このところ、懐石の盆や器をアップしてきましたので、今回は懐石の主膳を紹介します。
すばらしく(^^;重い箱です。もう一個あるのですが、中味は同じです。重さのため開けるのは省略します(^.^)
古布に麗々しく包まれています。
中味は・・・・
脚付きの四方盆が5客です。
もう一つの箱も同じですから、全部で10客になります。
30.3㎝ x 30.1㎝、高 8.2㎝。明治時代。
箱には、「啐啄斎好 懐石膳 春次」とあります。
春次は、蒔絵師山本春正の流れをくむ塗師です。
啐啄斎とは、裏千家八代宗左(延享元(1744)~文化五(1808))のことで、隠居した後、「宗旦」を名乗りました。好みの物を多く作ったそうですから、このタイプの懐石膳も彼の好みの品の一つだったのでしょう。
黒に赤のストライプがきいています。
キュッとしまった上品な風雅が魅力ですね。
茶懐石用でしょうか。
しかし、今どき、この懐石膳が、五客、十客と活躍する場は望むべくもありません。
そうこうしているうちに・・・・
隅に小さな亀裂を見つけました。
刳り抜きではなく、材を組み合わせた器の場合、長年の間に、どうしても接合部に歪みが生じ、塗りに亀裂が入ったり、剥げたりしてきます。おまけにこの膳は隅切で、脆さが増大しています。もう100年以上たっているので、これくらいの疵は小さい方かも知れません(^.^)