猿三番叟と仏頭の舌出し
今回は、動くもの。といっても、舌を出すだけですが。
舌出し猿三番叟
平戸焼きの猿の三番叟です。しっかりと焼かれた磁器です。この手の品は、平戸や三川内でかなり古くから現在まで作られてきたようで、この白磁の猿も年代は不名。産地は平戸でしょう。
驚いた表情です。とぼけた風にも。
首を曲げて、ボケーッとしています。
わしゃしらん?
勝手にしてくれ。
底はふさがっています。
3つのパーツからできていますが、一体で焼くそうです。首と舌が動くように、どうやって焼くのでしょうか?
もう一つの疑問。猿が縁起ものの三番叟を演じるのはいいとしても、舌を出すのに何か意味でもある?
舌出し仏頭
木製の仏頭です。東南アジア、タイ辺の品だと思います。
白化粧した上に彩色を施し、目には玉眼(ガラス?)が入っています。
額上部の紐を引っ張ると、舌が出ます。紐をゆるめると、舌は引っ込みます。
首と背中にあいた2つの穴から、削り跡がしっかり見えます。この仏頭は、一本の木をくり抜いて作られているようです。
下から見ると、2つの木部がクランク状に繋がっているのがわかります。
背中の穴を覗くと舌出しのメカニズムがわかります。 木部(下から覗いた時の上側)は、横に渡した針金に通されていて、紐を引っ張ると、この木部にクランクでつながった舌が前へ動きます。紐をゆるめれば、木の重みで元へ戻り、舌は引っ込みます。
からくりの機構は簡単ですが、狭い穴の中で組み立てる作業はかなり難しいのではないでしょうか。大体、針金をどうやって渡し、止めるのでしょうね。
仏頭、舌などの木部は古いですが、針金や紐は新しい。頻繁に使用され、近年に補修されたようです。
また、この仏頭は自立しません。後ろへ倒れてしまいます。どうやら寝かした状態で舌を出し入れしたと思われます。実際、立った状態よりも、寝た姿勢の方が、舌の出し入れがスムーズです。
それにしても、これだけ手間暇掛けて作られたこの舌出し細工、どこで、どのように使われていたのでしょうか?仏が舌を出すことに、どんな意味があるのでしょうか?