日本語の助詞「は」は副助詞に分類されます。
「は」は主格に使われる場合が多いので、主格を表す格助詞のように感じられるのですが、そうではありません。
「が、の、を、に、で…」などの格助詞とは異なり、「は」は格を示す助詞ではないのです。代表的な用法は、「提題」。文中のある部分を話題として取り立てる働きです。
オリンピックが ビョンチャンで 行われた。
この文で「ピョンチャンで」を取り立てるとき、「は」をつけて、
ピョンチャンでは オリンピックが 行われた。
開会式に 安倍首相が 列席した。
同様に、「開会式に」を取り立てれば、
開会式には…
となります。
つまり、「は」は格助詞に後接して、その格を取り立てる働きがあるわけです。他の格助詞に接続するときは「のは」、「からは」、「よりは」などとなります。
ところが、主格を取り立てるときは、
安倍首相がは…
とはならず、格助詞「が」が消失して
安倍首相は…
となります。同様に、
金正恩が 金正男を 殺した。
で、「を格」(目的格)を取り立てると、
金正男をは…
ではなくて、
金正男は 金正恩が 殺した。
となり、「を」が消失します。
「は」に限らず、日本語の助詞、いわゆる「てにをは」の使い方は外国人には難しいようで、日本に10年以上住んでいる人でも、なかなか正しく使いこなせないようです。
そういえば、カーリングの試合のあとのインタビューで、ある選手が次のような発言をしていました。
「負けてはしまいましたが…」
あとに続く内容は覚えていませんが、「試合内容はよかった」「収穫はあった」というような意味の言葉が続いたと思います。
この「は」の挿入場所に、ちょっと違和感を覚えました。
では、どう言えばいいのか。
「負けはしましたが…」?
でも、これだと「~てしまった」という残念なニュアンスが消えてしまいます。
「負けてしまいはしましたが…」?
これもちょっと不自然か。
「試合には 負けてしまいましたが」
これがよさそうです。用言を取り立てるのではなく、その前の「に格」を取り立てるのですね。
ことほどさように、「てにをは」の使い方は難しい。
ところで、「てにをは」は漢字で弖爾乎波と書くんだそうですね。
俗に「てにをは」(弖爾乎波・天爾遠波)か「てにはを」(弖爾波乎)と呼ばれるが、これは漢文の読み下しの補助として漢字の四隅につけられたヲコト点を左下から右回りに読んだ時に「てにはを」となることに因るものである。(ウィキペディア)
知りませんでした。
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