犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国の家庭裁判所

2024-06-18 22:25:45 | 朝ドラ

写真:ソウル家庭法院(家庭裁判所)


 朝ドラ「虎に翼」で、日本の家庭裁判所の産みの苦しみを知りました。GHQの意向もあったのでしょうが、日本の街角にあふれていた戦争孤児のケアもそのきっかけの一つになったということも。

 太平洋戦争終了時、韓国に戦争孤児はいなかった。韓国で戦争孤児が大問題になるのは、朝鮮戦争(韓国では韓国戦争と呼ぶ)のときです。

 このときの戦争孤児は12万人と言われます。

 韓国にも、日本と似た家庭裁判所(韓国では家庭法院)があります。日本と同じように、戦争孤児のケアのためにできたのかと思って、少し調べてみました。

 韓国の家庭裁判所は、1963年7月に創設されています。これは、朝鮮戦争停戦後、約10年。

 設立趣旨は、少年保護。家庭環境の調整も含め、家事に関する事件と少年に関する事件をいっしょに扱うことが望ましい、ということで設立されたそうです。日本の家庭裁判所と似ています。

 でも、設立の経緯を見てみると、朝鮮戦争との直接的な関係はなさそうでした。

 朝鮮半島が日本の植民地支配から解放されたのが、1945年8月。その後、半島の南半分にはアメリカ軍によって3年間、軍政が敷かれました。

 このとき、治安維持法など一部の法令が廃止されたものの、それ以外の法律は日本統治時代のものがそのまま有効とされました。ただ、条文は日本語でしたから、それを韓国語に翻訳しました。日本語から韓国語への翻訳は、法律だけでなく、文学などあらゆる分野で行なわれ、その過程で日本生まれの漢字語が、韓国読みして韓国語に置き換えられました。

近代韓国語の成立

 1948年、大韓民国が建国されるのに合わせ、大韓民国憲法が制定・公布されます。憲法100条には、植民地時代の法律がそのまま有効であることが明記されました。

 韓国の法律は、日韓併合直後の1912年の「朝鮮刑事令」「朝鮮民事令」によるもので、日本の法律と基本的に同じでした。

 その後、刑法は朝鮮戦争後の1953年に現行法への改定が行なわれ、民法のほうは1960年に改定されたということです。

 朴正煕がクーデターで政権を握った後、「旧法令整理に関する特別措置法」によって法令整理委員会を設置され、法整備が進められました。そして1962年に、日本統治期に制定された法律がすべて効力を失ったそうです。

 韓国の家庭裁判所の設置は1963年ですから、新しい法律の整備の過程で、日本の戦後の動向を参照した結果、同じ趣旨の裁判所を設置したのだと思われます。

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