犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

携帯解禁

2018-10-20 06:12:04 | 介護生活

「お母さん、毎日、できることが増えていく。そばで見ていて嬉しい」

 入院以来、1日も欠かすことなく病院に通い、妻を毎日看てくれている三女からのラインです。

 この日はついに携帯解禁。

 何百件も溜まっていたLINEのメッセージをチェックし、返信をしていたとのことです。

 翌日、私が面会した時も、携帯を片時も離さない。

「みんな、お見舞いに来てくれるって」

「よかったね」


「何か欲しいものあるって聞かれたから、メロンって答えた。千疋屋限定で! ハハハ」


「高いだろ!」


 さっそくネットで調べると、メロン2つで2万6000円でした。

 食べ物の制限もあまりなくて、病院内のコンビニで売っているハーゲンダッツのアイスクリームなんかも食べています。

 ただ、少し気になることも。

 看護師さんが来て、本人に対して大切なことを話しているときも、携帯をずっとスクロールしているのです。

「お母さん、携帯置きなよ」

 貴ノ岩状態の妻を見かねて娘に注意されます。

 友達が見舞いに来た時も、

「かわいいハイジ(うちの飼い犬の名)の写真があるから見せてあげるね」

といって、携帯をいじりだし、長いなと思って画面を見ると、通販サイトを見ていたんだとか。

「お母さん、ハイジの写真は?」


「えっ? あ、そうだった」


 これらのことをリハビリのスタッフに話すと、「注意障害」という高次脳機能障害の一つではないかということでした。

 高次脳機能障害というのは、身体的な障害ではなく、記憶、思考、判断といった人間特有の高次の脳の働きに障害が起きること。

 症状は、集中力が長く続かず、また同時に複数のこと周囲を向けることができない、気を取られやすく、何かに集中すると、そこから目を離すことができなくなる、など…。

 また、左側に注意が行かないようで、車いすからベッドに上がるときに左側の靴だけ脱ぎ忘れる、歩行器を使って歩く練習をしているときも、左側のものによくぶつかる。

「半側(はんそく)空間無視ですね」


 右脳をやられているので、左側のものが見えていても、注意が行かない、無視してしまうという症状なんだそうです。

「リハビリで少しずつ直していきましょうね」

 リハビリの先生にそういわれても、まだピンと来ていない表情。病識(自分の病状についての
認識)が不十分なのが少し心配です。


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