コトバヲツグムモノ

「口を噤む」のか「言葉を紡ぐ」のか…さてどちらの転がっていくのか、リスタートしてみましょう。

京都市PTA連絡協議会研修会 いのちの話題

2011-06-02 09:41:46 | PTA

昨日、市P連の研修会に参加してきた。

22年度と23年度の役員交代引継ぎがあったり、5年継続してPTA会長や役員をされている方の表彰があったりと、前半は式典の趣だが、後半は講演会。

 

今回の講師は「柴原弘志」氏。

チラシの顔写真を見るとどこかで見ている気がするが、おそらくお話を聞くのは初めてだと思う。

京都の中学校で教師や校長をされていたので、連れ合いに面識があるか聞いてみたが直接の面識はないようだ。

連れ合い曰く「道徳の偉いさん」だそうだ。

プロフィールには、教育庁関連の結構な肩書きが並んでいる。

 

 

今まで出会った行政関連の方の話は、私はどうも「ずれ」を感じることが多かった。

どうしても目線が「なにかをしてやっている」的な感じがあるから。

まぁ、そのことを語ると長くなるのでやめるが、今回の柴原氏の話はそういう感じがせず、私が大事にしていることと同じ視点がいくつかあり、とてもうれしく感じた。

 

話は「いのち」ということを芯にすえ、導入は先の東北大震災に関わる「いのち」の話題。

そこからいじめや自殺の話題を通じて「かけがえのないいのち」ということを話してくださった。

あいだみつおさんの詩やゴダイゴの歌詞なども引用されて、その話しぶりや声のトーンもとても好感が持てるものだった。

 

そこまでの「ひとりひとりがかけがえのない命を持っている」という話もとても共感できたし、「あたりまえ」で済ませられない、何度でも押さえておくべき話題だった。

その流れの中で、「笑顔の後ろにある悲しみに気づいて欲しい」というような子どもの言葉を引用された。

そしてもうひとつ、「ありのままでいさせて欲しい」という言葉。

メモって置けばよかったが、聞いた感じなんで正確な言葉は違っているかもしれない。

 

これは私がカウンセリングの学びをしている中でとても大事にしていること。

「笑顔の後ろにある悲しみ」を、「隠さなくてだしてもいいよ」と受けていくことは、関係作りの上でとても大切にしたいことで、例えば「これから数分間はあなたの時間です」「今話したいことを自由に話してもらってもいいです」「秘密はお守りします」というカウンセリングをするときの約束は、「無理に笑顔にならなくてもいい、そのままのあなたで」ということを伝えることだし、それを受け入れてくれれば、「ありのまま」でいてもらえる。

こういうことを、柴原氏の体験の中で出会った子どもの言葉として紹介してくださる。

知識的な講演ではなく、”実”が感じられる話だ。

 

もう1つ、それまでは「自分のいのち」「親や友達などのつながりのいのち」を話題にされた後に、「金子みすず」さんの詩を引用して、「いただくいのち」のことを話してくださった。

私としては、真宗の関わりの中で当たり前のように話し、当たり前のように聞いてきているが、教育の場では”宗教的になる”から、あまり深く語られてないように思っていた。

 

漁で取られる大場いわしの大群…

いわしの群れの写真をポインターで指しながら、「いわしのA君」「いわしのB君」「いわしのC君」このひとつひとつの命の「代わり」はない。

これも「かけがえのないいのち」

それを「いただいて」自分の「いのち」があるということ。

 

先日、知人が「いのちの食べ方」という本を話題にしていたが、私も映画の一場面でそれを見たときは震えが来た。

知識的に「いのちをいただいている」というもので済まされない。

(もう一方では、そこまで見せられても麻痺してるという悲しさも持ってるんだけど)

 

ある授業で、親が参観に来ている場面で、ある先生が「みんな弁当箱を出せ」と言ったそうだ。

そして「その中にいのちじゃなかったものがあれば教えてくれ」と。

生徒は弁当箱を眺めて、ざわついていたという。

参観に来ている親たちもざわついていたという。

なんて具体的な「いただいているいのち」の授業だろうか。

真宗の聴聞仲間で教師を生業としている人がいるが、「どこまで宗教的に味わっているいのちを話しを出来るのか困っている」ということをよく聞く。

そこには「道徳的に終わらせたくない」という思いもあるだろうが、こういう伝え方も出来るんだなと感心した。

 

もうひとつ、キーワードとして「言葉化しましょう」ということをおっしゃっていた。

思いを言葉にして伝えましょう、と。

これもカウンセリングの学びの中でよく言う「言語化」ということだ。

思いをそおっと捕まえて、できるだけ言葉にしていく。

コミュニケーションとしても大事だし、内省としても大事な作業だ。

 

もし、会場の参加者にコメントを求める時間があれば一言お礼が言いたかったが、なにぶん大会場での多人数の研修会なので、講演後は世話役の代表者がお礼を述べるだけで終わった。

その点がちょっと残念。

せめて、市P連なり小P連なりで、感想を募って伝えるような手法があればいいなと思う。

(機会があれば提案してみたい)

 

帰宅後、どこかにメールアドレスがあれば直接伝えようかなと検索してみた。

著作もあるし、過去「心のノート」に携わっていたようなので結構ヒットした。

逆に事前に見ていたらかなりフィルターを通して話を聞いただろうなということも見つかったりして(笑)

でも、過去の活動や、底辺の思想などは関係ない。

この日の、この時間に、私が触れた言葉がすべてで、他人の評価は関係ない。

私はとても感心し、うれしかった。

 

柴原先生、ありがとうございました。

 

 

朝焼け小焼けだ大漁だ

おおばいわしの大漁だ

浜は祭りのようだけど

海の中では何万の

いわしのとむらいするだろう

 「大漁」 金子みすず


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