中国語には声調が四つあって、よく「マー」という単語で説明される。
マー(第一声)・マー(第二声)・マー(第三声)・マー(第四声)
が、それぞれ
「お母さん」、「しびれる」、「馬」、「叱る」
になるんだそうです。
タイ語もやはり声調言語で、中国語より一つ多い五声があります。平声、低声、下声、高声、上声の五つです。初級で声調を習うときはやはり「マー」で説明することが多いのは、中国語の真似なのかどうか。ただ、タイ語の5種類の「マー」のうち、単語は三つだけ。
マー(平声)、マー(高声)、マー(上声)
が、それぞれ
「来る」「馬」「犬」。低声と下声の「マー」は、意味はありません。
馬が中国語と似ているのは、きっと語源が同じだからでしょう。日本語のウマや韓国語のマル(馬)も、すべて「マ」という音が入っており、関係がありそうです。
ところで同じ会社の人で最近、タイ語に興味をもったという人から話しかけられました。
「タイ語は中国語と似ていますね」
「声調がありますからね」
「CDの最初にタイ語の数詞が録音されていたんだけれども、9をカーオと言うでしょう。あれ、広東語と同じです」
この人は香港に住んでいたことがあって広東語がわかる。有気音と無気音の区別も知っていて、タイ語の「カーオ」を、正しく無気音で発音していました。
「たぶん、3以上の数詞は中国語からの借用語だと思います」
カーオ(9)はタイ語のスペルの原則からすると短母音なのですが実際にはカーオと長母音として発音される。表音文字でありながらこういう例外があるので困ります。
そしてこの「カオ/カーオ」には同音異義語が無数にある。
といっても、実際は長母音/短母音の区別があり、有気音/無気音の区別があり、さらには声調の区別があるので、タイ人にとっては同音異義語ではないのですが、日本人がこれらを区別するのは至難の技です。
長母音と短母音の区別なら日本語にもあって、「おばさん」と「おばあさん」は難なく使い分けているわけですが、「カオ/カーオ」のような二重母音で長短の区別をするとなると途端に難しくなるのはなぜなのでしょう。
ざっと「カオ/カーオ」の例を挙げてみると…
kaao かーオ(下声∧) 9
khao カオ(高声/) 彼
khao カオ(上声∨) 山
khaao カーオ(下声∧) ご飯
khaao カーオ(低声\) ニュース
khaao カーオ(上声∨) 白い
kao かオ(低声\) 古い
khao カオ(下声∧) 入る
kaao かーオ(下声∧) 一歩
khaao カーオ(平声-) 悪臭
khao カオ(低声\) ひざ
kao かオ(平声-) 掻く
※ 有気音はkh(カ)、無気音はk(か)、長母音はaao、短母音はao、で表しています。
十二の「カオ」…。
怪人十二面相というべきか。
もっとも厳密に言えば発音はすべて違いますから、同音異義語とは言えません。しかし、「彼」と「山」は、発音は異なってもスペルは同じ。同綴異義語なんて言葉あったっけ。
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意識せずにしゃべってますが。