犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

二度目の外泊

2018-12-16 23:19:34 | 介護生活

 週末、妻が二度目の外泊許可をもらいました。

 それに合わせて妻の母親も、田舎の島根からやってきました。

 妻は入院以来、ずっと髪が気になっていたらしい。イタリアンのお店で昼食を取ったあと、予約してあった行きつけの美容院に行きました。

「夜は、メッツァに行きたいんだけど」

「なにそれ?」


「宮沢湖にできたのよ。正式オープンは来年らしいけど、今、チームラボが来てるんだって」


 宮沢湖には以前、ドッグランがあって、犬を連れて行ったことがあります。荒れ果てた遊園地という印象でしたが、再開発が進んで、ムーミンのテーマパークが来春にオープンするとのこと(リンク)。

「寒いんじゃない?」

「ダウンを着ていけば平気よ」


 行ってみると、話題になっているらしく、大型の駐車場はほぼ満杯。湖の周囲に、色とりどりの光のオブジェが造形されています。

「きれいだね!」


「一周してみましょう」


 妻はリハビリ中、お母さんは80代の高齢、長女は妊娠10か月と、4人の中でまったく健常なのは私1人。
光のオブジェを際立たせるためか、敷地内はかなり暗い。

「足元気を付けてよ」


「大丈夫」


 湖を一周するコースですが、途中に「この先にトイレはありません」の立札がありました。一瞬、妻の表情が曇ります。病気をして以来、まえよりトイレが近くなっているからでしょう。

 トイレがないといわれると、かえって催すようで、まだ半分も行かないうちに、「そろそろ戻ろうか」などと言い出します。

 来た道を足早に戻ります。歩く様子を見る限り、妻の歩行能力はほぼ元に戻っているようでした。やっとトイレのある建物にたどり着きましたが、女性用は大行列。

「待つしかないね」


 テーマパークはまだ建設中で、トイレの数も足りていないようです。

 家に帰ったとき、妻はぐったりしたようすでした。

 高次脳機能障害の一つに、外部から入る情報の取捨選択ができなくなる、というのがあるそうです。健常な人は、雑多な情報の中から、意味のある、重要な情報のみ受け入れ、それ以外の情報は無意識のうちにカットしながら暮らしているのですが、高次脳機能障害の人はそれができないので、脳が大量の情報を処理しようとして、結果的に疲れてしまうということのようです。

「床の拭き掃除なんかもしたいけど、疲れたから、今度の外泊の時にするわ」

 翌日は、お母さんを迎えに、妻の妹もやってきて、妻も嬉しそうでした。


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