9月27日、韓国で行われたサッカーのアジアチャンピオンズリーグの試合中、セレッソ大阪と対戦した韓国のチーム(全北)のサポーターが
「日本の大地震をお祝います」
という垂れ幕がかかげました。それがネットのニュースに流れるや、日本はもちろん韓国内からも抗議が殺到。
ただ、このニュースを見た日本人の中には、もちろん腹は立つけれど、そこはかとない「可笑しみ」を感じた人も多いんじゃないでしょうか。
それは「お祝います」という、つたない日本語表現にあったと思われます。
「お悔やみします」と書こうとして、うっかり間違えたんじゃないかといううがった推測も出ましたが、「犯人」が名乗り出て謝罪をしたことから、この見方は否定されました。(→リンク)
じゃ、正しくはどう書けばよかったのか。
「日本の大地震を祝います」
とか、
「日本の大地震をお祝いします」
だったら、文法的に間違いはない。
でも、もっときちんとした日本語にしたいなら
「日本の大地震をお祝い申し上げます」
あたりになるんでしょうかね。
とにかく、日本の敬語は難しい。韓国語にも似たような敬語があるものの、正しく使いこなすのは韓国人にとっても至難の技です。
一般に、動詞を敬語にするには、尊敬の助動詞「れる・られる」をつける。
「持つ」だったら「持たれる」。
一方、動詞の名詞形に「お」をつける方法もある。
「お持ちになる」
ですね。
「なる」ではなく「する」にすると、これが謙譲語になる。
「おかばんをお持ちしましょう」
ところが
「このかさをお持ちください」
となると、持つの主語は相手になるので、尊敬語になって、しかもこの場合の「持つ」は、たんに「手に持つ」というような意味じゃなくて、「持っていく」という意味になるからややこしい。
この点、韓国語の場合は「シ」という万能の尊敬助辞があり、謙譲語は「トゥリダ」をつければいいから、日本語に比べると楽です。
日本語にはさらに、「せる・させる」という、本来は使役の助動詞を敬語に転用するケースがあり、
「休ませてください」
なんて言う。
「お休みさせていただけませんか」
となると、ウルトラ級の難しさで、これを使いこなせる外国人はほとんどいないでしょう。
最新の画像[もっと見る]
- 尹大統領・与党、支持率回復の怪 1日前
- 幻のダイヤモンド富士 2日前
- 幻のダイヤモンド富士 2日前
- 中国系ロマンス・投資詐欺の手口⑥ 4日前
- 中国系ロマンス・投資詐欺の手口⑤ 5日前
- 中国系ロマンス・投資詐欺の手口⑤ 5日前
- 中国系ロマンス・投資詐欺の手口⑤ 5日前
- 中国系ロマンス・投資詐欺の手口⑤ 5日前
- 中国系ロマンス・投資詐欺の手口⑤ 5日前
- 中国系ロマンス・投資詐欺の手口⑤ 5日前
1 強く当てる「腰をうつ」
2 たたきこむ「くぎをうつ」
3(肉に)さす「針をうつ」
4注射する「ビタミン剤をうつ」
5 たがやす「田をうつ」
6 きたえて作る「刀をうつ」「そばをうつ」
7 (ひもを)組む
8 (投げて)はる「網をうつ」
9 (時を)知らせる「十時をうつ」
10 ショックを与える「心をうつ」
11 (首を)切る
12 人々に見せる「興行をうつ」
13 「碁をうつ」
14 ばくちをして遊ぶ
15 将棋で相手からとった駒を盤におく「金をうつ」
16 「ヒットをうつ」
17 サッカーでシュートをする
18 (電報を)だす
19 (メールを)発信する
20 (水を)まく
21 (なわを)かける
22 おこなう「ストをうつ」
23 つける「点をうつ」
24 (お金を)はらう「手金をうつ」
25 (コンクリートを)流し込んで固める
26 (コマーシャルを)放送する
それ以外に同音異義語の「討つ」と「撃つ」が別項目として立てられています。
基本的な動詞の多義性(一つの単語のもつ意味の多様さ)は、韓国語と日本語で同じぐらいじゃないかと思います。
前のコメントで書き漏らしたのですが、韓国語の特に短い固有語には複数の意味を持つものが日本語以上に多いように思います。今日、たまたま辞書を調べた単語は以下のような調子で、正直アタマ痛いです。派生した意味というよりは、単に発音が同じというだけで元々全く違う単語だったのではないかと思いたくなります。似た発音の単語が多いことに加えて、同音異義語も多い。これもご考察の際に勘案していただければと思います。ネィティブの方の意見も是非聞いてみたいものですね。
1. 吹ふきまくったり動うごいたりする。
2. 厚あつい霜しもが降おりる。
3. 치이다1の縮約形。
4. 打つ; 殴る。
5. 音を出だす; 打つ; たたく。
6. 描かく。線や絵えを描かく; 引ひく。
7. よる。
8. 編んでつくる。
9. ふっかける; 入れる; まく。
10. ふるいにかけて粉や液体をより分わける; ふるう。
11. 値段をつける。見積もる;…に入る;…にする。
12. 受ける; 経験する。
13. 大きな声を出す; 叫ぶ。
14. 下ろす; 掛ける。
15. 張る。
16. 汚物をのける; 清掃する。井戸や溝などの底にたまった土砂を取り去る; さらう。
>韓国語は、日本語以上に文脈、コンテキストが要求される言語なのではないか。
いずれブログの本文として取り上げさせてください。
実は私も十年ほど韓国語を勉強しているのですが、新聞記事を亀のようなスピードで読むのが精々で、会話の方はさっぱりです。私のような日本人学習者は多いのではと思うのですが、韓国語の固有語、特に音節の少ない(短い)似たような発音の単語が多く、紛らわしくて嫌になってしまいます。イロナダなんてのは覚えやすいのですけどね。
例えばチャダ、チダ、ポダのような短い単語には、それぞれに激音、濃音、平音などの違いの他に、発音は同じでもパッチムだけが違う場合があったりと、私のようにリスニングの苦手な日本人学習者にとって識別が実に困難です。ですから、根性なしの私はついつい漢字語の多い新聞記事ばかり読むようになってしまいました。怠け者の言い訳です。笑
さて、ここで質問なのですが、あのせっかちな韓国人が、いかにネィティブスピーカーとはいえ、このような微妙な違いしかない単語群を日常会話の中において、果たして常に適確に識別できているのでしょうか。まあ、それができるからこそ母語なのでありますが、固有語に対する日頃の「うらみ」も手伝って、ついこのような意地悪な質問をしてみたくなりました。笑
ひがみ半分の素人考えなのですが、韓国語とうのは、文章においてのみならず会話においても日本語以上に文脈、コンテキストが要求される言語なのではないでしょうか。もちろん母語話者は長年の経験と勘で問題なくコミュニケートしているとは思うのですが、ずっと気になっていたものですから犬鍋さんに質問させていただきました。
よろしくお願い申し上げます。
という文が正しいのかどうか、妻と議論になったことがあります。
>「あげて」は、友人Aに対して、
>「やって」は、子供に対して、
>「くれる」は、私に対して使われている
韓国人のこの手の文法ミスはよくありすぎて、何も感じませんでしたが
犬鍋さんの解説で新しい気付きを得ました!
非日本人には語形変化から来る意味合いの違いは、理解が難しい領域ですよね。
「話し手の友人Aが飼っている猫が子供を産んで、自分では育てられないので、もらい手を探している。もらい手がないと保健所で始末するという。それを聞いた、話し手の家の子供が「可哀相だ、うちでもらおう」とせがむが、話し手はとんでもないと思っている。それで、友人Aから子猫いったん預かってきて、別の友人Bに対して、猫をもらうことをお願いしている」
という状況で、
「あげて」は、友人Aに対して、
「やって」は、子供に対して、
「くれる」は、私に対して使われている
と解釈すれば、成り立つような気がします。
件の「日本の大地震をお祝います」ですが、実は最初に一瞥した時にはその文法的ミスに気づかないまま、「祝」という漢字のおかげで意味だけを瞬時に把握しました。こういう点、漢字の効能というのはやはり絶大だと思います。
まあ、いくらほとんどの韓国人の本音とはいえ、ローカルニュースですらあっという間に世界を駆け巡るこの時代にあの垂れ幕はまずかったですね。一昔前なら内輪社会だけで喝采を受けることも可能だったのでしょうけど。国家ブランドを重視する今の韓国社会、道徳的に云々は別としても、なにせ国際社会での評判が気になるから叩かれるのは必定。どこの誰かは知りませんが、もう少し空気を読むべきでしたね。