写真:1928年(昭和3年)のハウスカレー。「おいしいライスカレーがおてがるに出来ます」
今月始まった朝ドラ「ブギウギ」は、笠置シヅ子がモデルだそうですね。時代は昭和初期。
主人公の花田鈴子が、少女歌劇団に入り、給料の半分を家(銭湯)に入れる場面。
「私は洋食屋さんでライスカレーを食べるぐらいしか、お金使わないから」
実際に、洋食屋でライスカレーを食べる場面が何回か出てきました。仲良しの同期は、とんかつを食べていることもありましたが、鈴子はいつもライスカレー。
ライスカレーという言葉は、古めかしいですね。
大正生まれの父や伯母が、ときどきライスカレーという言い方をしていました。
ライスカレーは最初からごはんにカレーがかかって出てくるもので、カレーライスはごはんとカレーが別々に出るもの、などと説明しているものもありますが、たんに昔はライスカレーと言っていたが、今はカレーライスと言うようになったのだと思います。
朝ドラの舞台である昭和初期、「とんかつ」「コロッケ」「ライスカレー」は「三大洋食」と呼ばれ、洋食屋の人気料理だったのだそうです。
「とんかつ」も「コロッケ」も「ライスカレー」も、さらに「ラーメン」も、日本に深く溶け込み、今や日本人の「国民食」になっていますが、「とんかつ」「コロッケ」はいいとして、インド起源のカレーが「洋食」に分類されていたことに違和感を覚えます。
カレーがなぜ洋食なのか。
これは伝来ルートがイギリスからであったことが大きい。
インドを植民地にしていたイギリスは、インドから様々な香辛料を持ち込み、自分たちの好みに合わせて調合した「カレー粉」を発明。シチュー風にしてごはんにかけて食べた。それが明治時代に日本に入った、ということです。そもそも、インドでは、各家庭で香辛料を調合するので、出来合いの「カレー粉」というものはないんだそうです。
そしてインドでは宗教上の理由もあり、牛肉や豚肉は使わない。ビーフカレー、ポークカレーはインドにはありません。
また、カレーに入っている野菜は、タマネギ、ジャガイモ、ニンジンが思い浮かびます。
タマネギは、韓国語でヤンパ(양파)といいます。パは長ネギ、ヤンは「洋」で、西洋を表します。タマネギが近代に入って、西洋から入ってきたことを示します。
日本におけるタマネギの栽培も1885年(明治18年)ごろからだそうです。
また現在のジャガイモの起源は、明治時代の北海道開拓のときにアメリカから導入された「男爵芋」。
ニンジンは、16~17世紀ごろに中国から伝わった「東洋系」が栽培されていましたが、これは細長い形。太くて短い西洋系ニンジンは、やはり明治期に普及したそうです。
つまり、カレーに入っている野菜がすべて、目新しい「西洋野菜」だったことも、カレーが「洋食」と見なされた理由の一つなのでしょう。
とんかつが次第に「和食化」の道をたどったのに対し、カレーライスのほうは、インド式のサラサラのチキンカレー、マトンカレー、フィッシュカレー、野菜カレーなどが「本格的カレー」とされ、昔ながらのカレーライスは「蕎麦屋のカレー」などと言われて、多少低く見られる傾向があるようです。
なお、家庭でよく使われるインスタントカレールーは、1952年にベル食品が発売、その後1954年にヱスビー食品、1960年にハウス食品、江崎グリコなどが類似商品を出して一気に普及したそうです。
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今月始まった朝ドラ「ブギウギ」は、笠置シヅ子がモデルだそうですね。時代は昭和初期。
主人公の花田鈴子が、少女歌劇団に入り、給料の半分を家(銭湯)に入れる場面。
「私は洋食屋さんでライスカレーを食べるぐらいしか、お金使わないから」
実際に、洋食屋でライスカレーを食べる場面が何回か出てきました。仲良しの同期は、とんかつを食べていることもありましたが、鈴子はいつもライスカレー。
ライスカレーという言葉は、古めかしいですね。
大正生まれの父や伯母が、ときどきライスカレーという言い方をしていました。
ライスカレーは最初からごはんにカレーがかかって出てくるもので、カレーライスはごはんとカレーが別々に出るもの、などと説明しているものもありますが、たんに昔はライスカレーと言っていたが、今はカレーライスと言うようになったのだと思います。
朝ドラの舞台である昭和初期、「とんかつ」「コロッケ」「ライスカレー」は「三大洋食」と呼ばれ、洋食屋の人気料理だったのだそうです。
「とんかつ」も「コロッケ」も「ライスカレー」も、さらに「ラーメン」も、日本に深く溶け込み、今や日本人の「国民食」になっていますが、「とんかつ」「コロッケ」はいいとして、インド起源のカレーが「洋食」に分類されていたことに違和感を覚えます。
カレーがなぜ洋食なのか。
これは伝来ルートがイギリスからであったことが大きい。
インドを植民地にしていたイギリスは、インドから様々な香辛料を持ち込み、自分たちの好みに合わせて調合した「カレー粉」を発明。シチュー風にしてごはんにかけて食べた。それが明治時代に日本に入った、ということです。そもそも、インドでは、各家庭で香辛料を調合するので、出来合いの「カレー粉」というものはないんだそうです。
そしてインドでは宗教上の理由もあり、牛肉や豚肉は使わない。ビーフカレー、ポークカレーはインドにはありません。
また、カレーに入っている野菜は、タマネギ、ジャガイモ、ニンジンが思い浮かびます。
タマネギは、韓国語でヤンパ(양파)といいます。パは長ネギ、ヤンは「洋」で、西洋を表します。タマネギが近代に入って、西洋から入ってきたことを示します。
日本におけるタマネギの栽培も1885年(明治18年)ごろからだそうです。
また現在のジャガイモの起源は、明治時代の北海道開拓のときにアメリカから導入された「男爵芋」。
ニンジンは、16~17世紀ごろに中国から伝わった「東洋系」が栽培されていましたが、これは細長い形。太くて短い西洋系ニンジンは、やはり明治期に普及したそうです。
つまり、カレーに入っている野菜がすべて、目新しい「西洋野菜」だったことも、カレーが「洋食」と見なされた理由の一つなのでしょう。
とんかつが次第に「和食化」の道をたどったのに対し、カレーライスのほうは、インド式のサラサラのチキンカレー、マトンカレー、フィッシュカレー、野菜カレーなどが「本格的カレー」とされ、昔ながらのカレーライスは「蕎麦屋のカレー」などと言われて、多少低く見られる傾向があるようです。
なお、家庭でよく使われるインスタントカレールーは、1952年にベル食品が発売、その後1954年にヱスビー食品、1960年にハウス食品、江崎グリコなどが類似商品を出して一気に普及したそうです。
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