インドネシア語のレッスンのあと、先生といっしょに、前から気になっていた韓国料理屋に初めて行きました。
雑居ビルの地下にあるお店。入り口に「ハナ」というハングルの看板があります。ハナは韓国語で「1」の意味。「ニム(様)」ということばをつければ、基督教(韓国ではプロテスタントのこと)の神様の意になります。ちなみに天主教(韓国ではカトリックのこと)の用語は違っていて、ハヌニム。
「あれっ? ガルーダだって」
「ほんとだ」
今まで気づきませんでしたが、「ハナ」という看板の下に「ガルーダ」というアルファベットの看板がありました。ガルーダはインドネシアの国章になっている神話の鳥。インドネシア国営航空会社の名前でもあります。
「インドネシアンバーかな」
「もしそうなら、バリのお店だろうね」
インドネシアはイスラム教なので、基本的にお酒は飲みませんが、バリ島はヒンドゥー教だからそんな戒律はありません。
「あとで行ってみようか」
さて、ハナは済州島出身のご主人と日本人の奥さんの夫婦経営で、料理はご主人が作ります。
先生はイスラム教を棄教したとはいえ、豚肉はあまり得意じゃないだろうから、サムギョプサルではなく、ナクチポックムを頼みました。これに石焼のご飯を頼み、ナクチポックムを半分掛けて、石焼ビビンバ風にするのが美味。
食事が終わってから、通路を隔てた向かいのガルーダに入ってみました。
店は、10人ぐらい座れるカウンターのほかに、テーブル席もあってかなり広い。店の端にはダーツが二台あります。インドネシアまたはバリ島らしい雰囲気は感じられません。
「すいません。ここは何かインドネシアと関係があるんですか?」
「インドネシア? いえ、ないですけど」
マスターはガルーダがインドネシアの国章であることも知りませんでした。
(ま、いいか)
カウンタ―には40代ぐらいの男性が二人。ダーツに興じています。横目で見ていると、ほとんどがブル(的の真ん中の50点)。
「隣のお客さん、うまいですね」
「彼は元プロですよ」
マスターが教えてくれました。
その後、その男性から、プロだったころの話や、ダーツにまつわる蘊蓄を聞き、楽しいひと時を過ごしました。
家に帰って調べてみると、ガルーダはヒンドゥー教と仏教の共通の神話の鳥で、インドネシアだけでなくタイの国章であることを知りました。漢字語では、金翅鳥。
そ ういえば、韓国の文豪イムニョル(李文烈)の作品に「金翅鳥(クムシジョ)」というのがあります。韓国の高校の国語の教科書に載っていて、私は翻訳で読みました。
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