ソウル最大の書店(今は違うかも)である教保文庫の入口には,歴代のノーベル賞受賞者の肖像画が描かれています。
その中に一つだけ,空白の額縁があり,「韓国の受賞者の場所です」と書かれていた。
金大中こそは,韓国の歴史上初めてのノーベル賞受賞者です(平和賞ですが)。金正日と歴史的な南北首脳会談を実現したことが,授賞理由です。ノーベル平和賞受賞が決まったとき,南山で盛大な花火があがったことを覚えています。
ノーベル賞も画期的ですが,全羅道出身の大統領が誕生したこと自体,ちょっと前までは考えられなかったことです。建国以来,韓国の大統領は慶尚道出身者で占められ,インフラ整備などで露骨な差別を受け続けてきた。
IMF外貨危機のとき,深刻な不況にみまわれた韓国で,全羅道の人にインタビューをしたところ,
「われわれは今まで一度も景気がよかったことがないから,関係ないよ」
と答えたとか。
その意味で,全羅道出身の金大中が大統領になったのは,韓国政治史上,画期的なことだったのです。
韓国の大統領選挙は国民の直接選挙。いやがうえにも盛り上がります。そして,地域によって支持が極端に偏る。
たとえば,92年の選挙で,金泳三は出身の慶尚道では70%の得票を集めたのに,全羅道ではわずか4%。逆に,金大中は,慶尚道で11%,全羅道では実に92%と圧倒的な支持を得ました。
一時,韓国語のレッスンを受けていたことがあるのですが,その先生が全羅道出身。金大中氏が当選したとき,涙を流して狂喜していました。
「この気持ちは全羅道出身者にしかわからないと思います。中学校の修学旅行で,慶州に行ったとき,私たちがどんな言葉を投げかけられ,嫌がらせを受けたことか…」
地域差別の深刻さを知ったのでした。
しかし,全羅道の人もいまは金大中を評価していない。
歴代の慶尚道出身の大統領たちは,故郷優先で道路を作り,鉄道を作り,橋をかけ,故郷振興のためにつくした。
全羅道の人たちもまた,今度こそはと金大中に期待したが,もはや土木工事の時代じゃない。南北関係にばかり目を向け,結局全羅道の発展のためには何一つしてくれなかったからだって。
その中に一つだけ,空白の額縁があり,「韓国の受賞者の場所です」と書かれていた。
金大中こそは,韓国の歴史上初めてのノーベル賞受賞者です(平和賞ですが)。金正日と歴史的な南北首脳会談を実現したことが,授賞理由です。ノーベル平和賞受賞が決まったとき,南山で盛大な花火があがったことを覚えています。
ノーベル賞も画期的ですが,全羅道出身の大統領が誕生したこと自体,ちょっと前までは考えられなかったことです。建国以来,韓国の大統領は慶尚道出身者で占められ,インフラ整備などで露骨な差別を受け続けてきた。
IMF外貨危機のとき,深刻な不況にみまわれた韓国で,全羅道の人にインタビューをしたところ,
「われわれは今まで一度も景気がよかったことがないから,関係ないよ」
と答えたとか。
その意味で,全羅道出身の金大中が大統領になったのは,韓国政治史上,画期的なことだったのです。
韓国の大統領選挙は国民の直接選挙。いやがうえにも盛り上がります。そして,地域によって支持が極端に偏る。
たとえば,92年の選挙で,金泳三は出身の慶尚道では70%の得票を集めたのに,全羅道ではわずか4%。逆に,金大中は,慶尚道で11%,全羅道では実に92%と圧倒的な支持を得ました。
一時,韓国語のレッスンを受けていたことがあるのですが,その先生が全羅道出身。金大中氏が当選したとき,涙を流して狂喜していました。
「この気持ちは全羅道出身者にしかわからないと思います。中学校の修学旅行で,慶州に行ったとき,私たちがどんな言葉を投げかけられ,嫌がらせを受けたことか…」
地域差別の深刻さを知ったのでした。
しかし,全羅道の人もいまは金大中を評価していない。
歴代の慶尚道出身の大統領たちは,故郷優先で道路を作り,鉄道を作り,橋をかけ,故郷振興のためにつくした。
全羅道の人たちもまた,今度こそはと金大中に期待したが,もはや土木工事の時代じゃない。南北関係にばかり目を向け,結局全羅道の発展のためには何一つしてくれなかったからだって。
以前読んだ「加治隆介の議」と言うマンガにも地方は異なるがそういう話がありました。