犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

保守の反対語

2022-07-04 23:07:23 | 日々の暮らし(2021.2~)
イラスト:ivoteのHPより

 小学生の時、テストで反対語の問題が出ました。

 前進⇔後退とか、賛成⇔反対とかいうやつですね。

 私は保守の反対語がわかりませんでした。

 たしか、「変化」みたいな言葉を書いてバツになりました。

 答は革新

 革新という言葉は、小学生の私の語彙にありませんでした。

 中学に入って、政治(科目名は公民)や歴史を習うようになり、資本主義と共産主義、社会主義の概念を知って、ようやく革新の意味を理解するようになりました。

 1970年代は、ソ連がまだ健在でしたし、北朝鮮は地上の楽園というような記事を載せる雑誌(『世界』とか『朝日ジャーナル』)もありました。

 日本でも、日本共産党や日本社会党と言う革新政党が元気でした。

 しかし80年代、ソ連や北朝鮮の実態が明らかになり、中国の文化大革命で何が行われたかが知られるようになり、やがてソ連は崩壊しました。

 もはや共産主義イデオロギーを信奉する者はいなくなり、革新の意味合いも変わりました。

 そのころから、保守の反対語として、革新の代わりに進歩が使われるようになったような気がします。

 今、辞書を引くと、保守の反対語は依然として革新ですが、保守的の反対語は革新的・進歩的となっています。

 一方、韓国は、日本の植民地支配から解放され、まもなく南侵してきた北朝鮮に国土が蹂躙されたあと、反日と並んで反共が国是でした。

 政治的な対立は、保守と革新ではなく、軍事独裁と民主化勢力であり、軍事政権を「保守」とすれば、民主化勢力は「進歩」。

 韓国語の辞書も、保守の反対語は進歩になっています。

 1987年の民主化以降、軍事政権はなくなりましたので、保守と進歩の対立はあいまいになりました。

 民主化運動の闘志だった金泳三の政権が「保守」といわれるわけですから、わけがわからない。

 一方、韓国では反共の意識も薄れ、80年代以降、大学生の間には北の主体思想を信奉する者も出てきて、そのような世代が政治や言論の世界にも進出した。

 盧武鉉や最近の文在寅は、親北朝鮮といってよい。

 となると、今度は反共を保守、親北・従北を革新と呼ぶのがふさわしく思えてきます。

 今の尹錫悦政権は、直前の文在寅政権の反動で、反北朝鮮・反共を明確に打ち出しています。

 日本はまもなく参議院選挙ですが、自民党を保守と呼ぶのはいいとして、対抗勢力は何なんでしょう。

 革新ではありえず、進歩というのも似合わない。

 憲法に関して言えば、自民党は改憲を主張していますから、あくまで護憲を主張する保守的な考え方に対して、むしろ進歩的と呼ぶのがふさわしい気もします。

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