司馬遼太郎さんの『街道をゆく』を読み直して。
興味深い箇所がありました。
それは東北の小さな市に着いたときの感想。
しかしこの駅前にも、飲食店はなさそうだった。
……スーパー風の雑貨店があった。その店内ならそういう設備があるように
おもわれ、入ってみると、はたして親子丼いくらと書いたハリ紙がさがっていた。
ここで、トンカツとラーメンを食った。トンカツは私の旅の心得のひとつで、これ
ばかりは土地の都鄙を問わず、味に上下がない。その上にラーメンをたのんだのは
やや過食の気味があるが、いま大衆むきの店で浮沈を賭して研究しているのが
ラーメンである。〇〇のラーメンの味はどうであろうかと思って食べてると、なるほど
水準以上で、そう賞味している自分がわれながらあさましく、阿呆くさかった。
この作品は昭和47年の連載ですから、45年前です。
執筆と資料分析の合間には、旅から旅を重ねていた司馬さんの
トンカツ観が面白いと感じました。
ラーメン研究は今なお全国で盛んですね。
司馬さんは次に九州に入ってからも、こう書いています。
……空港ビルが以前の記憶のそれではなく、面目が一新していた。以前は
田舎のスーパーマーケットのようだったし、物を食う場所も片すみにいくつかの
テーブル、イスがあって「軽食・喫茶」といったふうのホコリっぽい感じだったが
こんどの食堂はおもむろにメニューをとりあげてフルコースを注文しないと
申しわけないほどの堂々たる内容に変わってしまっている。もっとも私は、
相変わらずトンカツを注文した。
一徹ですねぇ
興味深い箇所がありました。
それは東北の小さな市に着いたときの感想。
しかしこの駅前にも、飲食店はなさそうだった。
……スーパー風の雑貨店があった。その店内ならそういう設備があるように
おもわれ、入ってみると、はたして親子丼いくらと書いたハリ紙がさがっていた。
ここで、トンカツとラーメンを食った。トンカツは私の旅の心得のひとつで、これ
ばかりは土地の都鄙を問わず、味に上下がない。その上にラーメンをたのんだのは
やや過食の気味があるが、いま大衆むきの店で浮沈を賭して研究しているのが
ラーメンである。〇〇のラーメンの味はどうであろうかと思って食べてると、なるほど
水準以上で、そう賞味している自分がわれながらあさましく、阿呆くさかった。
この作品は昭和47年の連載ですから、45年前です。
執筆と資料分析の合間には、旅から旅を重ねていた司馬さんの
トンカツ観が面白いと感じました。
ラーメン研究は今なお全国で盛んですね。
司馬さんは次に九州に入ってからも、こう書いています。
……空港ビルが以前の記憶のそれではなく、面目が一新していた。以前は
田舎のスーパーマーケットのようだったし、物を食う場所も片すみにいくつかの
テーブル、イスがあって「軽食・喫茶」といったふうのホコリっぽい感じだったが
こんどの食堂はおもむろにメニューをとりあげてフルコースを注文しないと
申しわけないほどの堂々たる内容に変わってしまっている。もっとも私は、
相変わらずトンカツを注文した。
一徹ですねぇ