ネンバン（冷房）

　日曜日。

　暑かった。

　うだるように暑かった。

　それには理由があります。家のクーラーが壊れたからです。

　早速電気屋さんに修理を依頼しました。しかし，忙しいらしく来てくれるのは月曜日。

　そして月曜日，新幹線で大阪に向かっていた私の携帯にメールが入る。タイトルは「大変！！」

　電気屋さんに見てもらったところ，修理に５万円ぐらいかかるうえに，部品があるかどうかわからない。買い換えたほうがよい，とのこと。

　ショック！　

　まあ，考えてみればこのエアコン，今住んでいる家に引っ越してきたときに安売りしていた旧型のものを買ったもの。年式は，１８年前のものだそうです。壊れても仕方がないし，部品がないのも仕方がない。結局，買い換えることにしました。

　私が韓国に赴任したとき，エアコンというものは，韓国ではあまり普及していませんでした。

　もともと日本に比べれば，韓国の夏は過ごしやすい。気温は３０度以上にあがるのですが，湿度が低いので日本のように蒸し暑くない。木陰に入り，直射日光を避ければそれなりに涼しい。それで，エアコンのある家は少なかった。

　ただ，私が赴任する前年，珍しく夏が暑かったらしい。私より１年前にソウル駐在を始めていた駐在員はあわててエアコンをつけようとしたら，品薄で設置までに時間がかかり，取り付けたときには暑さの峠を越えていた。その苦い教訓から私が翌年の春に赴任したとき，

「エアコンは早めにつけておいたほうがいいよ」

と助言してくれました。

　その助言に従ったのですが，その年の夏はそれほど暑くなかった。漢江沿いということもあって，心地よい「カンパラム（川からの風）」があるため，窓を開けていれば，エアコンは不要です。

　結局，ひと夏にエアコンをつけたのは３日ほど。

　しかし，その後１０年。

　ソウルの都市化によるものか，地球温暖化によるものか，ソウルの夏は年を重ねるごとに暑くなり，帰任する直前数年は，ほとんど毎日エアコンを稼働させる状態になりました。そしてほとんどの家にエアコンが普及しました。

　エアコンでは恐ろしい話を聞いたことがある。ある日本人の駐在員がマンションの駐車場に停めてあった車の上に，エアコン（の外機）が落下，激しくへこんだそうです。
　たぶんいい加減に取り付けてあったのでしょう。もし人に当たっていたら…と思うとぞっとします。