秋なので、また古典の話。小倉百人一首。
(なぜ「秋なので」かというと、十五夜は竹取物語でしょう。
萩、すすき、紅葉、でしょう。それに栗とかお芋とか
和菓子とか美味しい季節だし、ええ、その、なんとなく。
もしかして「小倉あん」からの連想、だったり…)
先日、外で食事をしたとき、瀬戸内の小いわしの
揚げ物に、藻塩の小皿が添えられてきました。
こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに
焼くやもしほの 身もこがれつつ
…の「もしほ」ですね。
Smoke Gets In Your Eyes…権中納言定家。
(藻塩って、最近はやっているのかな。
めったに外食しないので、知らない食材が多いけど。
このあいだまで「ゆず胡椒」も知らなかった)
じつは、その場で出てきたのは下の句だけで、
上の句をいっしょうけんめい思い出そうとしているうちに、
突然「あれっ?」と気がついたことがあります。
「やくやも、しおの」と読んでいたんだ、わたしは。
かるたとりをしていた子どもの頃から、ずーっと。
「やくやも」って何よ? なんて一度も考えずに。
「藻塩焼く」のイメージはおそらく別に記憶していたもので、
瀬戸内のいわしのお料理を前にして、そのふたつが
ようやくつながった、というわけ。
こういう「長年の思い込み違い」って、きっとほかにも
あるんじゃないかなあ。気づくきっかけがなくて、
一生間違ったまま、というのも結構ありそう。
まあ、いいかな、人に迷惑がかかるものじゃないし。
小いわしと「藻塩」、美味しかったし。