写真:尹錫悦大統領の国政遂行評価(リアルメーター、2024年2月5週)。赤は否定的、青は肯定的。聯合ニュースより
韓国の総選挙が、あと1か月ほどに迫っています。
「総選挙」は、日本でも使う漢字語ですが、日韓で意味がやや異なります。
日本の総選挙は、国会衆議院の選挙のこと。
『三省堂国語辞典』(第八版)は以下のように説明します。
①衆議院の解散または議員の任期満了により、衆議院議員の全員を選挙し直すこと。②人気投票〔アイドルグループのAKB48のイベントから、特に2010年代に広まった用法〕
②の語義は、第八版で加わりました。
参議院の選挙は総選挙とは言わず、「通常選挙」といいます。なぜなら、参議院は半数の改選で、「総」入れ替えにならないからです。
一方、韓国は議院内閣制の日本とは違い、大統領制で、国会は一院制。大統領に国会の解散権はなく、国会議員は必ず任期を満了します。一院制なので、総選挙と呼ぶ必要もないように思います。
韓国の『標準国語大辞典』を引くと、
国会議員全部を一度に選出する選挙。大統領制国家では任期が満了したときに、議院内閣制の国家では議会解散のときに行う。=総選
韓国には参議院選挙がない代わりに、大統領選挙があります。これを「大選」と略して呼びます。たぶん「大選」と区別するために、「総選」という用語を使っているのでしょう。
現在の国会は、4年前、2020年に改選されており、当時は文在寅政権時代。当時、与党だった「ともに民主党」は、定数300のうち、180議席を占める大勝。
その後、大統領選挙で尹錫悦が勝ちましたが、国会は改選されません。
次の選挙を控え、「内紛」による離党者があり、今は167議席ですが、それでも単独過半数です。
そのため、尹大統領は自分の思い通りの政権運営ができない。4月の選挙は、是が非でも勝ちたいわけです。
最近の世論調査によると、政党支持率は、
3月4日リアルメーター 保守系与党「国民の力」46.7%、革新系最大野党「共に民主党」は39.1%
3月6日メトリックス/聯合ニュース 保守系与党「国民の力」33%、革新系最大野党「共に民主党」26%
3月8日韓国ギャラップ 保守系与党「国民の力」37%、革新系最大野党「共に民主党」31%
で、いずれも与党が優勢。
共に民主党は、現在のトップの李在明が、非主流派(旧文在寅派)を公認しないという露骨な態度を見せているため、内紛の様相を呈しています。1年前に李在明に逮捕状が出たとき、「逮捕同意案」に賛成した造反議員、31人に対する報復です。(リンク)
尹大統領は、三一節の演説を見てもわかるように「親日」。与党も大統領に合わせています。
野党の李在明は、文在寅以上の反日として知られます。また、「逮捕状」が出たことからわかるように、不動産疑惑など、数々の疑惑にまみれている。日本としては、こういう人が代表の党に勝ってほしくないわけですが、あと1か月で恒例の「誹謗中傷合戦」が行われることは必至。どんなスキャンダルが飛び出すかわからない。
3月10日以降は、いわゆるアナウンス効果を避けるため、総選挙に関わる世論調査が禁止されますが、このまま与党優勢が維持され、選挙で与党が過半数を占めればいいなあ、と思います。
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