図の出典:インベストオンライン
参議院選挙が近づいています。
野党の中には、消費税の引き下げとか廃止を訴える党もある。
最近の物価高で、国民に迎合する政策を打ち出すのは無理もないことです。
消費税については、個人的な思い出があります。
竹下政権で消費税が導入された1989年、私はある出版社で、時事問題に関する書籍の編集担当をしていました。
私が企画した本の一つに、当時世論を二分していた消費税導入に関する本がありました。
当時の日本の税制は法人税、所得税などの直接税が主流で、所得税では極端な累進課税が行われていました。
高額所得者は、住民税を合わせると、なんと所得の90%近くを税金として持っていかれていました。
それで高額所得者は、節税対策と称して、高いお金を税理士に払って脱税に血道を上げました。
一方、宗教法人などは優遇税制を受けていましたし、個人事業主は収入が申告制だから脱税し放題。
正直に税金を払っていたのは、収入がガラス張りの給与所得者でした。
一方、日本社会は少子化が加速しており、このままいくと医療保険や年金制度が将来破綻することが目に見えていました。
政権政党である自民党は、大型間接税導入の必要性を早くから認識しており、一般消費税とか売上税とか名前をいろいろ変えながら間接税の導入を図りましたが、そのたびに選挙で大敗を喫してしまう。
買い物のときに支払うお金が増えるので、消費者たちにはみな反対していました。
しかし、消費税導入は、物品税(車など贅沢品とみなされていたものにかかる税金)の廃止と、所得税の引き下げとセットになっていました。
消費税の導入に反対していた主婦の旦那さんの多くは給与所得者。つまり、消費税導入(と所得税減税)の結果、一家の収入はむしろ上がることが多かったのです。
しかし、そうした計算のできない主婦たちは、野党やマスコミの主張にあおられ、口をそろえて消費税導入に反対しました。
私が企画した本の著者は、大手経済紙の経済担当論説委員でしたが、「消費税は必要である。しかし、いったん導入されると、政府は必要以上に税率を上げたがる。安易な増税は戒めなければならない」というようなまっとうな主張をしていました。
同じ時期、私は「納税者番号制(今のマイナンバーカード)」、「日本の年金制度」などという本も企画して、日本でいかに脱税がはびこっているか、年金制度がいかに危機に瀕しているか、についても知る立場にいましたので、著者の主張に全面的に賛成していました。
導入時の消費税率は3%でした。今と比べればかわいいものです。
深夜の討論番組、「朝まで生テレビ」でも取り上げられ、英文学者で右派の論客である渡部昇一は、
「消費税は10%がよい。そのほうが計算がラク。同時に、所得税も累進課税はなくして10%にしろ」
などという主張をしていました。
彼によれば、「所得税が一律10%になれば、高額所得者は税理士をやとって節税対策をするのが馬鹿らしくなり、正直に税金を払うようになる。結果、税収は増加する」というのです。
極端ではあるが、一理あるなと思いました。
消費税のいいところは、多額のお布施を集める宗教法人も、銀行から3億円強奪した強盗も、宝くじで1億円当たった人も、所得税を払わないかわりに、お金を使うときに消費税を払うことになる。つまり、脱税ができないんですね。
金持ちはたくさん消費するからたくさん税金を払い、貧乏人は少ししか使わないから少しだけ払う。とても平等な税金なのです。
もちろん、所得が低すぎて所得税をまったく払っていない人は、消費税分だけ増税になりますが、そういう人も行政サービスは受けているわけなので、そもそも税金を全く免除されていたこと自体がおかしい。応分の負担をすべきです。
結局、消費税導入を主張した竹下政権は、選挙には負けたけれど、不人気な消費税導入を断行しました。
その後、消費税は3%から5%、8%、10%と上がりました。
これが私の本の著者のいうように、「安易な増税」なのかはわかりません。しかし、他の先進国に比べれば、日本の消費税はまだまだ安い。スウェーデンは昔から25%です。
10%は許容範囲だと思います。
今回の選挙で所得税減税を主張している政党の、代替財源の説明はどれも説得力に欠ける。
たんに、国民に迎合した選挙スローガンのように感じられます。
共産党などは、昔から一貫して大企業からがっぽり取れ、という主張ですが、国民の中には大企業に勤めている人も多い。企業が海外に逃避したり、給料を下げたり、人員整理をしたりしたら、被害を受けるのは国民です。
盛り上がりに欠ける参院選。今回も自民党が勝利しそうな予感がします。
結局、私が企画した本は、消費税対策の実務書などに押されて、あまり売れませんでした。
参院選を控え、思い出したことなどを書き連ねてみました。
参議院選挙が近づいています。
野党の中には、消費税の引き下げとか廃止を訴える党もある。
最近の物価高で、国民に迎合する政策を打ち出すのは無理もないことです。
消費税については、個人的な思い出があります。
竹下政権で消費税が導入された1989年、私はある出版社で、時事問題に関する書籍の編集担当をしていました。
私が企画した本の一つに、当時世論を二分していた消費税導入に関する本がありました。
当時の日本の税制は法人税、所得税などの直接税が主流で、所得税では極端な累進課税が行われていました。
高額所得者は、住民税を合わせると、なんと所得の90%近くを税金として持っていかれていました。
それで高額所得者は、節税対策と称して、高いお金を税理士に払って脱税に血道を上げました。
一方、宗教法人などは優遇税制を受けていましたし、個人事業主は収入が申告制だから脱税し放題。
正直に税金を払っていたのは、収入がガラス張りの給与所得者でした。
一方、日本社会は少子化が加速しており、このままいくと医療保険や年金制度が将来破綻することが目に見えていました。
政権政党である自民党は、大型間接税導入の必要性を早くから認識しており、一般消費税とか売上税とか名前をいろいろ変えながら間接税の導入を図りましたが、そのたびに選挙で大敗を喫してしまう。
買い物のときに支払うお金が増えるので、消費者たちにはみな反対していました。
しかし、消費税導入は、物品税(車など贅沢品とみなされていたものにかかる税金)の廃止と、所得税の引き下げとセットになっていました。
消費税の導入に反対していた主婦の旦那さんの多くは給与所得者。つまり、消費税導入(と所得税減税)の結果、一家の収入はむしろ上がることが多かったのです。
しかし、そうした計算のできない主婦たちは、野党やマスコミの主張にあおられ、口をそろえて消費税導入に反対しました。
私が企画した本の著者は、大手経済紙の経済担当論説委員でしたが、「消費税は必要である。しかし、いったん導入されると、政府は必要以上に税率を上げたがる。安易な増税は戒めなければならない」というようなまっとうな主張をしていました。
同じ時期、私は「納税者番号制(今のマイナンバーカード)」、「日本の年金制度」などという本も企画して、日本でいかに脱税がはびこっているか、年金制度がいかに危機に瀕しているか、についても知る立場にいましたので、著者の主張に全面的に賛成していました。
導入時の消費税率は3%でした。今と比べればかわいいものです。
深夜の討論番組、「朝まで生テレビ」でも取り上げられ、英文学者で右派の論客である渡部昇一は、
「消費税は10%がよい。そのほうが計算がラク。同時に、所得税も累進課税はなくして10%にしろ」
などという主張をしていました。
彼によれば、「所得税が一律10%になれば、高額所得者は税理士をやとって節税対策をするのが馬鹿らしくなり、正直に税金を払うようになる。結果、税収は増加する」というのです。
極端ではあるが、一理あるなと思いました。
消費税のいいところは、多額のお布施を集める宗教法人も、銀行から3億円強奪した強盗も、宝くじで1億円当たった人も、所得税を払わないかわりに、お金を使うときに消費税を払うことになる。つまり、脱税ができないんですね。
金持ちはたくさん消費するからたくさん税金を払い、貧乏人は少ししか使わないから少しだけ払う。とても平等な税金なのです。
もちろん、所得が低すぎて所得税をまったく払っていない人は、消費税分だけ増税になりますが、そういう人も行政サービスは受けているわけなので、そもそも税金を全く免除されていたこと自体がおかしい。応分の負担をすべきです。
結局、消費税導入を主張した竹下政権は、選挙には負けたけれど、不人気な消費税導入を断行しました。
その後、消費税は3%から5%、8%、10%と上がりました。
これが私の本の著者のいうように、「安易な増税」なのかはわかりません。しかし、他の先進国に比べれば、日本の消費税はまだまだ安い。スウェーデンは昔から25%です。
10%は許容範囲だと思います。
今回の選挙で所得税減税を主張している政党の、代替財源の説明はどれも説得力に欠ける。
たんに、国民に迎合した選挙スローガンのように感じられます。
共産党などは、昔から一貫して大企業からがっぽり取れ、という主張ですが、国民の中には大企業に勤めている人も多い。企業が海外に逃避したり、給料を下げたり、人員整理をしたりしたら、被害を受けるのは国民です。
盛り上がりに欠ける参院選。今回も自民党が勝利しそうな予感がします。
結局、私が企画した本は、消費税対策の実務書などに押されて、あまり売れませんでした。
参院選を控え、思い出したことなどを書き連ねてみました。
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