犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

2024-12-30 00:33:09 | 

※ネタばれなし

『白夜行』の次に手に取ったのは、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2012年KADOKAWA刊、2014年角川文庫)。

 日曜日、一日で読了しました。

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、2017年に日本、中国で映画化されたそうです。

 日本だけでなく、世界中でベストセラーになり、2023年8月、全世界で1500万部売れたというとんでもない数字が発表されています。

『白夜行』がどちらかというと暗く、重厚な作品だとすれば、『ナミヤ』は軽妙かつ感動的な作品。SF風の展開もあり、ミステリーファンだけでなく、多くの読者に受ける作品なのでしょう。

 韓国でも100万部(人口が日本の半分ですから、日本の200万部の相当)という「メガヒット」を飛ばしています。

 以下は、2024年7月24日付の『京郷新聞』の記事(リンク、韓国語)

たくさん書くのにどれも傑作、熱烈なファンも…「101番目の本」を出した東野圭吾

「出版界では毎年、夏になると東野圭吾の作品同士が競争する奇現象が起きるんです」

 日本を代表するジャンル文学小説家(ジャンル文学=特定ジャンルの小説、ここではミステリー)であり、韓国読者にも最も愛されている作家としてよく知られている東野圭吾の101番目の小説「あなたが誰かを殺した」が刊行された。100番目の小説である「魔女との7日」が刊行されて1か月しかたっていない。ジャンル小説であるにもかかわらず、熱烈な読者と高い認知度を持つ東野圭吾は出版社が太鼓判を押すベストセラー作家だ。ある出版関係者は、推理小説を読みたがる夏の需要を狙った出版が相次ぎ、彼の作品同士で競争が繰り広げられる、と明かす。

 東野圭吾の固定読者層は(韓国で)2万~3万人と推定される。初版(2000部)の販売も容易ではないという出版界で相当な規模だ。多作ながらも水準以上の作品を発表するため、ファン層が厚いというのが出版界の分析だ。チョ・ソンミョン文学評論家は「作品ごとにばらつきが多少あるが、忠誠心の高い2万~3万人程度の固定ファン層があり、販売部数がその程度見込めることがわかっている」、「作品の完成度、安定した販売部数という信頼を得ており、読者と出版社の双方から愛されている作家だ」と話した。

 固定読者層があるため、東野圭吾の作品は出版と同時にベストセラーになる。『禁断の魔法』は2月のベストセラー10位、3月に出版された『ブラックショーマンと運命の輪』は9位、6月に出版された『魔女との7日』は7月のベストセラー6位を占め、累計100万部以上売れた『ナミヤ雑貨店の奇蹟』をはじめ、『容疑者Xの献身』、『白夜行』など、メガヒットした作品も定番の上位圏で着実に売り上げを伸ばしている。

 ベストセラー確実の作家だけに、出版社の著作権競争も激しい。日本で刊行された東野作品のほとんどが韓国でも出版された。現代文学関係者は「東野圭吾の本を出し続けてきた出版社だけでなく、新たに参入しようとする出版社もあり、熱い競争が繰り広げられる」と話した。パク・ユンヒ・プクダ文学のチームリーダーは「東野圭吾は新作が出るたびに競って版権オファーがあり、契約期間が満了して再契約の場合にも、先払いの印税額が高い」と話す。今回、東野圭吾の作品を初めて出版することになったプクダは、版権獲得のために、金額以外にも綿密なマーケティング戦略を立て、日本の講談社との協力など、多方面で周到な準備をしたそうだ。

 東野圭吾は日本、韓国だけでなく、台湾、中国でも大人気だ。現代文学関係者は「台湾でも韓国でも人気がある。中国市場でも好評だ。東アジアでベストセラー製造機としての役割を果たしている」と話した。チョ・ソンミョン文芸評論家は、東野圭吾の人気の秘密を「ヒューマニズム推理小説」と語る。「ふつう推理小説、ミステリーと言えば、人間の残忍な本性を描いた作品が多いが、東野作品は推理小説といっても残忍な犯罪はほとんどなく、人間的で共感を呼びうる事件が出てくる、独特な推理小説なので、読者たちに好まれているようだ」と説明した。

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