私たちが出張中の24日、給食無償化をめぐってソウル市の住民投票が行われました。
問題はちょっと複雑なので、東亜日報の24日付記事をもとに整理すると、今回の投票は、給食の無償化について、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長の案と、ソウル市議会の案のどちらがよいかを、住民の直接投票によって選んでもらうというもの。
ソウル市の案は、「所得下位50%の生徒を対象に2014年までに段階的に無償給食を支援する」。つまり、低所得家庭の小・中・高校生の半数の給食をタダにする。それも一気にやるのではなく、今年はまず所得下位21%まで適用し、来年に30%、2013年に40%、2014年には50%へと段階的に無償化の層を拡大する、というものです。
これに対してソウル市議会の案は、「すべての小学生と中学生の給食を無料化する」。ただし、市長案に含まれている高校生は対象外。
住民投票の投票率が33.3%に達しなければ、投票は不成立となり、現在の政策(ソウル市議会案)が推進される。
結果は、投票率25.7%で不成立。ソウル市長は事前の約束どおり、即時辞任しました。段階的無償化と即時全面無償化では、もちろん全面無償化のほうが、財政負担が大きい。新聞報道によれば、財源は確保されていない。つまり、民主党の財源なきばらまき政策と似たようなものです。
そもそも給食費って無償化すべきもんなんでしょうかね。学校に行こうが行くまいがお昼ご飯は食べなきゃならない。義務教育の無償化とは関係ないと思うんですが。
韓国で義務教育(小学校と中学校)の無償化が完全に達成されたのはついこの間、2004年のこと。初等学校(日本の小学校)の授業料は以前より無料でしたが、中学校については財政的に難しかったので1985年に農村部を優先的に無料化し始め、全国の無償化が実現したのは2004年です。
それが、今では給食の無償化にまで突っ走っている。
韓国の地方自治の歴史も浅い。首長が選挙で選ばれるようになったのも、そんなに昔のことではなく、1995年。それまで自治体の首長は任命制または間接選挙で、住民による直接投票は行われていませんでした。
いまや市長も市議会議員も、選挙で当選しないといけないもんだから、選挙で受けのいい「ばらまき」に走りがち。
翻って日本では、菅首相が辞任し、野田さんが新首相に就任しました。民主党が非難を浴びているのは、財源もないくせに子ども手当なんていうばらまき政策を断行したこと。
このあたり、韓国と似ています。
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韓国は貧富の差が大きいので、お弁当を持ってこられない子もいるそうです。
そして見栄を張る親が多いので、豪華なお弁当の競い合いなんてことも…
弁当に貧富の差が表れて劣等感を持たないように、というのも給食制の理由の一つなのでしょう。
日本で、貧しくもないのに給食費払わない場合の子ども・児童手当からの差し引きに賛成です。
この意識があれば、給食は主婦の負担軽減になり、ありがたいことなので、親が食費としてお金を払うのは当たり前、となりますよね。
一方で、学校で一律に支給するものであり、もはや学校と給食はセットであると考えれば、義務教育期間の給食は無償でもいいのではないか、と言うのも一理ある。
結局、給食という曖昧な位置づけのものを、作り上げたことに問題があるのでしょうね。
日本で給食の無償化論議があるけど、進展しない(?)のは、中学での都道府県の給食実施率にバラつきがあり過ぎること(中学校は8~100%、小学校は95~100% ※文科省資料より)にも一因があるかと思います。
しかし、中学校の実施率で、大阪8%と、神奈川16%と言うのは、ダントツに低いですね。親がしっかりしているからと言うより、自治体の設備投資負担が重過ぎて間に合わないからのようです。
個人的には、授業料や給食費に関わらず、無償化はモラルの低下をもたらすので、できるだけ避けることが望ましいと思っています。(但し、収入格差による手当て等は必要)