〉
新華経済(www.xinhua.jp)12月12日号によると、
〈環球時報は12日、日本の世論が戦太鼓をドンドンと鳴らしながら、具体的な中日開戦の時期まで示していると報じた。〉とある。

問題の記事(中国語原文)は一番下に掲載。読める人、読んでね。

もし、この記事を読んだ人が真に受けて、
(日本人は中国と戦争する気なんだな)なんて思われたら、さあ、大変。
そこで、私の周囲の中国人の反応はどうか、
早速何人かに尋ねてみたところ、わかったことがある。

環球時報は中国共産党機関紙「人民日報」の国際版であると
wikipediaにも書いてあるが、
一般の中国人はほとんど読んでいないのである。
「共産党員だけしか読まないんじゃないですか。」
と言う人もいたが(言った人は非共産党員)、
実は共産党員である学生に聞いても、
「あまり、というか全然読んだことないです~。」
という。
中国の総人口13億人中、共産党員は6千万人と言われる。
全人口中大人の人数をザックリ9億3千万人として、共産党員は全大人の約31分の2、
つまり6.5%に過ぎない。その6.5%の共産党員ですら、
環球時報なんかあまり(または全然)読まないのだそうだ。
「人気ないですから~。」とある老師。
環球時報は財大の外国語学部にも毎日配達されるが、
部数はたったの1部だそうだ。
職員は正確には分からないが、最低、百人以上はいるはずだ。
では、人気のあるのは何かというと、
新聞では「南方日報」がダントツで、webニュースは「新浪」だそうだ。

ちなみに、今日、私が聞いた数人(大学の先生や学生)は、
誰一人、この環球時報の記事を知らず、
僭越ながらコピー文を見せてあげたら、
「こんな記事読んでも、誰も信じませんよ。」
と、いたってクールな反応だった。
ある学生は、
「環球時報は政府の機関紙なのに、
どうしてこんなことを書くんでしょう?」
と私に聞く。
私も分からないデス……。

蛇足だが、この環球時報は9日の紙面で、
「スモッグは軍事防衛に有用」論を展開し、
その詭弁にネットユーザーが激怒したという話もある。
あまり中国国民の信頼を得ている新聞ではなさそうだ。

――――――――――――――――――――
【环球时报综合报道】
日本11日再次向国际社会摆出一副“坚决抵抗中国”的架势。根据日本政府当天透露的“国家安全保障战略”及《中期防卫力量整备计划》草案内容,日本将组建一支水陆两栖部队,加强应对与中国的岛屿争端。
  而为了防备中国防空识别区的“威胁”,日本决定在冲绳加20架战机,并购置新型预警机提高空中监视能力。安倍还希望借助这些“历史性文件”提升日本地位,让日本在全球安全方面“施展拳脚”。这使得外界眼中一个“黩武”国家的模样越来越清晰。
  《纽约时报》11日称,从战略草案中可以看出,日本距离20年前那个甚至不愿承认有军队的和平主义国家有多远。在日本政府的鼓噪下,日本舆论也是“战鼓隆隆”,有关日中将陷入冲突的猜测纷至沓来,有的甚至给出诸如“2014年1月”之类的确切时间。
  “为避免东亚陷入战争,日本必须迈出第一步”,瑞士学者拉赫曼提出这样的忠告,他还建议日本天皇应该去韩国慰安妇纪念碑和中国南京大屠杀纪念馆致歉,“那样才能宣布二战真正的结束”。
コメント (1)
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「オレンジ・マーマレードとブロッコリーやらの芯」2013年12月14日(土) No.822

2013-12-14 15:47:02 | 中国事情
昨日今学期の授業が一応終わった。
スピーチ特訓は残っているものの、一段落付いたという安堵感がひたひたと胸に広がってくる。
そういうわけで、昨夜はオレンジ・マーマレード作りに取り掛かった。
今シーズン2度目になる。
というのも、財大日本語学科の朱先生や厳先生から相次いで贛州オレンジをいただき、
しかも無農薬だというので、一念発起して先々週(忙しい最中)作ってみたところ、
けっこう美味くできた。
朱先生の賞賛も受け、私は調子づいたのだ。
で、また作ったのがこれ(下の写真)だ。
無農薬とは言え油断できないので、1時間水につけて皮を丁寧に洗った。
さらに、参考にしたレシピに書いてあった通り、
剥いた皮は1分間ずつ3回、茹でこぼした。
その後、鍋でぐつぐつ。
このタイプの鍋は現在これ一つしかない。
財大のスーパーで買った2個の鍋は1年ちょっとで底に穴が開いた。
これは大阪の家からスーツケースに入れて持って来たものだ。


手間暇かけても、作ったらたったこれだけの量だ。
大きいオレンジ4つ分でキューピーマヨネーズの空き瓶2つ半。
今どきはオレンジ・ティーとして飲むと温まる。



上の写真後方に見えるブロッコリーも蒸した。
中国では芯の部分もしっかりつけて売っている。
要らないから切り取ってくれと言ったら断られた。
もったいないので、いつも芯部分も皮をむいて一緒に食べている。
それが実は、非常においしいので、日本の皆さんもぜひ試してみてね。
今日はさらに、白菜の芯も一緒に蒸して食べた。
お、これもなかなか美味である!
今度はキャベツの芯もやってみよう。
芯を食べて豊かな人生!ということで。



コメント (2)
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「麦盧園への『トトロの道』無残…」 2013年12月13日(金)No.821

2013-12-12 20:25:27 | 中国事情




3年半の間、これらの木の下を歩き親しんできたが、
もう、通れない。
まるで通り魔に遭ったようにむごい折られ方をした木々が、苦しんでいた。
深い致命傷を負った人々を見る思いだ。
誰がこんなことをしたのか!



麦盧キャンパスに入っていくと、事態が分かった。
清掃スタッフの人たちが、誰かに命じられて慣れない枝払いをしているのだった。
樹木の世話をする専門家ではない。
見ていて(その枝を切ってどうする!)と叫びたくなるような作業の有様だった。



情け容赦なく切り捨てられ、屍のように累々と横たわる枝枝。


ずいぶん成長している太い枝も多い。枝先には葉が茂り、冬、そして次の春の準備もしていたのに…。


もっとこまめに世話を受けていたら、こんな滅茶苦茶乱暴な手術をされなくてもよかったのだ。
何の計画性もない行き当たりばったりのやり方。
きっと誰かエライ人が「枝が邪魔で通れん!切ってしまえ」
などと言ったのだろう。
胸が塞がる。

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「小田嶋隆の『うんざりするほど当たり前のこと』」 2013年12月12日(木)No.820

2013-12-12 20:25:27 | その他情報
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ警句」の記事を全文貼り付けさせてもらう。
彼の文に共感するワタシやアナタは、
この気持ちを3年後まで保持し続けられるだろうか。
何しろ忘れん坊の天才、日本民族の一員なのだ。
案外、安倍晋三がいみじくも言うとおり
「国民はPKOの時、この秘密保護法よりもっと大規模に反対したが、
今は誰も文句を言わない」パターンで、
粛々と政府の言いなりになっている可能性も否めない。
自分が日本民族であるということは、
自分の記憶力に自信が持てないということだと、ハタと気づいた今日この頃である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



うんざりするほど当たり前のこと 小田嶋 隆2013年12月6日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20131205/256782/?P=1

参院国家安全保障特別委員会の中川雅治委員長(自民党)は12月5日、
特定秘密保護法案の採決を強行し、同法案は、自民、公明両党の賛成多数で可決された。
これを受けて、政府、与党は、遅くとも会期末の12月6日までに、
参院本会議で同法案を可決成立させる意向なのだそうだ。



率直に申し上げて、うんざりしている。
時期として手遅れになってしまったが、一応、思うところを書いておく。
タイミングのことを言うのなら、5カ月前の段階で既に手遅れだったと思う。
さらに言えば、当件に関して、手遅れでないタイミングは、
そもそも存在していなかったのかもしれない。
自民党にフリーハンドを与えた以上、この日の来ることは既定路線だった。

これまでにも、当欄で特定秘密保護法案をとりあげる機会がなかったわけではないのだが、
その度に、先送りにしていた。
理由は、ひとことで言えば、うんざりしていたからだ。
前半では、まず、私がこの話題を扱うことにうんざりしていた事情について述べることにする。
もしかしたら、それを言っているだけで紙数が尽きるかもしれない。
それでもかまわない。大切なのは、私がうんざりしていることの中身だからだ。

とにかく、結論としてあらかじめ言っておきたいのは、
今回のこの法案は、われわれがうんざりし続けてきたことの結果として
私たちの前に立ちはだかっているということだ。
無力感は人を無力にする。実にもってロジカルな話だ。
そして、このことのもたらす無力感は、ますます私たちを無力にする。
私は、いま、心の底からうんざりしている。

「お前の個人的な感情を吐露することに何の意味があるんだ?」
と考えておられる向きもあることだろう。
たしかに、読者には関係のない話に聞こえるかもしれない。
しかしながら、私は、同じ時代に生きる個々人の個人的な感情には、
普遍的な意味が含まれるはずだと考えている。

時系列の話をするなら、特定秘密保護法が可決成立することへの反応としてうんざりするより先に、
私はずっと前からうんざりしていたわけで、ということは、話の順序からすれば、
私がうんざりしていたことの結果として法案が成立したというふうに受けとめなければならない。
私はそのように考えている。

こういう話をしていると、
「貴殿は法案を熟読した上で見解を述べているのか?」 
という感じ問いが投げかけられて来る。
この種の質問は、もうずいぶん前から、完全にテンプレ化している。 
結局、何らかの政治的イシューについて発言する人間を見つけると、
必ずその専門性を問う人々が現れることになっているわけで、彼らは、回答を求めているのではなくて、
どちらかといえばいちゃもんをつける材料を探しているのだ。
で、多くの場合、この種の問いかけに対して、私は、 「もちろん、詳しくなんか知らないよ」
「直感で言ってるだけだけどそれが何か?」 という感じのレスポンスを投げ返すことにしているのだが、この問題については少し違う。
私は、特定秘密保護法案に関しては、応分の知識を持っている。

この秋以降、昨年来かかわっているさる民放局の番組(CS放送)で、
特定秘密保護法を扱った企画を3回扱っている。
で、ゲストとして招いた与野党の国会議員や、法律家、ジャーナリストに、直接話を聞く機会を得た。
弁護士の海渡雄一氏、ジャーナリストの大谷昭宏氏、総理補佐官の礒崎陽輔参議院議員、
自民党の中谷元衆議院議員、社民党の福島瑞穂副党首の各氏だ。

当然、これだけの専門家と話すのだから、事前に勉強しないわけには行かない。
だから、法案の条文については、4月の改定前の段階のものから、直近のものまで、
何度も目を通している。
つまり、私としては珍しいことに、この問題については、時間と手間をかけて情報を蓄積しているのだ。
にもかかわらず、私は、特定秘密保護法案に関して、これまでにどの媒体にもまったく原稿を書いていない。
なぜか。

ここで、話はアタマに戻ってループする。
私は、詳しく勉強すればするほど、発言することの空しさに圧倒されて、
何も言う気持ちがなくなってしまった。もう一度言うが、私は、うんざりしたのである。 
特定秘密保護法の問題点について、条理を尽くして語ることそのものは、
そんなに骨の折れる仕事ではない。
やればできる。
 
ただ、真面目に書けば書くほど、それは、新聞の特集コーナーで書かれていることの焼き直しになる。 
特定秘密の指定について恣意的な運用が可能であること、
行政府の権限を無限に拡大する恐れがあること、
情報開示の方法と原則について明確な規定を持っていないこと、
第三者のチェックが周到に排除されていること、
条文の中に共謀罪とほぼ同等の規定がこっそり書き込まれていること、
「適性検査」という信じがたい人権侵害規定が含まれていること、
想定されている同盟国(米国)に対して無力なこと、
罰則規定が重すぎることなどなど、書こうと思えば書くべきことはいくらでもある。

ただ、そういうことは、私が書いても仕方がないと思ったのだ。
専門家の解説をかみくだいて解説する仕事は、新聞のようなメディアがやれば良いことで、
実際に彼らは、この一カ月ほどの間に、その種の記事をかなり熱心に配信してくれていた。 
でも、手遅れだった。
新聞は、この種の政治課題については、稟議を通してから鳴らす津波警報みたいに、
手遅れになったタイミングではじめて騒ぎはじめるケースが多い。
その方が読者の胸を打つと思っているのだろうか。
それとも、記者というのは、後知恵だけが選択的に発達するべく訓練されるものなのだろうか。
 
特定秘密保護法案についての記事を書く気持ちになれなかったもうひとつの理由は、
「活動家」みたいな仕事をしたくないと考えたからだ。
言い換えれば、現時点で自分がこの話題について原稿を書くと、
反対運動を展開している活動家が書くみたいな文章になる気がして、
その文章の色気の無さ(というのか、硬直した文体)に、わがことながら、
あらかじめうんざりしてしまったわけだ。
 
もちろん、法案に反対する気持ちはいまでも持っている。
ただ、反対の気持ちは気持ちとして、私の心のより深い部分には、
反対しても無駄だというあきらめの気持ちが広がっている。
一方であきらめの気持ちを抱きながら、
反対の気持ちだけをまっすぐにぶつけることを繰り返していると、
その文章は活動家のアジ演説みたいなものになる。
私は、それがいやだったのだ。
 
さかのぼって言えば、私は、参院選がああいう結果に終わった時点で、
既に、色々なことを投げ出す気持ちになっていたのだと思う。
このことを、
「政治的な怠慢だ」
と、なじる人々がいることはわかっている。
事実、怠慢ではあるのだろう。
どんな事態に陥っても、倦まずたゆまず、
まっすぐに顔を上げて前進するのが正しき市民の選ぶべき態度であるのかもしれない。

が、政治的な勤勉さは、なにより選挙の時に発揮しなければならないはずのものだ。
選挙の時点で、与党にあれだけの圧倒的な議席を与えてしまった以上、
結果が出た後に選挙民としてできることは非常に限られている。
デモ?
まるで無駄だとは言わないが、私は乗れない。無力感で一歩も前に進むことができない。
「でもと言う前にやるべきことをやっておきなさい」
 と、マザーテレサも言っている。
 いや、これはウソだ。
 マザーテレサが言ったことにすれば、
たいていのことはもっともらしく聞こえるということを例示してみただけ。はい。ウソです。
「デモを打つ前に、デモを打たなくても良い政権を選んでおきなさい」
 と、私は、そう思っている。
 
次回こそは正しい選択をしなければならない。
私がいまさら法案に反対する言葉を口にしたくないと思ってしまうのは、
メディアに対して不信感を抱いているからでもある。
特に地上波のテレビに対しては、 「いまさら反対みたいな顔をしないでくれ」 という気持ちを持っている。 
彼らは、参院選を控えた時点の様々な番組で「『ねじれ解消』を果たせるのかどうかが、
この参院選の課題です」みたいな言い方を繰り返していた。
このことはつまり、与党が衆参両院で過半数を確保している現今の状況を、
新聞テレビをはじめとしたマスメディアが、参院選前の時点で、
半ば待望していたことを意味しているわけで、であるとすれば、彼らは、
いまさら自民党が数の力で成し遂げようとしていることを批判する資格を持っていないはずなのだ。
 
衆参両院の与党が「ねじれ」状態を呈していた2007年以降、政局は常に混迷の中にあった。
多くの法案の議決に、不必要とも思える時間と手間がかかり、
審議や決断の過程が非効率このうえない形で進行しているようにも見えた。
だからこそ「決められる政治」というキャッチフレーズが生まれ、
それをマスコミが後押しする機運が盛り上がっていたのだと思う。
この点について、議論の余地は無い。
そして、有権者が本当に「ねじれ」の解消を望んだのであれば、
彼らは、そのことの結果を受け容れなければならないはずなのだ。 
仮に「ねじれ」が解消して、「決められる政治」が実現したら、
与党が大胆な政治手法を採用してくるであろうことは、
当然といえば当然の、十分に予想できたはずのなりゆきだ。 
少なくともマスメディアの中にいる人々は、自民党の圧勝が予想されていた参院選を控えて、
「ねじれ解消」というフレーズを自分たちが合唱していた時点で、
今日あることを予期していなければならなかったはずだ。
 
自民党が選挙民を裏切ったと言うことはたやすい。
実際、彼らは、選挙前の時点で、
日本版NSCや特定秘密保護法の成立を公約として挙げていたわけではないし、
集団的自衛権を容認するべく国家の大方針を転換することもアピールしていなかった。
それどころか、TPPに関しては、多くの選挙区の議員が反対する旨を訴えて議席を獲得していた。
 
以上の点を蒸し返してものを言うなら、
自民党ならびに公明党が有権者をだまし討ちにかけたのだと言って言えないことはない。
でも、「ねじれ」が解消される状況が実現されれば、
自民党が、長年あたためていた懸案を一気に上程しにかかることは、
一人前のアタマを持った市民なら、本当はわかっていなければいけないことだった。
私は、わかっていた。
強行採決は、暴挙だし、品のないやりざまだし、背信行為でさえある。
とはいえ、それでも、最低限、違法ではない。 
というよりも、強行採決が可能な議席数を与えてしまった時点で、
われわれは、与党を罵ることはできても、彼らの考えを改めさせることはできないのである。
どんな暴挙であれ、ルールの枠内にある限りにおいて、実効性を持っている。
ボクサーに向かって
「殴るなんてひどい」
と言ったところで、何の意味もない。
 
私にできることは次の選挙の時まで、今日起きたことをよく覚えておくことだ。
私は、いま「私たち」という主語を使わなかった。
ひとりひとりの「私」が、個人としてふるまうほかにどうしようもないと考えたからだ。
もう少し率直に言うと、私は、「私たち」という設定にうんざりしているということだ。
しばらく一人にしておいてくれ。
読者のみなさんにも、一人で考えることをおすすめしておく。
(文・イラスト/小田嶋 隆)

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