「銀河鉄道の夜」
ジョバンニはああと深く息をしました。
「カンパネルラ、どこまでもどこまでも、一緒に行こう。
ぼくはもうあのサソリのように、本当にみんなの幸せのためならば、
ぼくの体など、百ぺん焼いてもかまわない。」
・・・・・・・・・・・・
「カンパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ」
ジョバンニがこう言いながら振り返って見ましたら、
その今までカンパネルラが座っていた席にもうカンパネルラの形は見られず、
ただ黒いビロードばかり光っていました。
ジョバンニはまるで鉄砲玉のように立ち上がりました。
そして誰にも聞こえないように
窓の外へ体を乗り出して、
力いっぱい激しく胸を打って叫び、
それからもう喉いっぱい泣き出しました。
もうそこらがいっぺんに真っ暗になったように思いました。
スエミ姐さんが逝った。
今日、7月29日午後2時30分、
急に生きることをストップしてしまった。
どこまでもいっしょに行けると、
心のどこかで信じていたのに…。
ジョバンニはああと深く息をしました。
「カンパネルラ、どこまでもどこまでも、一緒に行こう。
ぼくはもうあのサソリのように、本当にみんなの幸せのためならば、
ぼくの体など、百ぺん焼いてもかまわない。」
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「カンパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ」
ジョバンニがこう言いながら振り返って見ましたら、
その今までカンパネルラが座っていた席にもうカンパネルラの形は見られず、
ただ黒いビロードばかり光っていました。
ジョバンニはまるで鉄砲玉のように立ち上がりました。
そして誰にも聞こえないように
窓の外へ体を乗り出して、
力いっぱい激しく胸を打って叫び、
それからもう喉いっぱい泣き出しました。
もうそこらがいっぺんに真っ暗になったように思いました。
スエミ姐さんが逝った。
今日、7月29日午後2時30分、
急に生きることをストップしてしまった。
どこまでもいっしょに行けると、
心のどこかで信じていたのに…。