閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ご先祖さまたち

2006-10-06 08:40:25 | 日々

「ほどく」で書いた父方の祖母は長寿でしたが、
祖父のほうは病弱な人で、わたしが生まれる
10年以上も前に亡くなっています。

たまたま古い戸籍謄本を見る機会があったのですが、
祖父の父親は明治元年の生まれ。
その先代は源蔵さんといって嘉永の生まれ。
そのあたりには文久とか慶応という文字もちらほら。
さらにそのまた先代は三右衛門さんというらしく、
ずーっとたどっていくと「足利尊氏討伐軍に
加わった誰とか」にたどりつく、という話。

そこまでいかなくても、4代さかのぼっただけで、
もう江戸時代なんて、ちょっとびっくり。
源蔵さんも三右衛門さんも、ちょんまげ結って…
そこはもう「歴史」の領域という気がします。

平成っ子のKに言わせると、昭和だって「歴史」だそうで。
デジタルカメラも液晶テレビも携帯電話もなくて、
「れこおど」とかいう黒い円盤を回して音楽を聴いていた、
むかしむかしの、あるところ。

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だめな日

2006-10-05 09:01:48 | 日々

そうだ、気分転換に髪を切ろう。
と思って出かけたら、臨時休業の札が出ていた。

美容院に行くのは好きじゃありません。
歯医者さんの次に嫌いかもしれない。
すいてる店のすいてる時間帯にしか行かない。
しかも、決心というか、何か「勢い」がないと行けないので、
たぶん次にその気になるのは何週間も先だと思う。

パン屋さんに寄ったらいつもの食パンが焼けてない。
近頃お気に入りのジャージースクエアもない。
かわりに買ったアップルパイの皮が美味しくない。

ぜいたくはしていない、多くは望まないつもりなのに、
たまに望んだものがことごとくハズレるというのは
どうしてなんだろう。

待っている電話がかかってこない。
郵便屋さんが来たけれど手紙はこない。

洗濯したのに雨が降ってきた。

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ほどく

2006-10-04 08:21:40 | 日々

お裁縫をしていたら糸がもつれてほどけなくなりました。
さあ、どうしますか?

べつに心理テストというわけではないけど、
選択肢は2つ。
時間をかけて、とことんがんばってほどくか、
はさみでチョキンと切ってやり直すか。

わたし、ほどきます。
よっぽど急ぐか、どうしてもどうしてもほどけないか、
ほどくと傷んで駄目になるような糸でないかぎりは。

ほどくことは、祖母に教わりました。
(『きいちごを摘みに』で書いた「プロッコリ」のおばあちゃんです)
祖母は、わたしが中学生の頃に同居していたことがあり、
暇つぶしによく縫い物や編み物をしていました。
そんなとき、そばにいて、習ったのだと思います。

 もつれた糸は切ってはいけない。
 ひとつほどくたびに、罪がひとつ消えるから。
 
明治28年生まれの祖母は、少女のころに
親からそう教わって、ずっとそうしてきたのです。
布も糸も貴重品だったから、無駄にしないようにという
暮らしの知恵だったのか、何か宗教的なものだったのか、
とくに信心深い人ではありませんでしたが、
本人はとうに他界しているので、謎のままです。

この話をすると、たいていの人が
「ひえー!」とか「うそー!」とか言います。
「ああ、それ知ってる」っていう人には会ったことがないな。
いや、わたしだって、大人になってから言われたら
たぶん笑って聞き流しただろうけど、
素直な中学生でしたから。
それ以来、「ええい、切っちゃえ」とはさみを持つたびに
必ずおばあちゃんの言葉が浮かび、切るに切れず、
ちまちまと手間ひまかけてほどくことに…。

縫い糸も、毛糸も、釣り糸も、凧糸も。
リボンも、荷造り紐も、ロープも、鎖も。
これまで、いくつほどいたでしょう。
やたら時間がかかったり、肩こったりするけれど、
きれいにほどけたときは、それはそれは気持ちよく、
まるで「罪がひとつ消えたように」すっきりして、
やっぱり切らなくてよかった!って、思います。

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遭遇

2006-10-03 10:19:55 | 日々

朝、ポケ太とお散歩に行ったら、
いのさんにばったり出会ってしまいました。

お隣の別荘、いまはお留守なのですが、
そこの床下で寝ていたみたい。
あんまり大きくなく、ひょろっとしてまだ子どもっぽい。
一瞬「かもしか?」って思ったくらい足が長いのです。
それにとてもスリム。野生の動物は、うさぎでも
たぬきでも、たいてい想像よりずっと痩せています

このあたり、つい最近、猪よけの柵を
あちこちに張りめぐらしたばかり。
どこかの隙間から迷い込んだのかもしれません。
ちょっと近づいてみたら、しきりと柵に頭をぶつけては
うろうろしています。帰り道がわからないのかな。

ワイヤーをはずして柵を開けてやらなきゃと思って、
もうちょっと近づいたら、いきなりくるっと向きを変えて、
ずんずんとこっちに向かってくるではありませんか。
子どもとはいえ犬よりは大きいし、気迫が違うのです。
ちっちゃい目が光っています。
ポケちゃんは、ふだんは威張り屋のくせに、
こういう状況ではまったく頼りになりません。

「ポケ、逃げるよっ!」
犬をひっぱって一目散に退却。
いや、犬のほうが先に逃げてたかな。

ちょっと怖かった。

Mが出先から電話をかけてきたので、
この話をしたら、「危険だから近づかないで
ニイヤさんかミチアイさんに相談しなさい」と言います。
どっちも親切なやさしいおじさんなんですが、
相談するとたぶんニイヤさんは鉄砲持ってくるし、
ミチアイさんはヤリ持ってきちゃいますから、
(…いつの時代の人だ?)
それは、ちょっと、ねえ。

夕方、おそるおそる行ってみたら
もういませんでした。
無事に山に帰れたのならいいけど。
「こらあ、うちの子をいじめたなあ!」って、次は
オトナが出てきたら…どうしようか、ポケちゃん?

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木苺谷郵便局

2006-10-02 08:13:09 | 日々

郵便局の人が「よかったら使ってください」と言って
ボール箱を置いていきました。
あけてみたら、陶製のポスト型の貯金箱です。
高さ30センチくらい、太っちょの真っ赤な丸いポスト。
うわあ…。

昔の丸いポストは、好きなんですけども、
これ、貯金箱にしては、あまりにも大きすぎる。
こんな真っ赤ではとても部屋には置けないし、
いっぱいになるには何十年もかかりそう。
そもそもコインをためる趣味はまったくないし。

考えたあげく、外に抱えていって、
アサツキ畑のゲートの脇にポンと置いてきました。
レモンバームのしげみの前に。
室内では困ってしまうポストも、外では可愛く見えます。
そうよね、ポストは、外に立っていなくちゃ。

そのうちに、誰かのちっちゃいお手紙が
こっそりはいっていたり、するかもしれないから、
ときどき見に行くことにしましょう。

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夕焼け虹

2006-10-01 07:29:36 | 日々

夕方5時半ごろ、ほうれん草を摘みに畑に出たら、
夕焼けが東の空の雲にも映ってサーモンピンク。
その中に、すうっと、虹がかかっています。
見ているとだんだんくっきりしてきます。

雲に押されるようにして消えるまでのあいだ、
ほうれん草を両手に持ったまま、
ぽかんと上を向いて見ていました。

こんな時刻の、それも夕焼けの中の虹なんて、
初めて見たから、何かいいことあるかなあ、
…と思っていたら、
その30分後にドタバタと帰ってきたKが
「いまのバスに携帯落とした!」
って言うではありませんか。

すぐにふたりで車に飛び乗り、時速45キロのバスを
60キロで追跡、15分くらい先のバス停で追いついて、
もう誰も乗っていないバスの座席にポンと落ちていた
携帯を無事に回収しました。

「やれやれ、よかったね」とバスを見送って、帰り道、
Kがポケットを押さえて「あれ? 定期もないかも…」。
「えええ? もう知らないよー!」と叫びながら
真暗な山道をびゅんびゅんとばして帰ってくる。

帰ってみたら、定期券はちゃんと家にありました。

…「何かいいこと」って、これ?

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