日々茫然

猫・本・アート・日常生活などを、つれづれと思いつくままに記録

『妖怪アパートの幽雅な日常』

2008-12-14 | 本と漫画の話
久しぶりに、本の感想です。

妖怪アパートの幽雅な日常〈1〉 (YA!ENTERTAINMENT) 妖怪アパートの幽雅な日常〈1〉 (YA!ENTERTAINMENT)
香月 日輪

講談社 2003-10
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 『妖怪アパートの幽雅な日常』 香月日輪

ひとり暮らしの始まりは、妖怪たちのすむ奇妙なアパート――。
違う世界や違う価値観があってこそ、世の中はオモシロイ!

夕士が高校入学と同時に始めた、あこがれの下宿生活。
幼い頃に両親を事故で亡くしたため、早く独り立ちをするのが彼の夢。
ところがそこには、ちょっと変わった、しかし人情味あふれる《住人たち》が暮らしていた……。


ヤングアダルト向けのシリーズから出ているのですが、これが読んでみると結構面白くて、(中学生とか?が対象なので、軽く読めるためもあり)一気に8巻まで読んでしまい、9巻の順番待ちです。

主人公の稲葉夕士は、両親を事故で亡くし、中学時代を叔父の家で肩身を狭くして過ごした、ちょっと世をすねた少年。寮のある高校に合格し、これで叔父の家を出られる!と喜んだのもつかの間、寮が火事で焼けてしまい…
どうしても叔父の家を出たい夕士が、親切な不動産屋さんから紹介された格安の物件は、「出る」といわく付きの、「寿荘」。
寮が再建されるまでの半年の辛抱、と入居してみると…

この妖怪アパートが、素晴らしい!
こんなところなら、私も住みたいと思っちゃいます。
人も妖怪も幽霊も入り乱れる住人が、これでもかというほど個性的で、ユニークで、魅力的。

人間チームは→夕士憧れの(意外と読書家の設定)耽美派詩人で童話作家の一色さん、バリバリ元ヤンっぽい“アニキ”な画家の深瀬さん、1つ年上で、“妖怪病院”で霊能力者として修行中の超陽気な朱音ちゃん。

人間かどうか怪しい?→黒衣黒髪長髪美形の高位の霊能力者、龍さん、次元を行き来して怪しい物を取引する“骨董屋”、魔書を探して旅する“古本屋”。

妖怪&幽霊→人間大好き、人間に化けて普通に会社で働く“佐藤さん”、超美人だけど中身はオヤジのまり子さん、母親に虐待されて殺され、みんなに可愛がられながら成仏を待つ子供“クリ”と、その母親代わりの犬シロ、めちゃくちゃ料理上手な、手首だけの幽霊のまかないさん、るり子さんetc.…

特に、るり子さんの作る、季節感たっぷりのお料理の描写に、毎度たまらなくなります
この料理が毎日食べられるだけでも、ここに住みたくなります。

最初は、和製ハリポタ?と思ったけど、ハリー達のような宿命や大冒険が待っているわけでは全然なくて、ユニークすぎるアパートの住人に見守られながら、価値観をひっくり返されるような体験を通して、現実の人間社会での問題を乗り切って行く…そんな感じです。
今や人間社会の方が、歪んでたり、異常だったりで、精神を病む人がいたり、深刻な事件が起きたり、と大変だったりすると。

でもキャラクターがいかにも漫画的で(漫画でも読んでみたい)、サラッと読めちゃいます。かと思えば、主人公の成長物語になっていて、うっかり?泣かされるし。
ちょっとBL(ボーイズラブ)的な表現が頻発して引いたりするところもありますが(作者が、そっち系好きみたいで…)、全体的には、笑いあり、涙ありの、なかなか面白いエンターテイメントになってると思いました。

コメント (6)
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