犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~マンネフェチプ

2024-10-28 22:10:57 | 韓国便り(帰任以後)
写真:南大門市場の刺身屋さん


 4泊5日の韓国出張の最後の晩餐は、刺身にしました。

 韓国に来てなんで刺身?とお思いの人もいるでしょうが、実は刺身は韓国でお勧めの料理の一つなのです。

 メインの刺身を頼むと、ほかに注文しなくても「ミッパンチャン」(タダのおかず)が大量に出てくるのですね。それがおいしいし、ボリュームも満点なのです。

「安くてミッパンチャンが多い店」をネットで検索し、現地職員に予約してもらいました。

 南大門市場の細い路地を入ったところに、その店はありました。

 マンネフェチプ(マンネ=末っ子、フェ=刺身、チプ=店。 末っ子の刺身屋)

 細い階段を上がっていくと、7時なのに満員。喧騒の空間が広がっています。

(予約しておいてよかった)

「何の刺身にしましょうか」

 といっても、選択肢は意外に少なく、ヒラメとメバル、それ以外は、活きタコ、ホヤ、ナマコ。「盛り合わせ」もありましたが、前記の組み合わせでしょう。

「メバルを刺身で食べるんだ」

 同行の出張者が驚きます。

 日本では煮魚のイメージでしょうか。

我々「じゃ、ヒラメ・メバルの盛り合わせにしよう」

店のアジュンマ(おばさん)「はい、ヒラメ・メバルの大を2つね」

我「大二つ? 多すぎるんじゃない?」

ア「6人なら、大二つ頼まなくちゃ」


 アジュンマの威勢のよさに押されて、大二つを頼むことに。大は一つ7万ウォンです。

 メインの刺身が運ばれてくる前に、パンチャン(おかず)が次々と運ばれてきます。

 わかめスープ、サバの唐辛子煮、イカの唐辛子煮、ジャガイモの唐辛子煮。スープ以外、全部唐辛子が入っています。

 そしてメインはヒラメとメバルの盛り合わせ。



 一切れの厚みもあり、量も十分です。ヒラメはたぶんチャヨンサン(自然産=天然物)ではなく養殖物だと思いますが、めばるは養殖が難しいはずなので、チャヨンサンでしょう。

「この店、正解だったね」

 ミッパンチャンは基本的におかわり自由。半分ほど食べたところで、「メウンタン」(刺身を作った後のアラを使った辛い鍋)が登場。

 酒も進みます。

 ビールに始まって韓国焼酎、五十歳酒(ペクセジュ(百歳酒)とチャミスルを薬缶に投入して作る混合酒)…。

「もう少し食べられるよね。追加しようか」

 サンナクチ(活きタコ)は二日前に食べたので…。

「モンゲ(ほや)は?」

「それはちょっと…」


 複数の人から異議が出ます。

「じゃヘサム(なまこ)にしよう」

 まもなく大盛りのヘサムがやってきました。

「これで2万ウォンは安いね」

 こういう珍味系は、少し出てきてこそ食欲をそそるのですが…。

 結局、韓国人3人のうち2人は手を出さず、日本人3人と韓国人1人でやっつけました。

「韓国で刺身もいけるね」

と、韓国初心者の日本人。

「でしょう?」

 すべてを食べつくし、店を出たのは10時前。韓国人とはここで別れ、出張者だけでホテル近くのワインバーへ。

 珍しくポルトガルワインを揃えたおしゃれな店。客は外国人(西洋系)が目立ちました。

 グラスワインで始め、足りなくてフルボトルを頼んだようですが、記憶にありません。

 翌日は朝早くの金浦発便。

 二日酔いでガンガンする頭を抱えて、5:00にホテルフロントに降りていきました。

「昨日の最後の店、精算したっけ?」

「いえ、まだです。全部で12万ウォンでした」

「けっこう高かったね」

「よかったですよ。チーズの盛り合わせもおいしかったし」

(まったく覚えていない…)

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