ソウルに11年住んでいるとはいうものの,ソウルの津々浦々を知悉しているわけではない。やっぱり自分の得意な地域というのは限られます。
近年,日本人駐在員の「江南化」が急速に進行している中で,江北(漢江の北)をテリトリーにする私は,さしずめ「旧世代駐在員」と言えるでしょう。
江南はわずかに新沙洞周辺を知るのみ,おしゃれなアプクジョンやコエックス方面は暗い。
また江北といっても広いですから,市庁界隈とその周辺の南大門,明洞,鍾路といったあたりは裏庭のようですが,その他は新村,東大門,大学路にときどき足を運ぶことがあるくらい。
まもなく帰国という段になって,今まで足を伸ばせなかったあたりにも,一度行っておきたいなあという欲が出てきました。
そこで選んだのが弘大入口。
大学生の町新村に隣接し,トレンディーな若者が闊歩するおしゃれな街(らしい)。
日本出張から戻った日,まだ元気があったので,以前新村に住んでいたという韓国人の知り合いに案内してもらうことにしました。
いやあ,若い。
町全体が生き生きとしています。ところどころでストリートミュージシャンたちが騒々しい音楽を奏で,ファッショナブルな10代のアガシたちが行き交う。お店のほうは,金のない大学生が相手ですから,チープなフュージョン系居酒屋が多い。
ホンデというのは弘益大学の略で,ここは美術・デザイン関係の学部が名高い。歩いている若者たちの装いが斬新に感じられるのは気のせいか。
弘大正門前の通りを一本渡ると,ちょっと雰囲気が変わります。少し高級なブティックやレストランが目立つようになる。市庁あたりの旧市街ではあまり見かけないエスニック料理も。イタリアンがいちばん多く,メキシコ料理,ベトナム料理,タイ料理などというのもありました。
メキシコとタイの間で迷ったあげく,タイを選んだのが失敗でした。
私の好物のカニのイエローカレーは,本場のものとは似て非なるもの。肝心のカニはカスカスでほとんど肉がない。なぜかやたらとタマネギが入っている。
もう一つのサルククス(米の麺)は,こりゃタイ料理じゃなくてベトナム料理だ。
まあ,タイのビール,チャーン(象)が飲めたことを慰めとして,店を出ました。
メキシコ料理で口直しをするつもりでしたが,少し散歩でもして腹ごなししないと入らない。
あたりをぶらぶら歩いていると,なんと羊串焼きの店に出くわしました。周囲の喧騒に比べて,この店だけはやけにガランとしている。でも,小奇麗だし屋外の席が広々としていたので,ちょっと味見をしてみることに。
ここで,私を羊串焼きの世界に引き入れてくれたK氏に文字メッセージを送ってみたところ,なんとK氏はS氏と一緒にヨンドゥンポ(永登浦)で羊を食っているところだった! さすがマニアです。
すでにその日の朝のブログで私の帰任を知っていたK氏,
「じゃあ,送別会の第一弾をしましょう」
ということで,さっそくこちらへ駆けつけてくれた。
肉の種類は加里峰に比べるべくもないし,7本7000ウォンとやや割高ですが,肉質はけっして悪くない。
さらに,別の魅力もあります。
それは,周囲の席を埋めつつあったトレンディギャル。
「あそこの3人組,みなレベルが高いぞ」
「どれどれ」
S氏は首の運動を装って露骨に振り返ります。
「いや,ぼくはあっちの室内にいる黒のTシャツのアガシのほうがいいなあ」
「ちょっと,あっちの子の髪の毛きれいだよ」とK氏。
「チンチャ,ナムジャドゥルン…(まったく,男ってこれだから…)」われわれの連れのアガシ(というかアジュンマ)はあきれ顔。
目の保養をするうちにいつしか夜も更け,時刻は11時を回るというのに,店はいよいよ盛況に。弘大はこれからが本番のようです。
店を出て,タクシーの拾える通りまでぶらぶら歩くと,この時間帯になって外国人比率が顕著に高まっている(われわれも外国人ですが,白人系という意味)。
そして40代以上の人間をほとんど見かけないところが新村と違います。
(こりゃちょっと違うな)
おそらく私が弘大を訪れるのはこれが最初で最後でしょう。
今日は疲れたというアジュンマと別れ,われわれ3人は縄張りの漢南洞へ向かいました。行きつけのダーツバーでダーツ勝負をしつつ,結局,送別会第一弾は2時すぎにお開きになったのでした。
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女の子に萌え、ダーツに燃えた1日でした。
でもこんな楽しく一緒に飲める日も
残り少ないなんて。。。
ううぅぅ;;(泣)
写真、どうもありがとう。
沖ひかりさん
第二弾、第三弾もよろしく。