↑名も知らぬ果物。プラム大で味は甘くない梨。二度と買わない。
菏澤学院2年生の作文授業が始まり、
エッセイの書き方を中心に授業をしています。
私はよく以前の学生が書いた作品を参考例として紹介します。
先日は「見たこと・聞いたこと・話したこと・心で思ったことなどを詳しく書く」を
課題に取り上げ、ちょうど懐かしい以前の大学の2年生の作文があったので
菏澤学院の2年生に紹介しました。
みんな興味深く読み、吹き出したり、頷いたりしていました。
共感を得る内容だったようです。
大学生活についての夢より、
それ以前の高校時代、中学時代の夢が印象に残っている子が多いのは
やはりその時期は学生たちにとって
よほど受験勉強が苦しく、
また、友人たちとともに歯を食いしばって苦節三年を耐えたという
貴重な体験を持つ時だったからかと思います。
例えば次のような作文があります。
江西財経大学日本語学科2年 「ある夜の夢」
J.蕾
今まで、私の一番深く印象に残った夢、それは大学入試前のものです。
その頃、やはり受験勉強のせいで、私はほとんど毎晩夢を見ました。
ある夜の夢は次のようなものでした。
大学入試の後、成績全部が出ました。でも、私の点数は合格ラインに届きませんでした。
頭から血が引き、ただ立っているだけで精いっぱいでした。
その時、雨が降っていたんですが、私は傘を持っていませんでした。
周りの人々は試験の成績を言い合っていました。
みんな楽しそうに笑ったり、抱き合ったりしています。
でも、私は一人ぼっちで雨にぬれて歩きながら泣いています。
まるで、自分の生活が全て消えたようでした。
家族の私への希望もすっかり消え失せました。
家の中は暗く、誰も話しません。
真っ暗なトンネルにいるような気がしました。とても怖かったです。
その時、私は目が覚めて、全身に冷や汗をかいていました。
今はその夢を思い出しても、もう、怖くないです。
しかし、あんなに怖かった感触は今も少し残っています。
もし、中国の父母が大学入試をそんなにも重視しなければ、
私はそんな夢を見なかったかも知れません。
※蕾さんは数年前来日しましたが、大学院生になってやめたり、バイトリーダーになったりと、日本でも波乱万丈です。
C.麗
小さい頃から私はよく夢を見ている。
高校時代のある夜、特別な夢を見た。
私は険しい山に登っていて、途中、変なお爺さんに会った。
「お前は高三の生徒だろう」と言われて、
「は、はい」と緊張して答えた。
お爺さんは、
「お前は頭がいいが、今度の大学入試には合格できない」と言った。
「ど、どうして?」
「勉強は日々の努力の積み重ねだ」と、
にっこり笑ってそのお爺さんはどこかへ飛んで行った。
(なんでそんなこと言うの?わたしは合格したくて堪らないのに……)
と、ちょっと悲しくなっちゃった。
その後、私は大学入試に合格しなかった。
高校へ勉強に帰って1年間必死に勉強した。
2年目、私は江西財経大学に入った。
本当に『勉強は日々の積み重ねだ』と思った。
以前、私は遊んでばかりだったのだ。
※中国では大学入試に落ちた学生は高校に戻り、校舎の一角のビルでもう一度受験勉強に集中します。予備校がないので高校がその代わりの施設を提供しているのです。北京、上海など大都市はどうか分かりませんけど。
S.巧諭
今まで、たぶんもう何百もの夢を見ました。
でも、一番印象深いのは中学校の担任の先生の夢です。
今でも思い出すとおもしろいです。
その時、私はその先生が嫌いでした。
ある日の昼間、先生の悪口を言ったら、その夜、すぐ先生を夢で見ました。
夢の中で、先生は蛇になってガラスの箱に閉じ込められていました。
でも、その蛇は箱を出て、家まで私を追いかけてきました。
怖くて、私はすぐに逃げました。
(あぶない、もう少しで捕まる!)と思ったとき、急に友達と兄弟たちが現れました。
みんなは輪になって蛇を砲撃してくれました。
しかし、当たった砲丸が多ければ多いほど、蛇は大きくなってきました。
みんなは焦って、タケコプターで空に飛びあがりました。
(これからどうしたらいいかな?)と思っているうちに、突然、
(そうだ!爆竹を鳴らすと逆になるかもね)と閃いて、やってみました。
結果は思った通り、蛇は小さくなって、最後に先生の姿になりました。
夢から覚めて、びっくりして、そして、嬉しいと感じました。
夢で先生に復讐できたからです。
※中国では中学、高校の先生方は生徒たちに煙たがられる場合が多いようです。原因は高圧的だったり、試験だけで生徒の評価をしたり、というのが学生たちの声です。いずれにしても、中国の学校の詰め込み教育は半端じゃありません。
Y.慧斌
中国の諺に「昼に思ったことが、夜の夢になる」というのがあります。
疲れた時に心でいろいろなことを考えますが、それが怖い夢になります。
先週、大学の活動や日本語の勉強などがたくさんありましたので、夢を見ました。
こんな夢です。
その日は日本語コーナーの活動があるので、
私は予定の時刻より20分早く着きました。
教室には先生だけいました。
時間が経っても学生は一人も来ません。私は緊張してきました。
「呼んできます」と先生に言って、寮に帰ると、そいつらは寝ていました。
私は腹が立って堪らなくて、「起きろ、おきろ!」と大声で呼びました。
その後で、私たちは急いで教室に走りました。
でも、今度は先生が怒って出ていきました。
ああ、こんな怖いことになって……。
私はその時、目が覚めました。あ、夢だった。
※これは大学での夢です。Y.慧斌さんは当時クラスの班長でしたので、責任者としていつも働いていました。大学のクラスの班長はとても、とても忙しいのです。班長なんかしていたら大学院に合格しないというジンクスもあるほど。