今年の夏はさんざんだ。
広島や京都やあちこちでは水害だし、
コントロール不能の福島原発は汚染水制御用「氷の壁」作りにやっぱり失敗した。
安倍首相は広島・長崎で「犠牲と言うにはあまりにもおびただしい犠牲でした」と
昨年とほとんど同じメッセージを読み上げ、口先だけの慰霊だと衆人にその心根をばらし、
沖縄の辺野古米軍基地移設では住民のあれほど圧倒的な反対にも臆面もなく、
口先では「丁寧にご説明いたします」と言いながら、
実は住民のことなど完全に無視して「早く工事を始めろ」と関係省に命令し、
平和なジュゴンの海の埋め立てに着手した。
台風で奄美大島がやられた。
ガザもウクライナもイラクも、世界中めちゃくちゃだ。
しかし、そんな中でも子どもは育っている、ということに感慨をもつ今日この頃。
暗い日々での数少ない楽しみの一つに、
「夏休み子ども科学相談」(NHKラジオ第一朝8:05~11:40)を聞くことがあった。
夏休みの終わりとともにその番組も終わってしまったが、
番組のおもしろさは今も余韻が心に残っている。
今年は3歳から中学生3年生までの年齢の子どもと大人の科学者が、
電話で科学について質疑応答をしたのであるが、
まず、言葉遣いがかみ合っていない。
大人が一生懸命丁寧体で説明し、「…ですね?」と確かめると、
50%以上の子は「はい」じゃなく、「うん」と言う。
アナウンサーが「何歳ですか?」と尋ねると、中には
「ご・さ・い!」と区切って大声で言う子がいる。
ラジオのこちら側で思わず(何だ、その言いぐさは!
「何歳ですか?」と聞かれたら「五さいです」と言えんのか)と叱りつけたくなるが、
今までの人生で「はい」と言うにふさわしい場面がなかったか、
どういう場面で「はい」を使うか教わっていないのだろう。仕方がない。
子どもが「うん」、「うん」と言うと、
電話の横で「『はい』でしょ!」と小さく叱責する声も時折聞こえ、
その時だけ子どもは「はい」と言いなおす。
電話の始めと終わりでは、子どもの言葉遣いが変化している場合もある。
そこからして勉強になっているんだな、きっと。
今年の質疑応答で最も印象に残ったのは、
星についての質問をした子と天文学の専門家の話だった。
質問への解答の後で、
専門家の先生が「○君は星の観察が好きなんですか」と聞き、
○君が「はい」と返事をすると先生は、
「生物は人間も含めて、みんな星と同じ成分でできているの。
つまり、人間はみんな、星の仲間、星の子どもなのよ。私も、○君も。
だから、夜になったら星を見たくなるのかも知れないね」と。
それまで、緊張のせいか抑揚がなく、小声の○君だったが、
「そうなんですかあ……」
と発した声に、心の感動が表れていた。
○君は、電話して得したな。こんないいこと聞けたんだもの。
他にも迷質問に名解答がたくさんあったが、
明日に続く。