次男の大学入試が終了して思うこと・・・それは「人間万事塞翁が馬」ということわざ。
3年ほど前、次男は高校入試において、推薦+本番と2回チャンスがあった都立高校の受験を落としてしまいました。中学校の成績からすれば、ワンランク下げての受験であり不合格はないだろうと思っていたところの不合格。我が家は失意のどん底に・・・
滑り止めの私立高校で、校長先生の話がありました。「中には第一志望の高校に入学できず、不本意の中、我が校に入学された生徒さんもおられるかもしれません。しかし、我が校の教育方針についてきていただければ、3年後、必ず、この高校でよかったと満足していただけるはずです」といった趣旨の話でした。
今、振り返ると、次男にとっては校長先生の話の通りの結果となりそうです。毎日のように小テストがあったり、英語の単語の積み上げがあったり、そんな中、よく部活にも耐えて頑張ったのではないかと思います。「剣道部」という部活がなければ、もっと学習できそうですが、計算通りにならないことは私が一番よく知っています。時間がいくらあっても、モチベーションがなければ「学習」というものは成立しません。
一年生の時、学習不振で特進クラスからクラス替えされるというハプニングもありましたが、逆に、それが引き金で、最後は全指定校大学の要求水準を余裕でクリアできる成績を修め、学科を選り好みしなければ、早慶を含め指定校すべての大学に推薦いただけるレベルにまで到達していました。とはいえ、次男は自分の学びたいことを優先させて大学を選択したのですが。
手元にあった、次男の通う高校が発行した「進路の手引」をパラパラとめくったところ、さすが、それなりの実績を収めている高校だと感服してしまいました。「進路の手引」には、「校長先生のお話」「進路決定の流れ」の次に「高校生活の目標」が書かれています。「君たちには、3年間という時間、〇〇高校という環境が用意されている。君たちに求められるのは、自身の夢を叶えるために成長を遂げることだ。」という文章の続きに「まだ将来の夢なんてないという人も・・・自身が進みたい道を選べるだけの力を持っておかなければ、将来の選択肢は自ずと狭まってくる。」と書かれています。
「そもそも高校は義務教育ではない。今はだいぶ少なくなっているが、中卒で働くという選択肢もある。君たちはいま、働く代わりに何かを得ようとここにきている、と考えてもよいだろう。だから、高校に来たからには、この3年間で「何か」を成して卒業して欲しい。そしてその「何か」は、自分で探そうとしなければ、追わなければ、見つからないし、手に入らない。」って文章も、なんだか、私自身が書いたのではないかと見間違えてしまうくらい、共鳴できるものとなっています。
「学習時間について」という項目もあって「1年生で1日3時間、2年生で4時間、3年生はできる時間すべて」が一応の目安としての確保すべき時間とされています。①机上以外でやった勉強も勉強時間として考える②学校での活動が終わったら寄り道しない③眠い時には寝る。ただし、いつもより早起きをする。と指導項目は細かいです。
「勉強の質をあげる」という項目では、①「勉強」と「作業」は違うと理解する②集中する③考えてから質問する癖をつける④何度も復習すると書かれています。図書館で必死にノートをまとめている人の事例が取り上げられ「作業しただけの時間を勉強であると勘違いしないよう注意してください」とされています。あるいは、「復習は何度もやった方がよい。一度やった問題をもう一度解いて意味があるのかという生徒もいますが、一度やった問題すら解けない人が、新しい問題を解ける訳が無い」と手厳しいです。
文系・理系のコース選択のところでは「国語が苦手だから理系を選択する、数学ができないから文系を選択するといったコース選択の方法は最も危険です。苦手ならば得意になるまで勉強すればよいだけのことです。そもそも苦手だから避けてこっち、というような選択をした人がこれからの高校生活の学習モチベーションを保つのはむつかしいことでしょう」と、ネガティブ思考でコースを選択してはいけないとされています。では、どのようにコースを選択するかというと「自分がやっていてワクワク、ドキドキすることを優先する」よう指示されています。
第一志望の大学を選択する方法は①自分の学んでみたい「学部」「学科」を選ぶ⇒その「学部」「学科」が存在する大学を選ぶ⇒立地条件や教育内容、受験科目等を吟味して複数の「志望校」を選択する⇒複数の「志望校」の中から自分の「第一志望の大学」を決定する⇒「第一志望校」が指定する受験科目に合わせてコース・科目選択を決定、と、なっており、次男も、大学のネームバリューではなく、学んでみたいことを優先させたようです。
「進路の手引」の18ページに、私の心を強く揺さぶる記載がありました。「2学年終了までに心がけてほしいこと」として、①受験生としての意識の確立②受験生としての生活習慣の確立③自分自身と戦う覚悟を持つこと④絶対的基礎力の養成とされています。この③自分自身と戦う覚悟を持つことという項目自体、なんだか、戦闘モードを得意とする私の記事に近い考え方なのですが、「受験生であるという意識を持ち、規則正しい勉強中心の生活を送るようになったら、もうネガティブな言葉を使うのは禁止です。」と、ネガティブな言葉を忌み嫌う私の思いそのままの表現があったのです!本当、この「進路の手引」、読んでいてワクワクしてしまいます。
26ページには「受験校の選択には、過去の努力量(≒勉強量)との相談になるという現実を直視することが必要」と、現実から目を背けてはいけないことが書かれています。次男のように、体育等受験科目以外も含めた、高校での学習をコツコツやっている生徒もいれば、センター入試の試験科目に特化して努力している生徒もいれば、私立入試、あるいはAO入試で特定の科目だけ重点的に学ぶ生徒もいるでしょう。しかし、努力せずに志望の大学に入学することは、どのパターンであったとしても無理です。
そして、27ページには「受験校選定のポイント」が書かれています。私の場合、大学は惨敗してしまった共通一次試験の結果により、行きたい大学より行ける大学をセレクトしてしまったのですが、この「進路の手引」には、正しい大学の選択方法が丁寧に書かれています。「まず、自分はなぜ進学するのかを自分自身に問いかけてみてください」とされています。「将来の就職のことを考え、就職率の良い大学を選ぶのか、自分の人生における最後の学修の場としてやりたい学問を究めるかどうかは、自分の未来と向き合って決めてほしい」と含蓄のあることばがならびます。
「君たちもぜひ自分自身、そして自分の未来と向き合って考えてみて下さい。そのうえで、「自分が大学に求めるもの」の優先順位を整理してみて下さい。・・・通学時間の短さ、学費の安さ、ブランド力、就職率、歴史と伝統、カリキュラム、留学制度の充実度、やってみたい部活動(サークル)の有無、立地条件、キャンパスの雰囲気、教授陣の研究レベル、大学院進学率、資格試験の合格率・・・など、項目を挙げていけばキリがありませんが、君たち一人一人にとって優先順位がついていくはずです。自分なりに項目をチェックしていき、総合的に「自分を成長させてくれる(自分が成長することのできる)場所」はどこなのだろう?という視点を持って、受験校を選択してください。そうなれば、入学後のミスマッチも少なくなります」とされています。
「金銭面の話」も書かれています。受験料として、国公立大学2次試験:17,000円程度、私立大学独自方式:35,000円程度、私立大学センター試験利用方式:15,000円程度となっています。長男の時は、国公立(前期・後期)+私立センター利用3校+私立1校を受験、受験料だけで10万円程度と私立の滑り止めで30万円ぐらいかかったような気がします。入学時にも一気に100万円超の出費があったような・・・次男の行っている高校としては、「平均的な受験回数は国公立や私立センター利用方式も含めて8~10回くらいになります」とのこと。
次男は私立高校に通いましたが、長男と違い、東進ハイスクールにもいかなければ個別指導を受けることもありませんでした。情報漏えい事件があったため、ベネッセも途中で退会しましたし。滑り止めの受験料も、入学金も不要です。そういう意味では、都立高校の長男も私立高校の次男も教育費的には同じぐらいだったかもしれません。
大学全入の時代、といっても、高校生全員が大学に行くのではなく、行きたい人の数より大学の定員の合計が多いだけの話なのですが、どこの大学に入学して、何を学習するのかが特に重要とされる時代に突入したと思っています。大学のブランドも非常に重要なファクターですが、それ以上に、何を研究したいのか見定めないと、ミスマッチの名の下、大学を辞めてしまう事態にも陥りかねません。
長々と書いてしまいましたが、やはり、親の立場としては、昨日の大学入試は、それだけ大きなイベントだったと思っています。