犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

真央に乾杯!

2014-02-21 22:30:16 | 日々の暮らし(帰任以後、~2015.4)

 会社のエレベーターで飲み友だちに会いました。

「犬鍋さん、今晩は真央ちゃんに乾杯しないといけませんね」

「えっ? あ、そうしましょうか」

 酒飲みにとって、飲む口実はなんでもいい。というわけで、金曜日の夜、大塚のミャンマーバーに行きました。前回と同じメンバー3人です。

「じゃ、真央ちゃんに乾杯! よく頑張った」

 金メダルを目指した今回の五輪、ショートでよもやの失敗。しかしフリーではトリプルアクセルを含め8つの異なるジャンプを見事成功させ、フリーの自己ベストを更新しました。

 実は私はこの時点で真央ちゃんの演技をフルでは見ていなかった。朝のニュースでダイジェストを見ただけです。

「でも、キムヨナの銀というのも意外でしたね。韓国のネットは今大騒ぎみたいですよ」

「あのね、スポーツってのは本来不公平なものなんだよ。高梨沙羅ちゃんだって、そう」

「解説の原田が、沙羅ちゃんのときだけ追い風が吹いたって言ってた」

 そのとき、われわれしか客のいないミャンマーバーのカラオケ用スクリーンを見ると、柔道の篠原選手が映っていました。テレビ番組のようです。

 篠原といえば、オリンピック決勝戦で、無知な審判の誤審のせいで金メダルを取 り損なった。日本柔道代表監督を辞任、天理大学も辞職したあと、廃棄物処理の仕事をしているそうです。画面では、魚を捌いたあとのアラを肥料にするために集めている場面。

「シドニーでしたね」

 野球やサッカーと違って、全盛期にたくさん稼げるわけでもなし、プロのない競技のアスリートの人生は楽ではない。

「山下が金をとったのはいつだっけ」

「メキシコ?」

「あのね、メキシコは東京の次でしょう。時代が違いますよ。モスクワのあとだからロスでしょう」

「決勝の相手はエジプトの…」

「ラシュワン! 山下の傷めていた足をわざと狙わなかったとか」

「私がオリッピックではっきり覚えているのは札幌です」

「そうか、犬鍋さんは東京オリンピックを知らないんだ」

「3歳ですからね」

「札幌の日の丸飛行隊はすごかったね。笠谷、今野…」

「青地!」

「あんな競技があるなんて知らなかった。すごいよね、人間が空飛んじゃうんだから」

「あのころはスキー板を揃えて飛んでいたよね」

 浅田真央ちゃんはすっかり忘れられ、昔のオリンピックを回顧するおじさんの会話に成り果てました。

 ところで、キムヨナの判定について、韓国の世論は激昂していますが、主要紙の論調はそれほどでもない。

キム・ヨナ選手がいて私たちは幸せだった(中央日報社説)
キム・ヨナは私たちに「感謝の気持ち」がどういうものか知らせてくれた。メダルとは関係なく国民全員が「ヨナ、ありがとう」をリレーする奇跡のようなことが起きるのもそのためだ。彼女は私たちに五輪の金メダル1個と銀メダル1個、いや、五輪2連覇以上の貴重なものを残した。私たちはキム・ヨナ選手のおかげで幸せだった。彼女が韓国で生まれたことに、そして彼女と同じ時代に生きたことに感謝する。キム・ヨナ選手、引退おめでとう。そしてありがとう。

キム・ヨナがくれたプレゼント(朝鮮日報社説)
4年前のバンクーバー五輪で、米国NBCはキム・ヨナの演技を見て「女王万歳」と叫んだ。4年後のソチでもキム・ヨナはやはり女王だった。今回我々はキム・ヨナに再び拍手を送ることができて幸せだった。本当にありがとう。

国民は金姸兒に永遠なる金メダルを贈った(東亜日報社説)
フィギュア女子シングルは、冬季五輪の花だ。自国の選手が出場しなくても、少なからぬ世界の人たちが、テレビで見守る。金姸兒は、上品な容姿や洗練された衣装、なによりも優雅で堂々とした女王らしい態度で、韓国女性の美しさを世界に知らしめた。フランスでは、一時代を象徴する女性を、「マリアンヌ」と呼んでいる。我々に、そんなマリアンヌを探すなら、ほかならぬ金姸兒だろう。いつもベストを尽くしており、今回も最後まで奮闘したあなた。これからも鏡として残り、未来世代が、当代の誇らしい女性を「わが時代の金姸兒」と呼べるようになることを願う。

 主要紙がこぞって社説にとりあげちゃうところからも注目度の大きさがうかがわれます。

 私が韓国駐在中の1998年、ゴルフの朴セリが全米女子オープンで優勝。韓国の少女たちがいっせいに第二の朴セリを目指してゴルフの練習を始めた。そして、今女子ゴルフ界では多くの韓国選手が活躍しています。

 おそらくバンクーバーでのキムヨナの金メダルを見て、たくさんの少女がフィギュアスケートを始めたことでしょう。

 ソチには間に合いませんでしたが、きっと4年後の平昌では、たくさんの韓国選手がでてくることでしょう。韓国がフィギュア強国に躍り出るかもしれません。


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