犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

金完燮の自己矛盾

2007-01-30 07:10:01 | 近現代史
 金完燮氏は著書『親日派のための弁明』の中で次のように書いています。

「振り返って考えてみれば,日本の敗戦後朝鮮半島では,このような殺害劇がたくさん発生しただろうと思われる。日本の無条件降伏以後,北韓地域にはソ連軍がすばやく進駐し,軍政を敷いたが,南韓に米軍が上陸したのは9月中旬だった。したがって,約1カ月程度,南韓地域には無政府状態が続いた期間があった。韓半島には,さまざまな理由で日本人とそれに加担した者たちに恨みを抱く朝鮮人たちが多かったろうし,彼らは日本人を殺し,財産を強奪し,日本女性を強姦しただろうと思われる。」

 これは言うまでもなく,氏の憶測にすぎません。

 現場で実際に日本人の引揚活動に携わった森田氏の前掲書には,そのような悲劇はまったく記録されていません。

 一方,金完燮氏は「日帝時代は善政であった」という趣旨の主張を,同書で全面展開していますが,そのような善政を敷いたのであれば,なぜ
「日本人に恨みを抱く朝鮮人が多かっただろう」
などと推論できるのか。
 明らかに矛盾しています。

 私は,森田氏の著書にあるように

「朝鮮人の報復はほとんどなかった」。

 そして,その理由は,

「日帝時代の植民地統治が,今韓国で言われているほどにはひどくなかった」

からだと考えています。

 思うに『親日派のための弁明』は,韓国人の神経を逆撫でし,注目を集め,本を売ることを目的に書かれた本だと思います。
 それは,氏の処女作『娼婦論』を見てもわかります。

 氏は,その特異な主張から日本の論壇で一時持て囃されましたが,私はたんなる売文家だと思っています。


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2 コメント

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矛盾 (hana)
2007-01-30 12:47:33
矛盾するのでしょうかね。
ソウル以南は比較的穏やかだったと何かで読んだような。地域によって大きく差があったのでは?
ソ連軍が来たところは暴力の嵐が吹き荒れたそうですから、その流れにのって暴れた者がいてもおかしくはないですね。
そういう状況の時に「日帝が善政を敷いた」から、とかそんなことはもう関係無いんじゃないでしょうか。
ワンソプ氏がかなり極端な人である、というのは知っていますので、その主張の正否も危ういというのもわかりますが、異論が許されない言論状況に風穴を開けるために極端な主張をするのもある意味しょうがないのかもしれません。
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極端な主張 (犬鍋)
2007-01-31 01:14:15
「娼婦論」でも大変極端な主張をしていました。

機会があればご紹介します。
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