閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

名もなき草の名

2006-09-16 09:46:12 | 日々

  籠もよ み籠持ち 堀串もよ み堀串持ち
  この岡に 菜摘ます児 家告らせ 名告らさね
  そらみつ 大和の国は おしなべて 吾こそ居れ
  しきなべて 吾こそいませ 吾こそは告らめ
  家をも名をも

万葉集、雄略天皇。
名をたずねるのは求愛。こたえて名のればOK。
いい時代ですね。
(こんな自信たっぷりで来られたら、そりゃあOKでしょうとも)

名を知り、名を呼ぶ。すべてはそこからはじまる。
ミダス王の触れたものがすべて黄金になったように、
人が目にしたものはすべて名づけられてきました。
「雑草という名の草はない」と言ったのは昭和天皇。
どんな小さい草も、みんな自分の名前を持っています。

今年、見たことのない草が裏庭にたくさん生えました。
ふだん目につくおもな草花の名前はだいたいわかります。
少なくとも、何の仲間か、およその見当はつくのだけど、
この草、わからない。
白い小さい花。葉の形はタデみたいだけど、タデじゃない。
地面を這ってハコベみたいだけど、ハコベでもない。
その名を呼べないと、妙に気になるもので。

植物図鑑の3冊目で、やっとわかりましたよ。
アカネ科フタバムグラ属 ハシカグサ。
…はしか? 麻疹草??
なぜそんな名前をつけられたのか、
ハシカグサ本人はもちろん知りません。

これからは会うたびに心の中で呼んでやりましょう。
ハシカグサさん。お大事に。

コメント
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