残酷な切り取られ方をした木に、また葉が出てきました。
今、2年・3年に作文をどんどん書かせています。
中国人の学生に、
「『日本』という言葉を初めて聞いたのはいつですか?」
と聞くと、今までは判で押したように、
「テレビの抗日ドラマ」
という答えばかりだったと記憶しています。
学校に入ると、歴史で南京大虐殺について写真付きの教科書で学ぶそうです。
しかし、この大学の日本語学科の学生たちの作文から、
少し違う「日本についての記憶」が少しずつ出されてきています。
例えば、
「とても小さい頃、父と母が話をしていました。
父が、『僕は若い頃、とても日本に行きたかったんだ。
渡航手続きが複雑でとうとう行けなかったけど、日本に行って働いてお金を稼ぎたかった』
と言うので母がとても驚いて、
『あなたはそんなこと今まで全然言わなかったじゃない。
でも、行かなくて良かったよ。もし、日本に行ったら、
この娘や息子のお父さんになることはできなかったんだから』
と答えました。父は、
『そうだな。人生の幸せって分からないものだなあ。
ぼくは今幸せだよ」
とニコニコして言いました。」
というのがありました。
また、教科書の南京大虐殺の写真に、
「百人切り自慢」(これは当時の日本の新聞記事から採ったもの)もあったけど、
その隣に、家で家族団らんの中、お父さんらしい優しい笑顔で子どもを見る
軍人の写真も載っていたことも書いてありました。
それを見て(戦争で普通の人間が鬼にもなるんだな)と思ったという学生の感想です。
高校の道徳の時間に先生が、
「世界で最も礼儀正しいのは日本人です」
と言って、教室中、水を打ったように静まり返ったことなども
読んで興味深かったです。
小学校で愛国的な気持ちの同級生の男子が
「今度戦争になったら自分は日本人をたくさん殺す!」
と叫んだ時、先生は
「戦争で何かが解決するということはあり得ない。
庶民が死ぬだけだ。
中国と日本が平和を維持しながらどう関係を作っていくべきか、
みんな真剣に考えなさい」
と、諭したという文もありました。
日本では、中国はただ、やみくもに愛国心を鼓舞するために、
抗日戦争を利用していると思っている人は多いでしょう。
そういう側面も確かにあると思います。
しかし、学校現場では、冷静に学生たちに平和の大切さや、
日本人の良さについて話す中国の先生方も多いということを
作文で知りました。
また、お父さんが日本に出稼ぎに行こうとした話も、
時代は変わっていることを感じさせました。
今から10年以上前の会話だそうです。
作文添削は、ゴールデンウィーク明け(5月3日)から5月末まで修羅場を迎えます。
ブログ、毎日書けるかなああ。