キムの説明によると,これは朝鮮語でセキフェといって,豚の子宮であった。豚の子宮を解体のときにつぶさないようそっと氷嚢のようにとりだし,そのままみじんにきざんで,ほとんど味らしい味もつけず,もちろん煮たり焼いたりの加工はいっさいやらず,生のまま丼鉢に入れて食うのである。つまりフクスケがなにも知らずにのみくだした白い皮は豚の羊膜であった。キムは説明を聞いてたじたじしているフクスケにむかって,さらにすごい話を追い打ちにかけた。彼のいうところによれば,いま食ったのはまだ序の口で,正真正銘のセキフェは胎児もろともたたきつぶしたのを骨,肉,羊膜,羊水,なにもかもひっくるめて生のままゴクリとやる。これは朝鮮料理の王様といえるもので,わけても粘液に厚くつつまれているためにつぶしきれなかった胎児の目玉が恨めしげにただよっているのをのみくだすときの快味ときたら
「……こらァ,ちょっと,ろっくふえらあにもやれんというようなもんでなあ」
キムは顎を撫でながらうっとりと眼を細め
「朝鮮語でセキいうたら赤ン坊,フェは刺身ちゅうこっちゃ。つまり赤ん坊の刺身やな。これをひとくちやったら,三日は俯向けに寝られんちゅうわ」
「そらまた,なんで?」
「日なた水。目ェ,さましなはれ。男子一生の悩みが消えますのんや」
アパッチ族たちはどっと哄笑した。
(開高健『日本三文オペラ』より)
う~む,これは……。ホンオフェよりも強敵だ。
「……こらァ,ちょっと,ろっくふえらあにもやれんというようなもんでなあ」
キムは顎を撫でながらうっとりと眼を細め
「朝鮮語でセキいうたら赤ン坊,フェは刺身ちゅうこっちゃ。つまり赤ん坊の刺身やな。これをひとくちやったら,三日は俯向けに寝られんちゅうわ」
「そらまた,なんで?」
「日なた水。目ェ,さましなはれ。男子一生の悩みが消えますのんや」
アパッチ族たちはどっと哄笑した。
(開高健『日本三文オペラ』より)
う~む,これは……。ホンオフェよりも強敵だ。
ホントになんて言ったらいいものか。
食の欲望というものも果てしない
ものなんですね・・・。
犬鍋さんは出されたらやっぱりホンオフェ
みたいにチャレンジするんでしょうか?!
私は読んだだけでもうドキドキです(汗)
済州島にはありましたが、済州島にはもう二度も行ったので、幸い行く計画はありません。
ホントに残念。
ソウルで食べられるところが出来ているといけないので、二度と検索しないつもり(笑
で、現在は東京荒川の「山田屋」というところで食べられるようです。
http://www.k-plaza.com/rensai/re_yakiniku014.html
「豚食のなかでも豚の胎児、子袋刺などの生もの料理は済州島独特の郷土料理といっていいでしょう。一般にセッキフェというと牛の胎児を想像しますが、正確には牛の場合ソ・セッキフェといい、済州島ではト・セッキフェといって豚の胎児のことをいいます。
豚を大量にしたときに、何匹かは妊娠したままの豚がいますのでその腹子(胎児)を使います。胎児を刺身のタタキにして羊水とユッス、酢醤油でのばして食べるのですが、この羊水というのがちょっと味をみるとうっすら塩味があって、無菌状態なので生で食べても安全なわけです。 (中略) 胎児というとゲッと思うかもしれないですが、脂のはいった、ひんやりしたトコロテンのような食感で、とても精がつく食べ物です。一頭の豚から多くても7~8匹しかとれません。10cmぐらいの大きさのものがおいしいです。 セッキフェというのはするときに栄養価がとてもある部分を捨てるのはもったいない、有効に食材をとろうという朝鮮・韓国独自の昔からの生活の知恵でしょうか。」
ちょうど今東京なのですが、行けないでしょう。
いつか必ず試してみます。
しかし、その胎児を食う時の快感というか優越感って、朝鮮人以外は意味不明。また朝鮮人の精神勝利の姿勢は古来よりの宿痾なんだと、改めて思う。
実は、まだセキフェを食べる機会には恵まれていません。韓国で韓国人に聞いても誰も知らないし、もしあったとしてもいっしょに行ってはくれないでしょう。
豚肉食文化圏では、あらゆる部位をくまなく食べるところが多いですから、韓国以外にも胎児を食べる文化圏があるんじゃないかと思いますが、まだ探せていません。
フィリピンだったか、エチオピアだったか、その両方か、孵化直前の卵(というよりヒヨコ)を食べるというのを聞いたことがありますが、こっちも未挑戦。