コトバヲツグムモノ

「口を噤む」のか「言葉を紡ぐ」のか…さてどちらの転がっていくのか、リスタートしてみましょう。

「死刑」から身近なことへ

2008-11-01 00:18:43 | 日常雑感

今朝、ネットでこういうニュースを見ました。

 【ジュネーブ30日時事】日本の人権状況を審査してきた国連の自由権規約委員会は30日、死刑制度の廃止を前向きに検討するよう日本政府に勧告した最終意見書を公表した。第2次世界大戦中の従軍慰安婦問題でも、謝罪と補償措置を求めるなど、日本に厳しい注文が多く出された。
 同意見書は、日本での死刑の執行件数が近年、増加したことに懸念を表明。執行当日まで事前の告知がないことや、高齢者に実施されたことなども問題視し、「日本は死刑廃止を前向きに検討すべきだ」と勧告した。
 従軍慰安婦問題では、これまで行われた元慰安婦への補償措置を、「十分ではない」と批判。日本政府に対し、同問題での法的な責任を受け入れるとともに、被害者の大半が受け入れるような十分な謝罪と適切な補償措置を早急に講じるよう求めた。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081031-00000016-jij-int

このニュースに関して、いろんな側面から考えることが出来ます。

まず、私は「死刑」という刑罰に反対という意見を持っています。
理由はどうあれ、人の命を奪う「行為」ですから。
この話題をすると、よく「被害者感情はどうなる」「被害者の命は」ということが言われますが、私は加害者を許すとか、被害者家族の心情を考えないとかいうことではなく、「罪を犯したから殺されても当然」ということに嫌悪を感じるんです。
この考え方は、一方を正義として「悪だから殺されても当然」という戦争の考え方も同じように嫌悪しています。

これを仏法のほうに引き寄せてみると、「でも自分も生きるためにと称して、多くの命を奪っている」というところで、加害者とも同じだし、死刑執行者とも同じだけの”罪”を負っている事を誤魔化せないということも受け止めます。
だからこそ、「当たり前」という感覚で命を奪うことの是非を考えずにおれません。

そうですね、「命を奪う」ということを考えてみて欲しい、という思いが「死刑の是非」のニュースに触れたときに出てきます。

もうひとつ別の側面から考えることがあります。
先に書いた「被害者感情」というところに通じることです。

死刑についての話題でよく出てくる声に
「被害者の家族が死刑を望んでいる」という声があります。
自分の家族や、親しい人が殺されたのだから、その加害者にも死を持って償って欲しいという気持ちでしょうね。
そう思う感情を否定しませんし、そこまで思う辛さもあるでしょう。
(その気持ちは良く分かるなんて陳腐なことは言えません)
そういう「相手を殺したい気持ちがあるんやね」と受け止めることと、死刑によって殺すという「実行」をすることは別物だと思います。
死刑によって、憎む相手が死んでしまうことでその感情が報われるとは思いません。
それよりは、もっと「苦しみ」をケアすることのほうが大事だと思っています。

もうちょっと踏み込んで考えてみると、自分の家族が被害者になった時の気持ちと、逆に加害者になったときの気持ち…
私は、もし加害者になったとしても「死んでお詫びしなさい」とは言えないですね。
どれだけ苦しくても生きていて欲しいし、自分もどれだけ苦しくてもそれを受け止めて生きつづけるでしょう。
(そういう”苦”を受け止める根拠を、仏法を通じていただいています)
死刑は、そういう家族からも奪っていく行為ですよね。
違う言い方をすれば、新たな被害者を生むんです。

死刑や戦争はとても悲しいことです。
もちろん、犯罪も悲しいことです。
それは自分も同じことをしているという悲しいことでもあります。
もしかしたら、遠い話かもしれません。
でももしかしたら、すごく身近になる話かもしれません。

こういう考え方を押し付ける気はありません。
感情的に「犯罪者は殺してしまえ」という人を否定する気もありません。
でも、命のことを考えないように、麻痺していくのは怖いなと思っています。
こういう話題を機会に、一瞬でも「いのち」ということを考えることが出来たらい良いなと思います。

以前、ある曲を聞いたときにとても心を揺さぶられたことがあります。
大好きなミスチルの「タガタメ」の一節です。
このブログを書いていると思い出しました。
まずは身近な人を大事にする…そこからじゃないと、何も始まらないかな。

子供らを被害者に 加害者にもせずに

この街で暮らすため まず何をすべきだろう?

でももしも被害者に 加害者になったとき

かろうじて出来ることは

相変わらず 性懲りもなく

愛すこと以外にない

歌の画像が見られます。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Moz)
2008-11-01 21:42:38
泣きたくなるほど嬉しかったです。
MANU.さん、どうもありがとう!
子どもたちに話します。
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re:Unknown (MANU.)
2008-11-02 00:09:39
「Moz」さん、どーもです。
>泣きたくなるほど嬉しかったです。
ストレートにこういわれると、照れるものもあるのですが、やっぱうれしいです。

そうですね、私もまず自分の子どもと話しないとね。
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