遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

古面43 アフリカ・パスポート仮面

2024年02月10日 | 古面

今回は、小さなアフリカ面です。

 

 

 

幅 13.3㎝x 長 15.8㎝ x 高 7.4㎝。重 94g。アフリカ。国、部族不明。20世紀前半。

小形で軽い木彫面です。繊細な彫りが施されています。

かなり時代を経ています。

これは、パスポートマスクと呼ばれる面です。

パスポートマスクは、移動する際、腰などに着けて携帯し、所属集団を表す小型の仮面です(同じ部族でもいくつかの集団に分かれていることもある)。自分の出身を示す身分証明書であり、お守りの役目もします。

先回の不明族仮面と較べると、大きさの違いがよくわかります。重さは、十分の一以下です。

以前に紹介したプヌ族の仮面(左側)も、パスポートマスクでしょう。

アフリカからはるばる日本の片田舎の私設博物館にやってきて、感慨深げ!?(^^;

 

 

 

 

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古面42 アフリカ不明族仮面

2024年02月08日 | 古面

今回の品は、アフリカ仮面と思われますが、部族などは不明です。

 

幅 24.6㎝x 長 32.3㎝ x 高 12.0㎝。重 1045g。アフリカ。国、部族不明。20世紀。

堅い木に、しっかりとした彫りが施された大型の仮面です。

部族や国名は不明ですが、作行きからして、アフリカの面だと思います。

ゴリラをモデルにしているのでしょうか。

見る角度によって、表情が変わります。

裏面の彫りも、手抜きがありません。

アフリカらしい、大胆な彫りです。

大きな耳は、伎楽面のよう。

 

存在感にあふれていますね。

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古面41 アフリカ・レガ族仮面

2024年02月06日 | 古面

この仮面も、産地などが不明だった物です。が、今回、何とか特定することができたので、ブログにアップします。

 

幅 19.4㎝x 長 27.5㎝ x 高 10.7㎝。重 388g。アフリカ・コンゴ民主共和国(旧ザイール)、レガ族。19世紀末ー20世紀初。

アフリカ中央部、コンゴ共和国東部に暮らす焼畑農耕民、レガ族の仮面です。

レガ族では、ブワミと呼ばれる秘密結社が社会の中核を成していて、そこでの儀式に仮面が使われます。

最大の特徴は、面表が大きく凹型に彫られていて、そこに白土が塗られていることです。その結果、ハート形の白い貌がうかびあがります。

 

仮面をはじめとして、アフリカの木彫で古い物は稀です。20世紀の品物がほとんどです。

今回の品は、故玩館所蔵のアフリカ木彫品の中で、一番古い物です。

使用に伴う擦れや疵とともに、木部自体の風化がすすんでいます。

眼と口は当然ですが、鼻の孔も開いています。

頬のペケ印は何でしょう。

黒褐色の塗料が塗られた上に、白化粧を施しています。

よく見ると、キラキラと光っています。

顕微拡大してみると、

銀色の薄い膜のような物がたくさん見られます。雲母か貝の内側の真珠層を混ぜたのでしょうか。

先々回のプヌ族仮面の白化粧と比較してみます。

白粉以外に、特別な物はみあたりません。

今回のレガ族仮面の方が、洗練されている白であることがわかります。

 

サルを擬人化したのかも知れませんね。

癒しの面です。

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古面40 アフリカ・クバ族仮面

2024年02月05日 | 古面

今回の品は、いかにもアフリカという感じの仮面です。

 

幅 31.0㎝x 長 38.20㎝ x 高 23.8㎝。重 790g。アフリカ・コンゴ民主共和国(旧ザイール)、クバ族。20世紀。

いかにもアフリカの仮面という品ですが、この手の物は意外に少なく、部族の特定ができませんでした。しかしその後、図録などの資料をあたり、この品が、アフリカ中央部コンゴ共和国の奥地に独自の文化様式をもつクバ族の仮面であることがわかったので、ブログを訂正し、アップし直した次第です。

クバ族は、アフリカ大陸の中央に位置するコンゴ民主共和国(旧ザイール)の内陸にある地域で、1900年頃までクバ王国を築いていました。そこはジャングルと広大な草原に囲まれ、孤立していたので、独自の文化が発達しました。
彼らを特徴づける工芸品は、ヤシの葉繊維から作った伝統的な布、クバ布と特有の仮面です。特に、クバ族の仮面をつけたダンスは、アフリカで最も美しく洗練された仮面舞踏会と言われています。

この面には、立派な角が2本、生えています。動物は不明です。

顔全体に生えた髪、髭は、植物繊維のようです(ところどころに、樹皮が付いている)。

これは、ヤシの幹の表面を覆っている樹皮繊維ですね。

眼には貝を嵌めています。仮面に貝殻を多用するのも、クバ族マスクの特徴です。

歯は、貝か骨で出来ています。非常に鋭い。

貝のせいでしょうか、微笑んでいるようにも見えます。

ところが、後ろを明るくすると表情が一変。

貝の眼の下に、面を被った人が見るための穴があいているのですね(^^;

円錐形に飛び出た目の玉と人が見るための穴(目)と2種類の眼があるのも、クバ族仮面の特徴なのです(^.^)

 

㎰.  パプアニューギニアの仮面の可能性もあります。

 

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古面39 アフリカ・プヌ族仮面

2024年02月02日 | 古面

これまでの物とは、かなり趣の異なる面です。

 

幅 13.1㎝x 長 13.0㎝ x 高 8.3㎝。重 109g。アフリカ・ガボン共和国。20世紀。

西アフリカのガボン共和国、プヌ族の仮面です。

これまで紹介したアフリカ面より、かなり小さいです。

プヌ族仮面の多くは、白塗りで、静かな表情が特徴です。

 

 

魂が宿っているかのようです。

扇のような眼も、プヌ族仮面に特有です。

ずっと以前に、この仮面を少しだけ紹介しました。その時には、アフリカの仮面か日本の面かわかりませんでした。深い精神性をもった日本の面と共通する部分が多かったからです。

しかし、詳細に検討してみると、裏面や眼の彫り方、胡粉ではなく陶土による白塗りなどからして、今回の品は日本製ではなく、アフリカの物であると結論づけられます。

この奇妙な仮面は、猿や一角獣?を人間と合体させて、人の叡智を超えたパワーを仮面に込めようとして生まれたのでしょう。

4

手にして眺めていると・・・

自分の分身のような気がしてきますね(^.^)

 

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