犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

バグースでの出会い

2018-04-07 23:46:15 | 食べる

 久しぶりに、インドネシア料理のバグースに行きました。いつもは見かけない女性アルバイトがいました。

「新しいアルバイトさんですか?」

 店長に聞きました。

「いや、もう何か月かになるよ。でも週2回しか入ってないからね」

「日本語できるんですか?」


「日本に来たばかりの頃はぜんぜんできなかったけど、学校通ってるし、ずいぶん上達したね」


 話しかけてみました。

「日本語勉強中ですか」

「はい」


「日本語能力試験を受けますか」


「はい、こんど2級を受けます」


「受かったら、大学に行くんですか」


「いえ、インドネシアに帰ります」


「どうして?」


「私は日本にいたいけど、両親が帰ってこいって」


 彼女は華僑で、福建語もしゃべれるらしい。

 そのとき、男性客が入ってきて、店長と早口のインドネシア語でしゃべりはじめました。ぜんぜん聞き取れません。

「あのお客さんは、日本に20年以上住んでるんですよ」

「26年です」


 お客さんが自ら訂正します。

「長いですね。ずっと大阪ですか?」

「いえ、家は東京ですよ。今日は仕事で大阪に来てるんです」


 彼は、インドネシア人観光客相手のツアーコンダクター兼運転手をしているんだとか。東京に来たインドネシア人を、東京だけでなく、車で関西にも連れてきて観光させるそうです。大阪に泊まりのときは、いつもこのバグースに食べにくるとのこと。

「ぼくも今は大阪暮らしですけど、出身は東京なんですよ」

「東京のどこですか」


「大田区です」


「私、大田区にも住んでいましたよ」


「どこですか」


「久が原です」


「わっ、ぼくは久が原で生まれ育ちました」


「そうですか! 日本で最初に住んだのが久が原なんです」


 久が原にあるスーパーや貸しレコード屋(!)などの話で盛り上がりました。

 彼はバリ島出身で、ホテルの従業員をしていたら、そこによく遊びに来ていた日本人女性と知り合い、結婚。

「日本に来て驚いたのが自動販売機です。いろんな種類があるでしょう?」

「外国には少ないみたいですね」


 久が原で初めて自販機で飲み物を買おうとしたときのこと。千円札を入れたのに商品が出てこない。どうなってるんだろう。そのときは携帯電話なんてなかったから、家に帰って、妻の職場に電話した。

「もしかして、ボタン押さなかったんじゃないの?」

 急いで自販機のところに戻ると、千円札を入れた状態のままだったので、そこでボタンを押して、無事に飲み物をゲットできたそうです。

「今度、東京に行ったとき、連絡しますよ」

 名刺を交換して別れました。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 世界のビール博物館 | トップ | 韓国便り~花冷え »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

食べる」カテゴリの最新記事